No.22 チキンハートブレイカーズ

【成績】
OA率:11/14 平均:389.29KB 最高:469KB 最低:237KB  ランク:B
【備考】8連勝、4回連続出場、トリオ2組目のファイナル出場
出場回出場順KB勝敗順位 ネタの種類/タイトル
182回6番3175位 コント/国際救助隊
185回6番3452位 コント/おみくじ
187回(F,G)1番3612位 コント/世界の中心で愛を叫ぶ練習
192回3番3413位 コント/包囲網
197回6番4291位 コント/偏差値150の学校に転校
203回(2/6)3番4652位 ショートコント/レベルアップ!
6回CB8番706-10位 コント/テレビショッピング
223回(管理人)3番3414位 コント/平和を愛する者たちへ捧げるセレナーデ
254回5番4531位 コント/復讐、罠
255回3番4252位 コント/大富豪
256回1番2375位 コント/梅雨時の訪問者
257回(秋田)2番3855位 コント/アダムとイヴ
280回(100点・コント)3番4371位 コント/ポーカー
291回6番4691位 コント/本能寺の変
298回3番4453位 コント/1+1=
8回CB5番754-4位 コント/お見合い
8回CF9番514-11位 ショートコント/うけとれ!アンパンマン
紹介
ボケ1号:塩田
ボケ2号:野沢
ツッコミ:小笠原

エントリーNo.22は青バト史上最高成績を残したトリオ。
最高KB、平均KB、C大会などの成績そのものは特筆すべきものではないが、
青バトで活躍した数少ないトリオの内の1組というだけで価値がある。
他のトリオはメリースリー、さーてぃー、六本木心中、血華美人は愛の華くらいで、
二桁勝利・二桁出場、C大会複数出場となると彼らだけに限定される。
彼らの大体の戦いぶりを振り返ると、徐々に成長していった6期、
最後の最後でC大会を逃した7期、盤石の3連勝でファイナル進出果たした8期。
という感じで、なかなかに波乱万丈である。
名鑑入りした唯一のトリオによる5本のネタをどうぞ。



第182回 317KB(5位)
コント/国際救助隊
幻の青バトデビュー作

ここは日本の某山にあるこじんまりとした国際救助センターである。
司令塔の小笠原、隊長の塩田、そして隊員の野沢の3人で細々と切り盛りしている。
そんな彼らの物語である。

(ビーッビーッ・・・)

イギリスの人:国際救助センターへ!国際救助センターへ!
       さっき離陸した旅客機H25型のブレーキがきかない!
       解除コードを電波で送ってくれ!

小笠原:了解!ではスイス銀行へ500万ドルどうぞ。確認しだいコードを送ります。

イギリスの人:高い!50ドルだからな!

(ブツッ)

塩田 :くそっ、けちな奴め。司令塔、どうにかなりませんかね、この収入難。
    このままじゃ借金も必要になりますよ。

小笠原:確かにな。だが国からも援助は出ているし我慢だ。

塩田 :でも我々の生活水準は下がる一方ですよ。銭金に応募したら採用されそうですよ。

小笠原:随分ひどいな!何か大きな仕事が入ればいいのだが・・・。

(ビーッビーッ・・・)

フランスの人:国際救助センターへ!国際救助センターへ!
       黒海の我が軍の潜水艦が浮上しない!浮上コードを送ってくれ!

小笠原:了解!ではスイス銀行へ200万ドルどうぞ。確認しだいコードを送ります。

フランスの人:高い!20ドルだからな!

(ブツッ)

塩田 :絶対元取れませんよね。

小笠原:ああ。それに黒海は「海」とあるが湖だ。潜水艦はどこからやってきた?
    お前はどう思う?

塩田 :どこからともなくやってきたんでしょう。

小笠原:なに、その新しい病原菌みたいな感じは。

(ビーッビーッ・・・)

アンゴラの人:国際救助センターへ!国際救助センターへ!
       わが国のロケット「第一アンゴラ丸」が軌道を外れた!
       至急適正コードを送ってくれ!

(ブツッ)

小笠原:あっ、お金・・・。てかまだアンゴラで宇宙産業やってないだろ。
    ネーミングセンスもどんだけ悪いんだよ。

塩田 :なんか日本風でしたね。

(ビーッビーッ・・・)

日本の人:それじゃあ、明日来てくれるかな?

塩田 :いいともーっ!

(ブツッ)

小笠原:言うな!なんでタモリから連絡が来たんだ!?

塩田 :それはそうと明日1日休みとっていいですか?

小笠原:行く気か!今の絶対何かの間違いだろ。

(ビーッビーッ・・・)

青森の人:もすもす。ちょっと聞いて欲しいんだげどよお。
     わだす今年で100歳になるんだげどもだ、だーれも祝ってくんねえのよ。
     祝ってけねがー?

小笠原:・・・ご長寿おめでとうございます。

青森の人:はい、ありがとさん。あんたも長生きしろなー。
     うぐっ、急に胸が・・・苦、苦しい・・・

(ブツッ)

小笠原:後味悪いな!今のおばあちゃんは大丈夫か!?

塩田 :なんか「ブツッ」がいろいろな意味を持ってたみたいでしたね。

(ビーッビーッ・・・)

幼稚園児:せーの、「ズーミンとズームイン!」

(ブツッ)

小笠原:もはや我々に対しての連絡とは言えないのではないか?

塩田 :全国版でしたね。

(ビーッビーッ・・・)

ケニアの密林に住むヒト:ウゴッ、アゴゴガ、ガウゴ。

(ブツッ)

小笠原:今なんていってたんだ?

塩田 :しかも「人」でなく学名の「ヒト」でしたね。

(ビーッビーッ・・・)

ナイジェリアの人:国際救助センターへ!国際救助センターへ!
         豪華客船「第一ナイジェリア丸」がチャド湖で動かなくなった!
         エンジン出力コードを送ってくれ!

小笠原:了解!ではスイス銀行へ・・・50ドルどうぞ。確認しだいコードを送ります。
    実はアンゴラの人だったりとかしませんか?

ナイジェリアの人:おお、良心的な値段!救助を待ってます!アンゴラ人ではありません!

(ブツッ)

塩田 :なんかずいぶんと弱気ですね。

小笠原:仕方ないだろ!今日だけで2回も報酬が十万分の一になってるんだ!
    チャド湖か・・・。聞いたことないな。てか湖に豪華客船てどんなツアーだ。

塩田 :チャド湖はアフリカ大陸中央部にありますね。カバやワニもいます。
    現在の平均水深は1,5メートルですね。

小笠原:枯渇してんじゃねーか!そりゃ船も止まるわ!

(ビーッビーッ・・・)

秋田の人:わだすもよお、今年で100歳になるがらよお、祝ってけろ。

小笠原:・・・ご長寿おめでとうございます。

秋田の人:さっきも聞いだず。他になんかねーんだが?

小笠原:・・・お体にお気をつけて。

秋田の人:はい、ありがとさん。
     うう、急に肺が苦しくなっ・・・息が・・・

(ブツッ)

小笠原:またかよ!なんでどっちも交信中に亡くなるんだよ!

塩田 :しかも今の人絶対盗聴してましたよね?

(ファンファンファン・・・)

小笠原:お、何かレーダーに捕らえたらしいな。塩田、調べて。

塩田 :えーとですね・・・カラスですね。丸々太ったカラスですね。ごくり。

小笠原:レーダー精密!そんなもんで警報鳴らさなくていいよ!
    てかお前もカラスに食欲そそられるなよ。

(ファンファンファン・・・)

小笠原:あれ、また?

塩田 :今度はですね・・・どうやらレーダーに蜘蛛が巣を作っちゃったみたいですね。

小笠原:とりあえず取ってこい。そしてレーダーの感知レベル下げろ。

(ファンファンファン・・・)

小笠原:もー、今度は何?

塩田 :えーっと・・・空気中の微生物が・・・

小笠原:もういいよ!ミサイルとかだけ感知するように設定して!

(どごおおおおおん)

小笠原:うわあっ!何が起こった!?

塩田 :どうやら近くに軍用ミサイルが落ちたようです。

小笠原:レーダー使えねー!ファンファンうるさいだけならもう取り外しちゃっていいよ!

(ビーッビーッ・・・)

青森の人:(てってれー)ドッキリでしたー!私死んでませーん!

(ブツッ)

小笠原:とりあえずは良かったが度がすぎてないか?

塩田 :しかも秋田からも来るんじゃないですか?

(ビーッビーッ・・・)

秋田の人:(ポクポクポク・・・チ−ン)うう・・・祖母は感謝していました。
     親切な国際救助センターの方が健康を気遣ってくれたと・・・。

(ブツッ)

小笠原:こっち駄目じゃねーか!葬式の最中だよ!
    なんか俺のこと紹介されてるし。

塩田 :そもそも誰が連絡してきたんですかね。

(ビーッビーッ・・・)

アナウンス:お勤めご苦労様です。本日の勤務はこれで終わりとなります。
      お疲れ様でした。

(ブツッ)

小笠原:ふう、今日の任務も終わりか。おーい、野沢、上がるぞー。

野沢 :了解―。じゃあ帰る準備しててください。
    俺が自転車こいでないと電気全部消えちゃうんで。

小笠原:自家発電かよ!ここどんだけ貧しいんだよ!

(グラグラ・・・ガターン)

小笠原:お?地震だな。震度3くらいだろうか。
    塩田、野沢、一応机の中に隠れろー。





えー、臨時ニュースが入りました。
わが国の国際救助センターがついさっき震度3による地震のために倒壊しました。
警察はすべての柱がシロアリにほぼ食い尽くされていたことが原因とみて調査を進めています。

小笠原:どれだけ建設費ケチったんだよ!




第203回 465KB(2位)
ショートコント/レベルアップ!
ショートコントで自己最高KBというレアケース(当時)

塩田 :「スライムを倒した!小笠原、レベルアップ!」

小笠原:お、もうレベルアップか。もうレベル5か。

塩田 :「HPが3,1ポイントアップ!MPが2,7ポイントアップ!」

小笠原:少ない少ない!まだレベル一桁だけどそりゃねーよ!
    いやでも自分のライフが残り0,1ポイントだけの状態でボスを倒したりしたらかなりテンションあがるね。

塩田 :「野沢もレベルアップ!」

野沢 :あ、俺もか。てか「も」ってなんだ。俺は付け合せか。

塩田 :「HPとMPが合計1,7ポイントアップ!」

野沢 :あやふやすぎ!そしてHPかMPのどちらかは1ポイントも上がってない!



塩田 :「スライムを倒した!小笠原レベルアップ!」

小笠原:あ、レベルあがった。もう10レベルか。

塩田 :「体力が2ポイント上がった!体力が有り余りHPも30ポイント上がった!」

小笠原:そこは道のりを立てて説明しなくてもいいよ!

塩田 :「ついでに野沢もレベルアップ!」

野沢 :ああそうか。やっぱ俺はついでなのか。

塩田 :「魔力が4ポイント上がった!その魔力を利用して占い屋さんを始めた!
    当たらないと苦情が殺到!3000G失った!」

野沢 :俺まだそんなことしてないよ!
    大体占いが当たらなくて苦情出るってのも理不尽だろ!



塩田 :「大魔導師アントニーオが現れた!」

小笠原:うわー、こいつ大魔導師とかいってるけど絶対自分の攻撃力上げて肉弾戦に持ち込みそうだなあ。
    とりあえず攻撃っと。

塩田 :「大魔導師アントニーオを倒した!小笠原がレベルアップ!」

小笠原:弱。これでレベル30か。

塩田 :「小笠原は「こうげき」を覚えた!」

小笠原:遅すぎ!今までなにしてたの!野沢におんぶにだっこか!
    てか俺は今どうやって攻撃したの!?

塩田 :「あ、そうだ。野沢がレベルアップ!」

野沢 :忘れてたな!お前今思い出したって雰囲気だったぞ!

塩田 :「野沢は「こうげき」を忘れた!」

野沢 :なんだ!これからは小笠原に引導を渡せってか!



塩田 :「スーパー神様を倒した!小笠原がレベル40にアップ!
    HPがアップデータ!リンク一件追加!」

小笠原:え!?何!?HPってホームページの略なの!?
    それに敵の名前もおかしいだろ!なんかもう適当だし!
    スーパーをつけりゃあ何でもいいってもんじゃないぞ!

塩田 :「MPもアップデータ!・・・MPも120ポイントアップ!」

小笠原:何だ!この「ノリで言っちゃったけどさすがに無理だった」的な言い直しは!

塩田 :「隣の彼もレベルアップ!」

野沢 :とうとう名前まで忘れられたか!どんだけ俺の事気にかけてないんだよ!

塩田 :「HBがアップ!Hになった!」

野沢 :なぜ俺はエンピツで表された!?
    なんかもう数値とかじゃないし分かりづらいな!

塩田 :「防御力も大きくアップ!」

野沢 :確かにHのほうがHBよりも硬いけど!その分折れるときは急に折れるぞ!

小笠原:とりあえず芯を前提とするのはやめような。



塩田 :「グレート神様を倒した!小笠原レベル50にアップ!」

小笠原:だから何でもすごそうな横文字をくっつけりゃいいってもんじゃないでしょ!
    スーパー神様と大差ないから!

塩田 :「コマンド「逃げる」を覚えた!」

小笠原:なんかこれも今更!?って感じだな。

塩田 :「コマンド「とうそう」を覚えた!」

小笠原:ん?さっきのとどう違うんだ?

塩田 :「コマンド「とんずら」を覚えた!」

小笠原:だからさっきからどれも変わらねえって!
    てかもうちょっとバランスよく分けろよ!レベル50で一気に逃げるタイプのコマンド3個もいらねえから!

塩田 :「そいつもレベルアップ!」

野沢 :ああ、今度はもう代名詞か。遠慮も忘れられたな。

塩田 :「コマンド「にげごし」を覚えた!」

野沢 :それ明らかに腰しか逃げられねえじゃん!体全体が逃げなきゃだめでしょ!

小笠原:そういう意味じゃないって!ただのビビリだよ!
    どっちにしても役に立たないことは確かだけど!



塩田 :「グレート“神様” デストローイを倒した!小笠原レベル60にアップ!」

小笠原:敵の名前センス無さすぎ!なんかプロレスラーみたいだし。
    そもそもグレート“デストローイ”神様の順番が普通じゃないの!?
    名詞をくくっちゃって始めと終わりが形容詞とか違和感ありすぎだから!

塩田 :「HP,MP共に150ポイントアップ!
    体力とかもそれぞれ1ポイントずつアップ!」

小笠原:バランス良く上がってていいんだけどさー。
    なんかさりげなく略してるのが腹立つ。

野沢 :いや、でも俺はバランスよく上がってくれればそれでいいや。
    あれ?・・・・・・俺はレベル上がらないの?

塩田 :「あーそうそう。小笠原の下僕もレベルアップ!」

野沢 :レベルアップ自体まで忘れられてた!
    てか俺は小笠原の下僕って言う風に見られてるわけ?

塩田 :「全ステータスアップ!」

野沢 :自分で確認しろってか!魔法防御とかは元が何ポイントだったかいちいち覚えてないし!



塩田 :「かみさマリアを倒した!」

小笠原:神様なのか聖母なのかよくわからない敵だな。

塩田 :「小笠原、レベル80にアップ!
    禁断の武器「マヤクソード」が使えるようになった!」

小笠原:確かに禁断っぽい!いかにも法律に触れそうな名前!
    でも剣を極めてきた俺にとってこの武器はナイス。

塩田 :「この剣で攻撃すると敵は幻覚を見て混乱する!」

小笠原:追加効果もそれっぽいな!

塩田 :「ほら!お前もレベルアップだ!経験値をよく見とけ!
    早くレベルが上がったようなポーズをとれよ!」

野沢 :なんで命令されないといけないんだ・・・。

塩田 :「お前はまだ禁断の武器を使うには早い!以上!」

野沢 :え!?何!?ただの報告で終わり!?
    せめて「こうげき」のコマンド復活とかないの!?

小笠原:おまえまだ攻撃できないのかよ!



塩田 :「スライムを倒した!小笠原、レベル99にアップ!」

小笠原:お、ついに最高レベルになったぞ。
    てかレベル90超えてスライム相手してるとかって暇人だな、俺ら。

塩田 :「最終奥儀「スペシャル拳」を覚えた!強く相手を殴るぞ!」

小笠原:最後も技名適当だな!おい!
    しかもこれまでずっと剣だったのにここにきて素手かよ!

塩田 :「野沢もレベル99にアップ!」

野沢 :ああ、ここにきてやっと元の扱いに戻った・・・。
    てかこんな喜びを味わうこと自体がおかしいだろ。

塩田 :「禁断の武器はまだ早い!」

野沢 :もうあとが無えよ!




第280回 437KB(1位)
コント/ポーカー
デュエルスタンバイ!

<ポーカーとは>
1対1で行われるカードゲームである。
お互い、5枚のカードを組み合わせることで役を作り、その強弱で勝敗を決める。
厳密なルールは存在するが、楽しむためだけとして割と緩めのルールも存在したりと、多くの場で嗜まれるゲームの1つである。
しかし、問題が1つある。
それは、ルールがややこしい…!





塩田 :この前さ、超高級なトランプ買ったんだよね。それ持ってきたんだけどさ、何かやんね?

小笠原:へぇー、一体どんなトランプなの?見せて見せて。
    ……これが、高級ねぇ…。なんか100円均一で売ってるのと大差ないけど。紙製だし。いくらしたの…?

塩田 :謎のフィギュアと抱き合わせで8000円。

小笠原:それ絶対フィギュアのせいだって!!高級なフィギュアだったんだよ絶対!!

野沢 :ちなみにどんなフィギュアだったの?

塩田 :ゴミ箱に頭突っ込んでピースしてるおっさんのフィギュア。

小笠原:大したフィギュアじゃないっぽい!!お前なんか変な商品掴まされたよ!

野沢 :そ、そのフィギュア、ひょっとして最近デビューした美面戦士(イケメンファイター)斎藤さんじゃないの!?

小笠原:誰そいつ!イケメンファイターとかって。
    んでなんでその仮にもファイターな斎藤さんはゴミ箱に頭を突っ込んでるのさ!

野沢 :ザ・イケメンというキャッチフレーズに対して女性陣からクレームが来て、ボコられてゴミ箱に頭を突っ込まされるのが試合後のオチなんだよ。
    でも斎藤さん自身はこれもアリだな、って思ってるんだ。

小笠原:弱いしきめぇ!!やっぱその抱き合わせは騙されたって!
    んで話を戻して、何やるの?ババ抜きとか?

塩田 :せっかく高級なトランプなんだ、高貴なゲーム、そうだな…ポーカーでもしよう。

小笠原:高級かどうかは微妙だけれども。ポーカーか、俺ルール分かんないけど誰か知ってる?

塩田 :……。

野沢 :……ところでその斎藤さんなんだけど、

小笠原:誰も知らないのか…。俺も昔1回やったきりだしなぁ。ババ抜きでいいんじゃない?

塩田 :おっ、俺知ってるしっ!!高貴なポーカー知ってるしっ!
    せっかくのおニューのトランプでババ抜きとか嫌だしっ!

小笠原:ふぅん……。まぁ、いいか。んじゃルール教えて。

塩田 :まずっ!!ポーカーってのは1対1のタイマンなわけだ!どや!

小笠原:どや、と言われても。

野沢 :ちなみに斎藤さんの必殺技にはね、盗撮というものがあって…

小笠原:他にどういうルールあんの?

塩田 :そして更にっ!!ディーラーが存在する!

小笠原:それは俺も知ってるよ。多分みんな知ってるよ。

塩田 :まぁそういうことだ、ディーラーが必要になる。ここは野沢、取り敢えず引き受けてくれ。

野沢 :分かったけど、その代わり斎藤さんのフィギュアもらっていい?

小笠原:お前はどんだけ斎藤さんに入れ込んでるんだよ!さっきから話の腰折ろうとしやがって!
    必殺技が盗撮って何だよ!!それが原因でゴミ箱行きになってんじゃねぇの!?

野沢 :その節もあるけど、斎藤さん自身はあくまでファンを写していた、って言い張るんだ。

小笠原:やかましいわ!斎藤、やかましいわ!もう敬称つけんわ!
    話を戻して、あとの細かいルールとかはまず実際にやりながら教えてくれる?

塩田 :まかせとけ。んじゃ野沢、カードをシャフルして配ってくれ。

野沢 :プラスチックでなく至って普通の紙製だから、シャフルしにくいなぁ。

(野沢、小笠原と塩田に27枚ずつトランプを配る。)

小笠原:……ポーカーってこんなに手札多かったっけ…?

塩田 :まぁ確かこんなもんだったろう。初めのうちは慣れないものさ。
    XPが出た時は2000の方が良かった、vistaが出た時はXPの方が良かったって言われるようなもんだ。
    いわばこの手札はvistaだ、今は馴染まなくともそのうちきっと良いと思えるはずさ。

小笠原:vista今でも良い評判聞かないけどな。良い評判が来る前にWindows7が来ちゃったけどな。ああ無情。

野沢 :あ、パソコンの話で思い出した。斎藤さんだって最初は苦労したんだよ、XPみたいに。

小笠原:また斎藤っすか。

野沢 :イケメンでもないのに自らイケメンを名乗ってしまいファンが激減、試合では未だに勝ったことが無く、リングの外でも女性にのされる始末。

小笠原:リングの中でも外でも本人に原因があるみたいだけど。

野沢 :そしてその状況は今も変わっていないんだ。

小笠原:んじゃ斎藤はvistaだ。vista斎藤だ。

野沢 :でも斎藤さん自身はいまのポジションも悪くないなと思ってるから平気なんだって。

小笠原:格闘家って妥協するもんなの?つーか斎藤情報はもういいわ!

塩田 :えっと、この手札で役を作って、強い方が勝ちとなる。これは分かるな?

小笠原:うむ。

野沢 :……?

小笠原:まだ別段難しいところに入ってないからね!頼むよディーラー!
    んで、どういう役があるの?

塩田 :確か同じ数字が2枚あるワンペアとか、それが2組あるツーペアとか…。
    連続した数字が5つ連なるストレートなんてのもあったな。

小笠原:今言ったのメッチャ完成してるんですけどコレ。ツーペアどころかセブンペアくらいあるんですけど。

塩田 :うーん、おかしいなぁ…。どこか間違えたのかなぁ…?

小笠原:いやそもそも手札の数おかしいって…。

塩田 :ストレートはひょっとして1から13まで全て揃えないと駄目だったのかな?
    ワンペアとかも5組で1役とかそんなんじゃね?

小笠原:役の難易度上げて誤魔化そうとしとるコイツ!
    つーか、確か手札を何回か交換することも出来たような気がするんだけど。

塩田 :あっ、それそれ!忘れてた!さぁ、俺の手札から1枚引いてくれ!

小笠原:え、お前の手札から…?まぁいいや…。

(小笠原、塩田の手札からカードを1枚引く)

小笠原:ハートの4か。あ、4は全種類揃ったな。結構強い役な気が。

塩田 :4枚揃ったらその手札は捨ててくれ。

小笠原:捨てんの!?せっかく揃ったのに!?フォーカードだっけ、こんな役なかなか出来ないと思うんだけど!

塩田 :今度は俺が引くぞ。
    …っと、ダイヤの7か。あ、俺も7が全種類そろったから捨てるわ。

小笠原:お前も捨てちゃうの!?フォーカード禁止とかそういうルールあったっけ?

塩田 :いや、こうしていって手札が無くなった方が勝ちとか、そういう…。

小笠原:じゃあババ抜きと変わらねぇよ!回転率が異常なまでに悪いババ抜きにしかならねぇよ!!
    第一、ディーラーである野沢がさっきから放置されてるとかおかしいじゃん!

野沢 :斎藤さんもまた最近は放置されてるなぁ。

小笠原:それ多分、弱いから試合組んでもらえないだけじゃない?

野沢 :まぁ斎藤さん自身はそういう放置プレイもアリだとは言ってるんだけどね。

小笠原:だから斎藤は何なの!?格闘家でなくそっち系の専門職の方が向いてるんじゃないの!?

塩田 :あっ!!

小笠原:ん、どうした?

塩田 :何かおかしいと思ったらこれ、手札が多いじゃん!!

小笠原:……今頃かよっ!!そんなの最初に指摘したわぁっ!!
    それをお前はvistaがなんやかんや言って!

塩田 :悪い悪い、今思い出した。手札は一人5枚だ。うん、そうだ。
    そんで一人2回くらいカード交換が出来て、そんで強い役作った方が勝つ、みたいな感じだったかな?
    んじゃ早速始めようか。

小笠原:もう、やっとだよ。野沢、カード配ってー。

野沢 :あ、また俺がディーラーなんだ…。このぞんざいな扱い、まるで斎藤さんじゃないか…!ムフフフェヘ…。

小笠原:……まぁね、他人の趣味に口出しはしないからね…。
    お、1と9がそれぞれ2枚で、あとは5、と…。これツーペアだよね、結構強いんじゃね?
    塩田の手が気になるけど、これは勝てるだろう。

塩田 :ム、なんだ小笠原、その顔は。さては強い手が入ったな?でも俺だって負けてないぜ?

小笠原:ムムッ、そうなのか…。んじゃここは5の1枚交換で。

野沢 :ここで俺は小笠原にカードを配ればいいんだな?

塩田 :そうそうそんな感じ。

小笠原:おっ!!また1が来た!これでスリーカードとワンペアか。確かこれフルハウスって言ってかなり強かった気がする。
    さぁ、塩田は何枚交換するんだ?

塩田 :俺は5枚全部交換する。

小笠原:さっきのハッタリかよ。とんだ見栄張りっ子だよコイツ。
    頑なに「高級」にこだわっていたところといい。

塩田 :!!ムフフフェヘ…。最強の役が出来てしまったぞ!

小笠原:5枚全部交換なのに!?つーかその笑い方お前らの間で流行ってんの?なんか不気味で俺は嫌だ。

塩田 :じゃあ早速手札を公開しようではないか。まずはお前のを見せて見せて。

小笠原:俺は1が3枚に、9のワンペアでフルハウス!これに勝てる役なんて本当に作れたのか?

塩田 :甘いな、俺のを見ろっ!!

(塩田、手札をテーブルに投げつける。しかしプラスチック製でなく紙製なため、ペサッと寂しい音しか出ない。)

小笠原:これはキング、クイーン、ジャック、あとは6と7…。え、これ役無しじゃないの?

塩田 :王家3人が揃っておいて役無しってことは無いだろ!!どや!!

小笠原:ハイ、俺の勝ちね。散々思わせぶりなこと言っといてこれかよ。

野沢 :あっ!!なんかその絵札の顔、全部斎藤さんに似てない!?

小笠原:どうでもいいわ!!心底どうでもいいわ!!
    ってあれ…本当だ、さっきのフィギュアそっくり。こんなこともあるもんだね。

野沢 :このトランプ一体どこで買ったの?

塩田 :ホビーショップさいとう、ってとこだけど。

野沢 :そこ斎藤さんのお店だよ!本職はおもちゃ屋さんなんだ!

小笠原:斎藤、格闘家じゃなかったのかよ!




第291回 469KB(1位)
コント/本能寺の変
自己最高KBを出して青バト引退   のはずだった

本能寺の変(wikipedia参考)
1582年6月21日、織田信長の家臣である明智光秀が謀反を起こし、本能寺に宿泊していた信長を襲い、自害させたクーデター(暗殺事件)。





―――本能寺にて



光秀(塩田):信長ァ、死ねェェェ!!

信長(野沢):フン、貴様の謀反計画など当に知っておったわ!予め警備を固めておいて正解だったよ。

光秀:な、なんだとっ!ばれていたのか!?

信長:皆の者、出て来い!さっさとこいつを殺すのだー!!

(グサッ、グサグサッ)

光秀:グフッ!む、無念…。我が野望、ここに潰えたり…。



神様(小笠原):死んじゃったよ!光秀が、死んじゃったよ!!
        まずいよ、このままじゃ歴史おかしくなっちゃうよ!!もう1度この時間をやり直してみよ!



光秀:信長ァ、この屑めェェ、死に腐れェェェ!!

神様:さっきより口悪くなってるこいつ!!

信長:フン、貴様の謀反計画など当に知っておったわ!予め警備を固めておいて正解だったよ。

光秀:な、なんだとっ!ばれていたのか!?

信長:皆の者、出て来い!さっさとこの愚か者を殺すのだー!!

(グサッ、グサグサッ、ズドーン!)

神様:今度は鉄砲まで用意してた!なんかさっきより悪くなっちゃってるよ!

光秀:む、無念…。我が野望、ここに潰え(ズドーン!!)グフッ…。



神様:うーん、駄目か。まさかのオーバーキルだったよ。ここはなんとか光秀に暗殺成功してもらわないと歴史が曲がっちゃうんだよなぁ。
   一応もう1回やってみようか。3度目の正直って言葉もあるし。



光秀:あ、あの、信長…さん?し、死んでもらえないでしょうか…?

神様:なんか腰低っ!!3度目にもなると弱気になっちゃうのかな?

信長:え…?いやそんなこと言われても…。

神様:そりゃそうだわな。でもここはグサッっと、いっちゃえ光秀!!

光秀:そ、そうですよね!!殺しはいけないことですよねハハハ!

神様:諦めおった!!諦めおったこいつ!!

信長:おい、今の本音じゃなかろうな?

光秀:ま、まさか!!信長様を私が殺そうとするはず無いじゃないですか!

信長:じゃあその後ろに隠した手を前に出してみろ。

光秀:そ、それは……

信長:フン、刀か。やれやれ、残念だな。皆の者、こいつを討てーい!!

(グサッ、グサグサッ)

光秀:グフッ!む、無念…。我が野望、ここに潰えたり…。
   いやマジで信長さん、すいませんでした…。



神様:駄目だ駄目だ!!最後の最後まで弱気だったよ、もう!!死の淵で謝っちゃったよ!
   ここは背景を変えてやらないと無理なのかなぁ。
   とりあえず謀反計画の前日の様子を見てみよう。



光秀:なぁなぁ、俺さ、明日信長を討ち取りたいのよ。そこで身辺警護を任されてる君に相談なんだけどさ。

神様:ぶっちゃけすぎてるよこいつ!!もしこの人に断られたらどうすんだろ?

光秀:えっ、ちょ、ちょっと!話くらい聞いてくれてもいいじゃない!

神様:断られたよ!!案の定だけど、断られたよ!!そりゃ失敗するわな、彼を通して暗殺計画筒抜けだもんね。

光秀:仕方ない、明日は俺単騎で行くか。

神様:よく行こうとしたもんだよまったく。一応このまま次の日も見てみようか…。



光秀:信長ァ、

信長:おいっ、こいつを殺せっ!!

(ズドン、ズドーン!)



神様:まぁ納得だね。それにしても殺されるの随分と早かったなぁ。
   しかし何と言うか、信長の身辺警護さえいなければ成功しそうな雰囲気もあるんだよね。
   ここは倫理的には良くないけど、警護の人たちには歴史から消えてもらって、と。これでどうだろ?



光秀:信長ァ、死ねェェェ!!

信長:フン、貴様の謀反計画など当に知っておったわ!予め警備を固めておいて正……何っ!?誰もいないだと!?
   警備の奴等め一体どこに!!

神様:めんごめんご。

光秀:これはチャンス!!いざ、信長を討ち取るぞ!!喰らえっ!!

(ブスッ)

信長:……甘いわぁっ!!貴様ごときに刀でやられる俺では無いわぁっ!!

光秀:グフッ!む、無念…。我が野望、ここに潰えたり…。



神様:タイマンで負けるんじゃどうしようもねぇな。
   んじゃもうちょい妥協して、信長はちょうど刀を手入れに出していた、ということにしておこう。



光秀:信長ァ、死ねェェェ!!

信長:フン、貴様の謀反計画など当に知っておったわ!予め警備を固めておいて正……いや、その勇気を称えて敢えて警備は付けないでやったわい!!

神様:なんか格好付けてる!こいつら回数増やすごとにちょこちょこと変えやがる!

光秀:ならばその奢りを一生後悔するがいい!!死ねェェェ!!

信長:フン、一騎打ちでこの俺が貴様に負けるはずなど…何っ!?刀が無い!?

神様:おらー、光秀ぇ、さっさと討ち取れー。これなら勝てんだろー。

光秀:もらったァァァ!!

信長:甘いわっ!!秘伝真剣白刃取りィィィ!!

神様:雲行きが怪しくなった…。

光秀:むっ!!く、くそっ、その手を放せっ!

信長:秘伝体術、金玉直蹴り!!

神様:秘伝も何もただの金的だよオッサン。

光秀:(ガスッ)アヒェェン!!我が野望…ここに潰えたり…(バタッ)

神様:みっともない声出してうずくまっちゃったよ!!あーもう負けだねこりゃ。本人も諦めてるし。

信長:最終奥義、餡犯血!!(グシャァッ)
   っふふ…。俺に一人で挑もうとは、愚かな奴よ…。



神様:最後信長アンパンチつった!!ルーツはこいつかよ!!
   しっかしこうも光秀が弱いとはなぁ…。まぁ信長が強い、ってのもあるけれども…。
   んじゃもうちょっとだけ光秀にハンデをあげよう。光秀には南蛮銃をあげちゃおう、俺太っ腹!!



光秀:信長ァ、死ねェェェ!!

信長:フン、貴様の謀反計画など当に知っておったわ!しかし貴様などこの信長一人で十分じゃぁ!

神様:警備付けようともしなくなってる!

光秀:フン、それは大失態だな。今朝起きたら何故か枕元の足袋の中に火縄銃あったから持ってきたぜ!!
   刀ではお前には一生勝てる気がしないからな!!どや!!

神様:部屋に異常にデカい足袋が吊るしてあったから調度良いと思ってね。
   つーか堂々と暗殺相手にそんなこと言うなや。何がどや!!だよ。

信長:ほう、貴様。銃と刀なら銃が勝つと思っているのか。とんだ馬鹿者だハッハッハ。

神様:あっ、やべ。信長の刀没収し忘れた。でもまぁ流石に勝てるだろ。
   しっかし天下の大うつけ者から馬鹿者呼ばわりされる光秀って…。

光秀:そう言っていられるのも今のうちだ!
   ところであ、あのー、何か火を付ける道具とか持ってたりしません…?

神様:こいつめ火種を忘れおった!!火縄銃使うと知ってて忘れおった!!

信長:え…いや、俺に言われても…。

神様:前にもこんな微妙な空気流れた時あったなぁ。

光秀:あっ、あそこにロウソクあった!これでお終いだ、死ねェ信長ァァァ!!(ズドーン!!)

神様:火を見つけた途端この変わり様!!かわいくねえなぁこいつ。

(刹那、時間の流れが急に遅くなる)

神様:!?

信長:見える!見える見えるぞォ!!貴様の銃弾が手に取るように見えるわ!!

(信長、背中を後ろへ反らし銃弾をかわす)

光秀:なんだと!?銃弾を避けられるのかこいつ!!

信長:言ったろう、銃が刀に勝つなどと考えるのは馬鹿である、と。死ねぇっ!(ブスッ)

光秀:グフッ!む、無念…我が野望、ここに潰えたり…。



神様:なんかマトリックスのルーツも信長っぽいな!信長に歴史ファン多いのはこれも理由なのかな?
   しかし…なんかもう面倒になってきたな…。光秀全然可愛げ無いし。
   光秀は信長を暗殺しようとしたらなんか信長が勝手に自殺しました、ってことでいいやもう。詳細なんて知るか。





本能寺の変(wikipedia参考)
現在でも解明されていない部分が多く、日本史上の大きな謎の1つになっている。








サンタさん:俺のルーツ、この変な神様かよ!!




第8回C大会セミB 754KB(4位)
コント/お見合い
セミファイナルでリベンジ果たした渾身の一作。

娘(小笠原):今日はわざわざお見合いに付き合ってもらっちゃってごめんね斎藤君。

母(塩田):ジローッ・・・

娘:ウチの両親が凄く結婚に対して心配しててさ、こういう場で色々話したいっていうからさ。
  もうとっくに婚約はしてるのにね。

父(野沢):ジローッ・・・

娘:もう、お父さんもお母さんもさっきから斎藤君のことを睨むのやめてよ。

父:シャーッ!!

娘:何それヘビの真似?ヘビの如く睨んでるってこと?いずれにせよ意味不明だからやめてよね。

父:俺は・・・ヘビだっ・・・!!

娘:うんうんそうだね、ヘビなんだね、お父さん。ほら、お庭あるし這いずり回ってきたら?
  ごめんね斎藤君、ウチのお父さん妄想癖があって。

母:・・・ちょっとアナタ、榊原さん、でしたっけ?

娘:今斎藤君って言ったばっかだよお母さん。最初の「さ」しか合ってないよ。

母:あらごめんなさい。それはそうと榊原さん?

娘:ごめんね斎藤君、お母さんの前でだけ榊原君になってくれない?

母:アナタ、年収はいくらあるの?ちゃんと娘を養っていけるだけは稼いでるの?

娘:もうちょっと優しい質問から入れなかったの?
  最初っからフルパワーで行く格闘家は大体後半に負けを喫してるのよお母さん。

母:なら1ラウンドで倒してやればいいじゃない。私はあなたのことを思って、聞いているのよ。
  それで、アナタ年収いくらあるの?

娘:まぁそこは心配ないと思うよ。斎藤君、一流の上場企業に勤めてるし。

母:へぇ、アナタまだ若いのにそんなのもらってるの。だからといって勝ち誇った顔で2000万円って言う権利はあるのかしら?

娘:あるわよ、ウチのお父さんなんか最高で200万円だったじゃない。10分の1じゃない。
  それに今はクビになっちゃったし、家計としてはただのお荷物でしょ?

父:なにおうっ!俺が庭を這いずり回っているからって好き勝手言いやがって!!

娘:あ、戻ってきた。お父さん、ヘビじゃなかったの?

父:じっくり考えてみたが、お父さんはヘビなんかじゃないぞこんにゃろ!

娘:そうよね、ヘビでなくてただのお荷物よね。だからじっとしててね、余計なこと喋っちゃだめよ。

父:・・・・・・。

娘:・・・・・・。

父:・・・・・・。

娘:・・・・・・。

父:・・・なァ、なんだか俺、悲しくなってきちまった・・・。
  ん・・・?悲しい・・・?そうか、俺は荷物なんかじゃない、俺の正体はッ、岸辺シローだったんだッ!!!
  俺はあの、強がってはいるがどこか悲しげなオーラを放つ!!どんどん放つ!!

娘:ごめんね斎藤君、これ以降はお父さんの発言は気にしないでね。

父:そうだ、間違いないッ!自己破産したことあるのがその証拠!!

娘:あっ、現実と妄想の中で共通点が現れちゃった。

父:おい、榊原と言ったな、お前は俺から金だけでなく娘までも奪おうと言うのか?

娘:ちょっと、斎藤君をそんな風に悪く言うのはやめてよ。
  金はむしろお父さん達がお世話になる可能性高いって。

父:ジローッ・・・

娘:ヘビの如くめっちゃ睨んでるよ、これもう岸辺ジローッなんじゃないの?
  うーんやっぱお父さんは岸辺シローでなく、ただのお荷物だって。自己破産しやがって。

父:荷物だとっ!?この俺を誰だと思ってるんだっ!!
  今じゃ出世しまくって副社長の座にいるんだぞ!!社長の弱みさえ握りさえすればトップだぞトップ!!

娘:ごめんね斎藤君、ウチのお父さん重度の妄想癖があって。今新しい妄想始まったみたい。
  だけど凄いのよ、これでも精神科を退院してきてるのよ。

母:あっ、重大な問題に気付いたわ!!

娘:今度は何よもう。収入面の問題は解決したじゃない。

母:ところがどっこい、重大なリスクがあるのよ!!インフレよインフレ!インフレって知ってる!?
  インフレするとお金の価値が下がっちゃうのよ!!2000万円でパンが1個しか買えなくなっちゃうのよっ!!

娘:ごめんね斎藤君、ウチのお母さん心配性で。
  大丈夫よ、私がお金に困る頃にはお母さんたちはとっくに果ててるはずだから。
  今収入は親戚からの借り入れだけでしょ?自己破産しちゃったから消費者金融も相手にしてくれないでしょ?

母:それでも心配なものは心配なのっ!!

娘:私はお父さんとお母さんの頭の方が心配だけど。やめてよね、夫婦そろって精神科とか。
  もう、こんな話ばっかじゃ斎藤君も疲れるじゃない。なんか世間話のひとつでも無いの?

父:そういうことならヘビに、いやこの岸辺シローに、違ったお父さんに任せなさい、ほれ、そこの君。

娘:「お父さん」が出てくるまで随分苦労してたね。荷物を挟まなかった点は褒めるけど。
  ていうか斎藤君だってば斎藤君。せめてどっちか片方で良いから、娘が結婚する相手の名前くらい覚えてよね。

父:榊原君か、君は野球は好きかね?

娘:どうしよう、榊原を名乗った方がスムーズかもよ。

父:ほう、好きか。では君は一体どのチームを応援しているのかね?

娘:出た、互いに同じチームを応援してると知ることで二人の差が急に縮まる原則。
  さぁ榊原君は違った斎藤君はどのチームを応援しているの?

父:ほう、楽天か。マー君や岩隈などスター選手も多いしな。星野監督の人柄も大好きだ。

娘:これは感度良好?

父:だが俺はな、野球は大っ嫌いなんだよ!!毎晩2時間も潰しやがって!!
  
娘:ごめんね斎藤君、これ罠だったみたい。

父:しかも球ころを叩いたり投げたりするだけで1億もらいやがって!!

娘:お父さんは未だに1億も稼いでいないっていうのにね。もうすぐ年金世代じゃない。ていうか今無収入じゃない。

父:あんだと?俺だってなァ、しっかり稼いでんだよ!!この間社長の不正を暴露して、俺が社長に成りあがってやったんだよォ!!
  自ら不正に手を染めてまでなァァァ!!

娘:そういう設定なのね。お父さんは自分の妄想を展開することがあるから要注意よ。
  あと毒をもって毒を制すのやめてよ。せめて妄想の中だけでは善人であってよ。

母:それってつまり、あんたも社長の座を追われる可能性があるってことじゃないのさ!!
  ああもう、せっかくの社長夫人の座が・・・!

娘:あっ、とうとうお母さんまでそっち行っちゃった。インフレインフレうるさかったし、どうも様子がおかしいとは思っていたけど。

母:不正の証拠はちゃんとあんたが持ってるんだろうね!?

父:えっ?それは社長室の金庫の中にしまってあるから大丈夫なはずだ。

母:バカだねあんたは!!金庫ごと持ってかれたらどうすんのさ!!
  悪事を働いてまで手に入れた地位をあっさり持っていかれちまってもいいのかい!!

父:おっ、俺、会社に行ってくるわ!!このお見合いは任せた!!

母:ちゃんと首尾よく動くんだよ!!

娘:斎藤君、今日は少しでも慣れていってね。
  あ、あとごめんね、さっき嘘ついちゃった。お父さんは精神科を退院したんでなく、追い返されちゃっただけだったわ。

母:まったく・・・慌ただしい夫でごめんなさいね。

娘:それお母さんが言うの?権利は私にあるんじゃないの?

母:あんな夫でも今までコツコツ頑張ってきてるのよ。そしてやっと手に入れた社長の座、妻としては全力で守ってあげたいじゃない。
  女はね、ホレた男にはなんだかんだで一生懸命支えてあげるものなのよ。

娘:お父さんがコツコツやってたのは内職でしょ、それもひと月で辞めちゃったじゃない。
  お母さんはそれを黙認してたでしょ、端から支える気無かったじゃない。

母:アナタもちゃんとコツコツ頑張るのよ、ウチの亭主みたいに。

娘:斎藤君なりに、斎藤君なりに頑張ってね。
  あれ、てことは私たちの結婚を許してくれるの?

母:フフ・・・必死で榊原君をフォローしてる娘を見てたら、親は応援したくなるのが常よ。

娘:お母さん・・・。

母:榊原君のために一生懸命支えてあげるのよ、私みたいに。

娘:私なりに、私なりにちゃんと斎藤君のことは支えていくから安心してね?

母:それで、娘を預けることになるわけだし、1つだけ斎藤君に聞いておきたいことがあるの。

娘:あっ、ついに出ました初の斎藤君。これは本気ってことでいいんだよね?

母:アナタ・・・どのくらい収入があるのかしら?

娘:お父さんとお母さんを老人ホームに入れるくらいの収入はあるってさ。