コントラスト    セミファイナルAブロック3位
コント/ふとうこう
田中:僕が初めてネット長文の世界に触れたのが青バトでした。
   ここでオンエアするネタが作りたい!と思い、いろんな企画に参加したり、自分の企画を作ったりしました。
   青バトの本当のファイナルステージにたてる事を光栄に思います。
   がんばります。がんばります。がんばります。



柳田:sex。
いい意気込みを全てぶち壊す最強の3文字。初のファイナル!コントラスト!

柳田:ガチャ・・・あ・・・田中くん。

田中:ふっ、また柳田君か・・・。
   何度来たって答えは同じだよ。
   僕はもう学校には行かない!

柳田:う・・・うん。

田中:大体、みんなが僕の事をいじめておいてちょっと学校全体の問題になったら、
   態度を改めてさ……。みんな、ずるいよ。

柳田:まぁ、そう言わずにさぁ・・・。

田中:もう一人にしてくれよ・・・。
   もう誰とも会いたくないんだよ!!

柳田:・・・あれ?靴?
   田中君、靴はいてるの?

田中:出てけよ・・・この部屋から出てけよ!!!

柳田:・・・いや、出てけって言われても・・・。
   ここ、俺の部屋・・・。

田中:・・・え?

柳田:え?じゃないよ!
   何で毎日毎日俺の部屋にくるんだよ!!
   目的を言えよ!

田中:はぁ・・・もう人間不信で、精神的にぼろぼろなんだよね・・・。

柳田:毎日毎日赤の他人が自分の部屋に居る、俺のメンタルダメージの方が甚だしいわ!

田中:みんな僕の心を土足で踏みにじりやがって・・・。

柳田:うん、じゃあ一旦靴脱ごうか。ここ俺んちだから。

田中:どうして、僕ばっかりこんな思いを・・・。

柳田:俺も今そう思ってる。

田中:僕がなにか悪い事をしたって言うのかよ!!

柳田:うん、不法侵入。マジでSECOM呼ぶよ?

田中:もう僕は決めたんだ!ここで・・・ここで一人で生きていくんだ!

柳田:・・・迷惑な事この上無しだよ。
   そういうのは自分の家の敷地内でやって、ね?

田中:・・・え、お前何?

柳田:こっちの台詞だよ。

田中:いや、そういうんじゃなくて・・・。
   俺不登校。お前、俺がいじめられているのを見て見ぬ振りしていた事を心の底から後悔している、寄せ書きのバランス感覚が異常にない同級生!

柳田:変なキャラづけすんなよ!
   お前、目的を言えよ。

田中:………「学校に来なよ」とか説得しろよ!!
   普通するぜ!!!俺の家のインコでも言ってくれるわ。

柳田:インコになんて言葉覚えさせてるんだよ。
   なんていうか……説得して欲しいから来ているの?

田中:そうだよ。そうじゃなきゃ、お前の家にわざわざ来ねぇよ。

柳田:……説得すればいいんだよね?

田中:だから、そうだって!あれ?お前、俺の立場分かっているの!?
   ”不登校”だぜ?不登校!それが、わざわざ、説得されにお前の家に来てやってるのよ!
   ”部屋から出ない”っていう不登校界の絶対的なルールを破ってまで!!

柳田:なんだよ、不登校界って。そんなマイナスしかないコミュニティあんのか。

田中:お前なぁ・・・。
   ”不登校のファンタジスタ”ロンバルディア長谷川が、自身の著『もしも野球部の女子マネージャーがなんだかんだあって不登校になったら』で書いていたけど、人というのは・・・
   
柳田:興味ねぇ。興味ねぇ。
   そのマイナスしかないコミュニティのスターの言葉、興味ねぇ。
   ここまで興味がない名言もそうないよ。

田中:とにかく、説得しろよ!!
   僕は学校に行かないからね!……そんな俺を説得しろ!!

柳田:なんていうか、すごい矛盾を感じるんだけど……。

田中:みんな僕の事をいじめやがって・・・。
   絶対に、絶対に許さない・・・。

柳田:・・・。
   あのさぁ、田中君さぁ。

田中:なんだ、ロンバルディア。

柳田:そいつじゃねぇよ。
   誰か分かんないけど、すげぇ不愉快だよ。

田中:なんだよ?

柳田:田中君、さっきからいじめられてたみたいに言うけど・・・、
   いじめられてなかったじゃん。

田中:・・・へ?

柳田:へ?じゃねぇよ!
   いじめられるどころか、お前、毎日毎日遅刻してほぼ6時限目しか授業を受けた事ないじゃん。

田中:そ、それは・・・。

柳田:さっき、学校全体の問題になってみたいな事言ってたよね?
   なってないよ?
   休み始めた最初の1週間ネタにされて、それ以降もはやだれも触れてないよ。

田中:そんな・・・!!

柳田:お前、なんで毎日毎日遅刻してたんだよ。

田中:ちょっと、お母さんに算数教えてて・・・。

柳田:分かりやっす!
   こんな分かりやすいウソ初体験だわ。ただのサボリだろ?

田中:実はさぁ、お前に黙ってたけど・・・俺、よく遅刻するんだ。

柳田:うん、だから知ってるよ。

田中:実は俺には夢がある。
   それはみんなと一緒に卒業する事。

柳田:まぁ、じゃあ、明日から学校に来てさぁ・・・、

田中:これ見てくれよ。

柳田:これ?・・・こ、これは!!

田中:退学届だよ。
   原因は、過剰なまでの遅刻の量と出席日数不足らしい。
   フッ、笑っちまうよなぁ、遅刻してさぁ、不登校になって出席日数が足りないって・・・。
   こういうのを『弘法にも筆の誤り』って言うんだろうなぁ。

柳田:いや、因果応報だろ。

田中:お前にお願いがある!
   俺が退学したら今までの俺への寄せ書きを、アフリカの子供達に分けてやって欲しい。

柳田:目的が分からない!それ貰ってどんな顔すればいいんだよ。

田中:そして、もう一つ。
   俺の“退学式”を開いて欲しい。

柳田:退学式・・・?何それ?

田中:俺の退学を記念する式だよ。

柳田:誰が得をするんだよ!!

田中:これより退学式を始めます。

柳田:うわ、なんか始まっちゃったよ・・・。

田中:まずは、退学生からのことば。
   この度、遅刻のしすぎと不登校で無事退学します、田中です。

柳田:まぁ、それが最終目的だったんだね。

田中:僕が遅刻しだしたのは、ある人との約束がはじまりなんです。

柳田:約束?

田中:僕は昔、才能がなかった為に、2、3分くらいしか遅刻できませんでした。

柳田:充分迷惑だけどね。

田中:周りの心ない大人達からは『夜、早く寝るようにしたら?』と、罵声を浴びせられたものです。

柳田:妥当だよ!妥当な注意だろ、そんなもの。

田中:僕は何度も遅刻をやめようと思いました。
   そんなある日、遅刻の途中、僕は一人で泣いていたんです。

柳田:・・・そんな暇があったらさっさと登校しろよ・・・。

田中:そこへ、ある人やって来て、一言・・・『あきらめたら、そこで欠席だよ』

柳田:御もっともだよ!
   遅刻の途中であきらめたらそりゃ、欠席だよ!

田中:僕はずっと泣いていて、その人の顔も名前も確認しなかった。
   ただその人と約束しました!
   僕が一人前の遅刻王になって、その人にひとつなぎの遅刻届を貰うって!!

柳田:全体的に少年漫画テイストだね。

田中:それから、遅刻をしていくうちに、つらい時に互いに支え合う仲間が出来きました!

柳田;もう、何?お前の中で遅刻が部活動的なものになってるの?

田中:いや、部活動的なものと言うか、『遅刻部』はあるよ!

柳田:え?学校公認なの!?

田中:そうだよ!放課後、みんなで集まってさ、
   一緒にその日の遅刻の問題点を話し合ったり、次への戦略を練ったり、反省文を書いたりしているんだ!

柳田:・・・うん、それただ、生徒指導に引っかかってるだけだね。
   そんな部活って呼べるペースで引っかかってたら退学になるよ。

田中:今でも3泊4日の修学旅行に3日遅れて来たロンバルディアの記録は我が部の誇りです!

柳田:ロンバルディア、うちの学校に居るのかよ!
   てか、本当ファンタジスタだな!!

田中:続きまして、退学生による、両親に贈る言葉。

柳田:あぁ、退学してごめんなさい的なことを言うのね。

田中:お父さん、お母さん。お二人よりも先に、この学校を去ってしまう不孝をどうかお許しください。
   
柳田:え?親在学中なの!?

田中:俺が居なくなっても、二人で素敵な留年ライフを送ってくれよな!

柳田:もう何年留年してんだよ!
   ロンバルディアといい、この学校懐が深すぎるだろ!!

田中:お父さん、お母さん。どうか・・・どうか、かけ算の九九だけでもマスターして下さい」

柳田:もう怖いよ。ただただ怖いよ。
   ・・・ていうか、お前遅刻して来た理由が、母親に算数教えてたって・・・。

田中:まぁ、最近は六の段を・・・。

柳田:ゆ、揺るぎないっ!!

田中:続きまして、退学生による呼びかけ。
   私、田中悠司は生徒指導上の都合により、
   この学校を巣立ちます!

柳田:いいように解釈しすぎだよ!!

田中:みんなで一生懸命がんばった!運動会!
   僕だけ遅刻した罰で、一人でやらされた、綱引き!

柳田:公開処刑じゃん!遅刻へのペナルティが惨いな!

田中:週に三度の、生徒指導!

柳田:多い多い、本当に部活ペースじゃないか。

田中:思い出に残った、不法侵入!

柳田:自覚があるならやめろよ!

田中:楽しかった!三者面談!

柳田:何を楽しんでんだよ!

田中:遅刻の大切さを教えてくれた、生徒指導!
   そんな僕の隣でお母さんがしていた、四の段!

柳田:お母さん!そこでかけ算すんなよ!

田中:・・・この学校での遅刻をし続けた三年間は本当に、本当に・・・ウゥ、グスン。

柳田:おいちょっとどうしたの・・・?

田中:・・・やっぱり退学なんてしたくないよ・・・。

柳田:え?

田中:・・・もう遅刻なんてしたくない!!
   お前が思っているほど、俺は強い人間なんかじゃない!

柳田:何とも思ってねぇよ・・・。

田中:あぁ、遅刻を途中であきらめた弱虫だって、
   バカにすれば良いさ!軽蔑するならするが良いさ!

柳田:もう、結構前からしてるんだけど・・・。

田中:ウゥ・・・。もう終わりだよ・・・。

柳田:なんだよ、泣き出しちゃったよ・・・。
   ・・・遅刻王になって俺に会いにくるんじゃなかったけ?

田中:・・・え?

柳田:・・・あきらめたら、そこで欠席だよ。

田中:オ、お前、もしかして!!!

柳田:お前が、生きたこの時代を、”遅刻”と呼ぶんだ!!
   ひとつなぎの遅刻届を、探しにこい!!!

田中:そうか、・・・そうだったのか!
   俺やっぱり退学する!

柳田:あぁそうしな、そうしな。

田中:うん!では、最後に退学式、在校生代表お母さんによる五の段!

柳田:いや、お母さん、もういいよ!

二人:どうも、ありがとうございましたー!









































柳田;いや、帰れよ。

1組目 コントラスト






灯風    7代目チャンピオン
コント/サヨナラ、
ゴウ:最後なので、やっぱりコントということで。

ナオ:集大成といえるかは分かりませんが、灯風らしいネタだと思っています。どうぞ。
デビュー戦で後の初代王者を破ったあの日が走馬灯のように巡ってます。 7代目チャンピオン!灯風!

(キキーッ、ドーン!!)

・

・

・

ナオ:……あれ、ここは………

ゴウ:気が付いたようですね。

ナオ:……あなたは?

ゴウ:そうですねえ……世間一般で言われている、天使言われている存在になりますかね。
   ただ……そんなことはどうでもいい。あなたは…死んだのです。

ナオ:えっ……!

ゴウ:だから、ここにいる。そういうわけです。

ナオ:そんな……そんな、まさか…!

ゴウ:いいや、あなたは分かっているはずです。あなたは死んだ。それを感覚的に分かっているはずですよ。
   ここは……生きた者がいる場所ではないことを、ね。

ナオ:僕は………死んだ、の、か……

ゴウ:分かってもらえて結構。では…………始めましょうか。

ナオ:…………えっ?何を……

ゴウ:始めます。

ナオ:…………は、い……?

ゴウ:…………………放送席!放送席!本日、見事な死を遂げました、七島選手に来ていただきました!!

ナオ:……はぁ!?

ゴウ:どうも、おめでとうございます!!

ナオ:…………ええええええ!?何なの!?なに、何インタビューこれ!?

ゴウ:何って……サヨナラインタビューです。

ナオ:いや確かにサヨナラしてるけど!!……そんなこと言われても!!

ゴウ:というわけで、改めておめでとうございます!!

ナオ:あ、あぁありがとうごz……ってめでたくないですよ!こっちは死んでるんだよ!!

ゴウ:天にも昇る気分ですか!?

ナオ:現に昇ってんだよ!!死んだからな!!

ゴウ:……さて、まずは先ほどのプレイを振り返ってみましょう。

ナオ:何、なに振り返るって!?……まだいろいろと飲み込めてないよ!?

ゴウ:まず七島さん、街中を歩いていましたね。

ナオ:いやまあ……そうですけど。

ゴウ:こちらの歩行……いかがだったでしょうか?

ナオ:いや、そんなん聞かれても!……ただ、普通に歩いてただけですけど。

ゴウ:なるほど……平常心を保って一歩一歩、歩行できていたと。

ナオ:そりゃそうだよ!街中歩くのに挙動不審の方がおかしいでしょうよ。
   ……まあでも、そのときは人通りが多かったので、人を避けながらね、慎重には進んでましたが。

ゴウ:一つ一つのプレイを、大事にしてるわけですね。

ナオ:何だよその言い方!たかが歩くだけでしょうよ!

ゴウ:えー、そして道端で車に轢かれそうな猫を発見しました。……こちらのプレイ、やはり大きかったですか?

ナオ:……どう答えりゃいいんだよ!?大きかったってさ!
   それから、さっきから言ってる“プレイ”って表現やめろよ!なんかヤだよ!

ゴウ:その猫を助けようと、七島さん車道に飛び込んだんですね。

ナオ:あ、まあ…そうですよ。轢かれそうでしたから、とっさに体が動いて。

ゴウ:考えずとも体が動いたと。まさに練習のたまものですね!

ナオ:別に練習してねえよ!なに、猫が轢かれそうなときに車道に飛び込む練習って!?ピンポイントすぎるわ!!
   単純に、人間の本能ですかね……あっ危ない!そう思って飛び出しただけですよ。

ゴウ:そしてトラックが見事にタイムリーヒット!!

ナオ:ヒット言うな!轢かれたでいいだろ!

ゴウ:いやー、大きな当たりでした!

ナオ:うるせえよ!何が大きな当たりだよ!こっちは轢かれてるんだよ!

ゴウ:……七島さんも、よく飛びましたねー。

ナオ:轢かれたからな!すごい勢いで突っ込んで来たんだよ、トラックが!

ゴウ:あわや、歩道に入るかという飛び方でしたね。

ナオ:あわやホームランみたいな言い方やめろよ!

ゴウ:体の方は入りませんでしたけど、魂の方は見事場外ホームランとね。

ナオ:上手いこと言ってんじゃねえよ!!そりゃね、魂がぶっ飛んでったから此処にいるんでしょうけど!

ゴウ:さて、このプレイを振り返ってみて七島さん!……今回の、死因は何でしょうか!?

ナオ:……交通事故だよ!!交通事故による多量出血とかそんなんだろうよ!だから、勝因みたいに言うなっての!

ゴウ:なるほど……七島さんの果敢なプレイが、見事な死に繋がったということですね!

ナオ:見事って!見事ってオイ!!こちとら、死にたくて死んだわけじゃないんだよ!

ゴウ:……それにしても七島さん。今回の登場シーン、カッコよかったですよ!

ナオ:……いや、登場シーンってなに!?

ゴウ:今回はなんと、建物の中から颯爽と登場しましたね。

ナオ:……ただ出てきただけだろ!?別に登場とは言わねえよそれ!

ゴウ:威風堂々、勢いよくウィーン!

ナオ:自動ドアの音!!そんな、貫禄あるみたいに言ってるけどもね、ただ出てきただけだから!

ゴウ:その建物というのが…病院ですね。

ナオ:ああ……そういえばそうでしたね。

ゴウ:なるほど……病気の少年と、約束をしてきたわけですね!

ナオ:してねえよ!!薬もらっただけだよ!………まず病気の少年と約束して、どうするんだよ!?

ゴウ:「今日、車で轢かれるから、そしたら君も手術を受けてね」と……

ナオ:手術できるか!!そんな、勝手に死なれて「よし、手術受けよう!」とはならないだろ!!むしろ浮かばれないわ!!

ゴウ:そんな少年の期待に応え、見事に死を成し遂げましたね!

ナオ:だから約束してねえよ!そして見事言うなって!

ゴウ:……しかし七島さん。ここでちょっと伺いたいことがあるんですけども……

ナオ:……なんですか?

ゴウ:今話題になっている、七島さん熱愛発覚という話を……

ナオ:……なんで話題になってるの!?ただの一般人の一恋愛ですけど!

ゴウ:なんと今、付き合っている彼女がいると。

ナオ:いや、まあいましたけども……

ゴウ:……女子アナですか!?

ナオ:んなわけねぇだろ!?こちとらただのフリーターぞ!?……普通に、バイト先で知り合っただけです!

ゴウ:どんな方です?

ナオ:えっ!?そうですね……普段はとても地味で、今まで彼氏とかいなかったらしいんですけど……
   でも、よくみたらとてもかわいらしくて!なんで今まで彼氏いなかったんだろうっていうくらい……

ゴウ:なるほど……女子アナでなくとも、“穴”ではあったと。

ナオ:上手いこと言わなくてもいいよ!!

ゴウ:それで七島さん…………プロポーズは、いつするんですか!?

ナオ:……もう出来ねえんだよ!死んじゃったからな!!

ゴウ:そんな彼女のためにも、見事な死を果たしましたね!

ナオ:だから!!しかも彼女のためにっておかしいだろ!悲しむに決まってるでしょ!?

ゴウ:いや分かりませんよ……遺産とか、ね……

ナオ:滅多じゃないこと言うなよ!

ゴウ:……それはそうと、実は七島さん、この死によって大記録を叩き出しましたね!

ナオ:えっ……大記録って!?まず、死の記録ってどういうことだよ……

ゴウ:「轢かれそうになっていた猫をかばっての死」というのは、今まで1人も成し遂げていない快挙なんです!

ナオ:知らんわ!!確かに、そんな漫画みたいな死に方するとは思いませんでしたけど!

ゴウ:「アヒルをかばっての死」なら300件あるんですけどね……

ナオ:なにその差!!猫はゼロなのに!そっちの方が珍しそうなもんだけど!?

ゴウ:この大記録を祝しまして、七島さんには後ほど、現世で大量の花が贈呈される予定です。

ナオ:……それ、違う花だよね!?献花で使われる花だよねそれ!?

ゴウ:……さて、インタビューも終わりということで、最後に一言いただいて、インタビューを終わろうと思います。

ナオ:やっと終わりか……

ゴウ:では七島さん、ファンの皆さんに一言お願いします!

ナオ:……いや、ファンってなに!?……いるわけないでしょこんな一般人に!

ゴウ:何を言ってるんですか!……今回、七島さんのプレイを見にたくさんのお客さんが集まってくれたんですよ!

ナオ:それ野次馬だろ!!事故現場見に来たさぁ!!ファンでもなんでもねぇよ!!

ゴウ:そうですか……それでは、ご両親に向かって一言どうぞ!

ナオ:えっ!急にそんな……

ゴウ:ほら早く!

ナオ:えー!えーっと………こんなに早く死んでしまって、本当にごめんなさい。今まで育ててくれて、本当に、ありがとうございました……

ゴウ:………まあ、もうその言葉は伝えられないですけどね!

ナオ:じゃあ言わせんなよ!!こっちは本気で言ってるんだよ!!

ゴウ:……では、七島さんの実家のラジオから、ノイズ入りで流しますね。

ナオ:心霊現象と思われるわ!…まあ、実際そうなんだけども!

ゴウ:はい、というわけで本日のサヨナラインタビューは、七島さんでしたー!どうもありがとうございました!!

ナオ:あ……ありがとうございました。

ゴウ:では、放送席の閻魔様にお返ししまーす。

ナオ:これ閻魔様が放送してんの!?

ゴウ:はい。天国ネット47局で絶賛放送中なんです。

ナオ:そんなんあんの!?

ゴウ:……はい、はい………それでは、判定の方、発表しますね。

ナオ:判定って……?

ゴウ:天国か、地獄かですねー。

ナオ:今決まるの!?しかもそれ、放送で流すのかよ!

ゴウ:では発表でーす!

(ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル……ダンッ!!)

ナオ:いや、ドラムロールて!

ゴウ:……見事、天国行き決定ー!!ぱっぱらっぱっぱー!!

ナオ:さっきからノリ軽すぎるだろ!!天国か地獄の瀬戸際なのに!!
   ……でも、天国!?天国いけるんだ!やったあああああー!!

ゴウ:おめでとうございます!よかったですね!
   ……放送席ー!放送席ー!それでは改めて、見事に天国行きを決めた七島選手にお話を伺います!

ナオ:いや、もういいわ!!
―――楽屋



ゴウ:いやあ……青沢オンエアバトルには長い間、お世話になりましたね。

ナオ:本当に。ありがとうございました!

ゴウ:だって「現チャンピオン」の肩書きを、なんと数年間に渡ってね……

ナオ:まあ結果的にそうなったけどさ!!

2組目 灯風






月影連盟    セミファイナルBブロック2位
コント/落伍戯曲 -マフィアも往く-
あの二人も大学生になりました。
えーと、あー……あぁ!あ、あの二人ね! ファイナル初登場!月影連盟!

フランシス・レイモンド:なぁマーキュリー。この世で一番素晴らしい映画は何だ?

スリザー・マーキュリー:愚問じゃないかレイモンド! 当然、レザーフェイスが大活躍するB級ホラー超大作「悪魔のいけにえ」さ!

レイ:違ーう! そこボケるとこ違ーう!
   悪魔のいけにえも面白いけどそこやっぱりボケるとこ違ーう!

マー:ハハッ、冗談さレイモンド。
   何て言ったって一番素晴らしいのは、アル・パチーノ主演の「ゴッドファーザー」シリーズさ。
   ニューヨークを拠点にするマフィアの家族愛と五大ファミリーの軋轢!
   これだけ重厚なドラマはまたと無いね!

レイ:流石解っているなぁ、マーキュリーは。オーシャンズ11が一番面白いなんて云ってた高校生の頃が懐かしいよ。カジノなんてクソ喰らえ!

マー:18歳の誕生日に堂々とカジノに出向いたら、魚の肛門臭いガードマン、ロイ・ハーフォードに蹴り飛ばされた苦い思い出があるもんな。

レイ:そうだよ。なんだってんだ! 確かに17歳の頃は、無謀な潜入計画を立ててカジノを滅茶苦茶にして新聞の一面に載ったよ。
   だからって、世界中のカジノにブラックリストを配布することはないじゃないか!
   どこの国のカジノに出向いても、警備員に「何やねんお前ら」云われて撃沈じゃないか! カジノなんてクソ喰らえ!!

マー:そうだ! カジノなんてクソ喰らえ!!
   ところでレイモンド、俺にゴッドファーザーの素晴らしさを再認識させるなんてのは、一体どういう風の吹き回しだ?

レイ:そう、今日のテーマはそこだよマーキュリー。
   つまるところ、我々も彼らのように、マフィアが活躍する映画の脚本を書いて、
   来週行われる文化祭で上演、自ら出演し、アル・パチーノやマーロン・ブランドのように輝こうと思うんだ!

マー:おぉ、凄いじゃないかレイモンド! 俺たちも遂に、彼らのように輝ける日が来たんだな!?
   大学の女子連中の間で「水分を根こそぎ持っていかれた玉ねぎ」と呼ばれている俺たちでも、彼らのように輝けるんだな!?

レイ:そうともマーキュリー!
   男子連中の間では「ことあるごとに『うぇーい!!』って叫ぶ変な二人」と呼ばれている俺たちでも、
   あのアル・パチーノのように輝ける時が来たのだ!

マー:悲しくなるから全てを曝け出すのは後にしよう。大学デビューを狙って張り切っていたらこのざまだ。
   それでレイモンド、マフィア映画の脚本を作るといっても、具体的にどうするんだ?
   俺は脚本の書き方や物語の進め方なんて全く分からないが……
   それに、ゴッドファーザーを見ただけで、マフィアの何たるかを分かったわけでもないし……

レイ:おいおいマーキュリー、そんな何もかも分かってなかったらこの先着いていけないぞ?
   ほら、マフィアの大物に「ワカルポネ」っているだろ?

マー:「アルカポネ」だろ!? 何そのご当地キャラみたいなやつ!

レイ:まぁ、別にいいさ。それよりもマーキュリー、これを見ろ!
   お前がそう云うことを見越して、既に脚本を書いてきた! 

マー:!! ……俺はやはり君を侮っていたようだよレイモンド! まさか既に書いてきているとは!
   早速読んできかせてくれよ!

レイ:いいだろう、だがその前に設定を頭に入れておかないとな。
   大抵、マフィアものと云えば登場人物が多くてパニックになるのが目に見えている。
   だが俺は、その点さえも考慮して実に簡潔で分かりやすい物語作りを目指した!
   マーキュリーに了承をもらった暁には、映画会社に持っていく所存だ。
   正直、アカデミーやカンヌも視野に入れている!

マー:おねしょでカジノの略地図を書いていた男とは思えない成長ぶりだ!!

レイ:この物語の要は、ルチアーノファミリーとレイモンドファミリーの抗争だ。
   これさえ頭に入っていれば、大概のことは理解できる筈だ。

マー:レイモンドファミリー! おいおいレイモンド、そのファミリーには勿論俺も所属しているんだろうな?

レイ:勿論さ、マーキュリー。お前はマフィア用語で云うところのコンシリエーレ、いわゆる相談役だ。
   因みに、我らが中学時代の友人ジャックも、カポ・レジーム、いわゆる幹部役で出演している。

マー:かっこいい! これは期待せざるを得ない!

レイ:この物語を聞くにあたってのポイントはずばり、「転がる玉ねぎ」だ!

マー:俺たちかよ!?

レイ:あぁ、違うんだ。俺たちが常日頃から云われている「玉ねぎ」とは違う「玉ねぎ」なんだ。
   まぁ、聞いていれば分かるよ。

マー:あぁ、俺たちとはまた違うタイプの玉ねぎなんだな。
   俺たちは水分を失った玉ねぎだけど、ポイントは水分のある玉ねぎなんだな。分かった。

レイ:よし、とにかく聞いてくれ。
   「―――舞台は1944年、禁酒法時代のニューヨーク。
    ここでは"ルチアーノファミリー"と"レイモンドファミリー"という二つの組織が拮抗していた」

マー:おぉ、それっぽい!

レイ:「レイモンドファミリーとは、最近名を上げてきた公に顔を出さないことで有名なファミリーで、
    幅広い情報網を持つルチアーノファミリーでさえ、構成員はおろか首領である"レイモンド"という男の素性さえ突き止めることができなかった。
    しかし裏社会の人々は口を揃えて『あのファミリーはやばい』と云う」

マー:秘密裏に結成されてのし上がったファミリーか、いい設定じゃないか。オラ、わくわくしてきたぞ。

レイ:「ルチアーノファミリーのドンである、ドン・ルチアーノが、
    部下であるジョニーのミスを問いただすところから物語は始まる―――」

マー:マフィア映画では定番のシーンだよね。

レイ:「ジョニー…… お前、密造酒の件で裏切った男の始末を失敗したようじゃな……」
   「ち、違うんでやんす! 誤解でやんす、偉大なるドン・ルチアーノ!
    勘違いでやんす、実はそうじゃないんでやんすよ〜〜〜〜〜!!」

マー:すげぇ下っ端感のあるやつ出てきた!? 言い訳ヘタクソだな!

レイ:「ジョニー、たった一人の男を消しそこなうことが、組織にどれだけ大きな被害をもたらすかを教えてやろう……」
   「あ、ちょっと待っておくれでやんす、ドン・ルチアーノ。
    信号が変わったから向きを変えるでやんす、どうぞでやんす〜。
    ほらほら小学生、遊んでないでしっかり勉強するでやんすよ!」

マー:なんで交通整理の真っ最中なんだよ! 重々しい屋敷の一室が舞台じゃなかったの!?

レイ:マフィアも淘汰されがちな世の中だからな、市民に愛されるようにならないと。

マー:愛されてても威厳はクソ以下じゃないか!
   交差点の真ん中で「裏切り者を逃すことは組織の崩壊に繋がるんじゃ」とかやってんじゃねぇよ!

レイ:「ジョニー、少し昔の話をしてやろう……」
   「あ、待ってくれでやんすドン・ルチアーノ、運転技術に問題のある車が突っ込んでくるでやんす!
    よけるでやんす〜〜〜!」

マー:報われないドンだな! 全然話聞いてもらえねぇじゃねぇか!

レイ:「暗転、一方その頃、
    レイモンドファミリーの首領であるフランシス・レイモンドと、腹心であるスリザー・マーキュリーは――」

マー:おぉ、いよいよ俺たちの登場か。こっちはちゃんとやってくれるんだろうな。

レイ:「部長『はーいそれでは、1年生に自己紹介をしてもらおうかなー!!』
    レイ『うぇーい!!!』
    マー『うぇーい!!!』」

マー:!?

レイ:「大学のボランティアサークルの新入部員歓迎会に参加していた。
    部長『……えーっとでは、まずそこの、さっきからことあるごとにうぇーいうぇーい云ってる二人組から』
    レイ『うぇーい!!! えーと、俺、フランシス・レイモンドって云いまーす!
       高校のときはぁ、なんかぁ、勉強とかしなくてぇ、結構悪いやつと遊んだりしてぇ、
       それで今ぁ、裏町のほうでちょっとやばいのとつるんでてぇ、みたいな感じでぃーす!』
    マー『うぇーい!!! 俺はぁ、スリザー・マーキュリーって云いまーす!
       レイモンドとは高校一緒でぇ、なんかよくポリ公につかまったり、留置所に入ったりしてましたー!
       裏町で悪いやつらとちょっとした組織作っててぇ、そこの参謀っていうかぁ、相談役? みたいなのやってますみたいなー!!』」

マー:ちょっと待て待て待てこら!!! なんか違くない!?
   100歩譲ってマフィア映画から、すげー痛い青春映画みたいなのにすり替わってない!?

レイ:いいんだよこれで、この後に色々展開があるんだから。続けるぞ。
   「レイ『それでぇ、高校のときは主に、剣道をすげーやってました! もう3段くらいの実力なんじゃないかな!? めーん!! どぅー!! こてー!!』
    マー『俺はぁ、ボクシングやってました! チャンピョンをボッコボコにしたこともあるんすよー! シュッシュッ!! シュッシュッ!!』
    2人『うぇーい!!!』」

マー:それ、完全に数か月前の俺たちだよ!!
   新歓で大二病を発症した俺たちの言動そのまんまだよ!!

レイ:自身の黒歴史や失敗談を芸術に昇華する、これが芸術家たるものの性ではないか!?

マー:お前芸術家じゃねぇだろ!? 大学中のやつから変な目で見られて、便所飯寸前のレイモンドだろ!?

レイ:「女子A『うっわー、大学デビューしましたって感じだよ……絶対童貞だよアレ』
    女子B『本当、女の子の手すら握ったことなさそう……てか玉ねぎ臭くね?』
    女子A『分かるー、なんて云うか……そう、水分を根こそぎ持っていかれた玉ねぎみたいな』
    女子B『何その例えチョー受けるんだけど!』」

マー:こんなこと云われてるやつが何をどうしてアル・パチーノになれるの!?

レイ:「何やら他のメンバーとの温度差を感じ始め居心地が悪くなった二人は、一足先に帰ることにした。
    因みに彼らの友人であるジャックは、新歓開始5分で先輩に『君、目付き悪くない?』と云われたのがショックで一足先に帰っていた。
    レイ『じゃぁ部長、なんつーかその、ジャックも先に帰ったことだし、俺たちもう帰りますんで!』
    マー『これからよろしくっす、なんか集まりがあるときはメールお願いしまっす!』
    部長『あ、お疲れ、参加費3000円置いてってね』
    大金はたいて嫌われた二人であった。この3000円を個人で使っていたらどれだけ楽しいことができたろうか」

マー:やめて!! 古傷えぐらんといて!! そしてジャック、帰るの早ぇよ!!

レイ:ドイツの高名な監督ミヒャエル・ハネケは、視聴者の心の傷を抉るような作風で革命を巻き起こしたのだ!

マー:だからお前ハネケじゃねぇだろ!? グループワークのときにペアが作れないからこっそり授業抜けたレイモンドだろ!?

レイ:「一方その頃、ルチアーノファミリーは――
    (キキキーーーーッッッ!!!!)
    『クラァ!! どこを見て運転してるでやんすか!! ドンが怪我するところでやんしょうが!!
     おんどれは赤信号が見えないんでやんすか!? もしもドンに何かあったら、おんどれはどう責任を取りしくさりやがるでやんすか!?
     まさか、最近名を上げてきたレイモンドファミリーからの刺客でやんすか!?』

マー:やんすやんすうるせぇな!!
   でも、ファミリー同士の抗争とか映画っぽくなってきたじゃん。

レイ:「『さぁ、名を名乗るでやんす!!』
    『違うんですよ、私は……あぁっ、玉ねぎが!!』」

マー:俺たちかよ!?

レイ:ちょっ、マーキュリー! 最初に云っただろ、この玉ねぎは水分のある玉ねぎだ! 俺たちとは違うんだ!

マー:あぁ、ついつい玉ねぎという単語に反応してしまった……悪い、続けてくれ。

レイ:全く……
   「『あの、はい、ごめんなさい、その、買い物帰りなんですけど、ちょっと考え事をしてて、はい、すいません……』
    『言い訳なんて聞きたくないでやんす!! これはファミリーへの宣戦布告でやんす!!』
    『落ち着くんだジョニー……そんなに喚くほどのことでもないだろう……』
    『何をふざけたこと抜かしてるでやんすか!! クソ食らえでやんす!! ふざけるのもいい加減……
     ……あっ、偉大なるドン・ルチアーノ!! 一体全体いつからそこにいたでやんす!?』」

マー:ちょっと落ち着けよコイツは!! 周りが見えてなさすぎだろ!!

レイ:「『……もういい。時間だ、本部に戻ろう』
    『あ、そうでやんすね、5時を過ぎたから隣町のタッタリアファミリーに交代でやんす』」

マー:近所のマフィア総出で交通整理やってんの!?

レイ:仁義なき戦いだぜ。

マー:本当に仁義もクソもねぇな! もう端から見れば地元の気のいいおっさん達だよ!

レイ:「本部にて
    『さて……ジョニー、ワシが少々昔話をしてやろう。
     サルヴァトーレ・マランツァーノがニューヨークのマフィアを五大ファミリーに分割した頃の話だ』
    『ちょっと待っておくれでやんすドン・ルチアーノ、
     小学生の交通状況レポートを小学校の方にファックスしてくるでやんす』」

マー:そんなことまでやってんの!? もはやPTAとか自治会とかの類じゃないの!?

レイ:「『あれはまだワシが若造だった頃だ、カルテランマレーゼ戦争を制したマランツァーノが、
     招集された我々の前に立ち、こう言い放ったのだ』
    『"利権分割のため、今日からニューヨークマフィアを五つに分割する"でやんしょ? 知ってるでやんすよ〜』」

マー:空気読めよコイツは!! 折角ドンが言いたいこと言えるチャンスだったのに!

レイ:「(プルルルル、プルルルル)
    『あ、電話でやんす(ガチャ)クラァ!! どこのどいつでやんすか!!
     今ドンが昔話してるところでやんしょうが!!!』」

マー:たった今てめぇが台無しにしたとこだろうが!!

レイ:「『……え? かの有名なロダンが作ったポンペイ鉢が、たったの1980円で!?
     ドン、安心安全・世界名品店からすごい掘り出し物がお手頃価格で出品されているでやんすよ!!』」

マー:コイツはなんでマフィアやってるの!? 罰ゲームかなんかなの!?

レイ:「『もういいジョニー、受話器を置け……』
    ドンに凄みを利かされたジョニーは『ええい、お前もレイモンドファミリーの差し金でやんすね!!』と叫んで受話器を置いた」

マー:なんでもかんでも敵手の仕業にすんじゃねぇよ!!

レイ:「『麻薬王として名を馳せた男がいたんだが、刑務所から出て以来力をなくし、
     始末すべきチンピラを取り逃がした。これが仇となり、その男は破滅の方向へ向かっていったのだ……
     ワシの云いたいことが分かるな、ジョニー?』
    『勿論でやんすドン、麻薬は絶対やっちゃダメだよーってことでやんす』」

マー:もうマフィアやめちまえよコイツは!! 確実に人生損してるわ!!

レイ:「『ところでさっき、交通整理をやっている隣町組織のタッタリアから連絡があったんだ。
     赤信号にも関わらず車が突っ込んできて、もう少しで轢かれるところだったらしい。
     乗っていた男は考え事をしていたそうだ。更に買い物帰りで、袋から玉ねぎがこぼれたらしい』」

マー:俺たちかよ!?

レイ:マーキュリー!! 何回も云ってるだろ、この玉ねぎと俺たちは別物だ!!

マー:あぁ済まない、まさか俺も大学に入学して二週間でそんな不甲斐ないあだ名をつけられると思ってなかったもんで……

レイ:よく考えてみろ、「水分を根こそぎ持っていかれた玉ねぎ」なんて、まだマシな方だぞ?
   「ゴミ虫」とか「死ね」とか「気持ち悪い」とか云われてるやつだっているんだ、そんなこと女子に云われた日にはお前、学校なんて行けなくなるぞ?

マー:そう、そうだよなレイモンド、悪かったよ……もう反応しない、だから続けてくれ。

レイ:全く……。
   「『要するに、タッタリアに車で突っ込んだやつはワシに突っ込んできたやつと同一人物の可能性が極めて高い。
     ……ジョニー、どう思う?』」

マー:これは急展開、ジョニーの汚名返上のチャンスだ。

レイ:「『まったく、近頃は危なっかしいドライバーが多いでやんすね!
     教習所は一体どんな教育をしてるでやんすか!?』」

マー:そこじゃねーだろぉぉ!! こいつは何でいつもこうなんだよ!!

レイ:「一方その頃、レイモンドファミリー屋敷――
    レイ『おいジャック、お前二度のチャンスがあったにも関わらず、ルチアーノもタッタリアも殺せないってのはどういうことだ』
    ジャック『すまねぇっす、おいら、レイモンドさんの顔に泥塗るようなことしちまって……』」

マー:急にシリアスな展開になった!? え、てか、事故起こしたやつってジャックだったの!?

レイ:「マー『まぁいいじゃないすか、レイモンドさん。あいつらが交通整理やってるときは隙だらけです、いざとなれば俺がやりますよ』」

マー:ははーん、読めてきたぞ。つまりレイモンド、マーキュリー、ジャックの3人は無垢な大学生を演じていて、
   実は本当に裏町でファミリーを結成して対立組織を消そうと企んでいたんだな!
   さすがレイモンド、俺たちがかっこよくなってきたじゃないか!

レイ:「レイ『馬鹿野郎マーキュリー、油断するな。来週からは俺たちが交通整理の当番になってんだ、気を抜いてるとお前も死ぬぞ!』」

マー:!?

レイ:「ジャ『しかしルチアーノのやつら、びっくりするでしょうね!
       まさか対立組織のメンバーがヒゲチョビン大学の1年生3人だなんて!』
    レイ『嗚呼、しかしなかなか表に出る暇がなくて、初めて顔を晒すのが交通整理とは少し情けない』」

マー:何なの、この世界では何を差し置いても近所の交通整理が最優先なの!?

レイ:「レイ『それと別件だが、ルチアーノファミリーにジョニーって若いのがいるが、あいつどう思う?』
    マー『うむ、ジャックが車で突っ込んだ時に"最近名を上げてきたレイモンドファミリーからの刺客か"って云ってた、
       あいつ相当頭が切れるね、注意した方がいいよ』」

マー:こっちでは評価されてた!? 持ち前の粗暴な攻撃力も場合によっては功を成すもんだなぁ……

レイ:「ジャ『あの頭脳なら、おいらが本当にこの組織の人間だってばれるかもしれないっす!』
    レイ『確かにな、タッタリアを襲ったことが向こうに伝わっているとすれば、
       その共通点から同一人物だとあっさり割り出されるだろう』」

マー:過信しすぎだよ!! 教習所の教育がどうでやんすとか言ってるんだぞ!!

レイ:「マー『それに、俺が内部を探ろうと世界名品店のセールスを装って電話したときも、レイモンドの差し金かと疑われた。あいつ、なかなかの切れ者』」

マー:あれもこいつらの仕業だったの!? ジョニーの適当発言が計らずも的を射ているな……

レイ:「ジャ『こういうのはどうだい、レイモンドさん、
       戦力強化のために、ジョニーをこっちの組織に引きずり込んで、ルチアーノファミリーを滅ぼすんだ!』」

マー:やめとけって!! まず間違いなく自分たちが滅びるぞ!!
   その後ルチアーノファミリーが勢力を増すことは目に見えて明らかだぞ!!

レイ:「マー『あいつがうちに来るとなれば相談役の俺のみならず、ドンであるレイモンドも気を付けなければならないな』」

マー:全然気を付ける必要ねぇよ!! 大安泰だよ!!
   なんだ、こっちのファミリーも馬鹿ばっかりじゃねぇか、交通整理始めるとか言い出すし!!

レイ:「レイ『そうと決まれば膳は急げだ、早速ジョニーという男の身元を調査しよう』
    二人『おっす!!』
    その後、レイモンドファミリーの三人によってジョニーの身元調査が行われたが、あまりはっきりしたことは掴めなかった。
    進展の無いまま交通整理のボランティアを始めたレイモンドファミリーだったが、
    たまたま考え事をしていたジョニーが赤信号を無視して彼らに突っ込んだことで、第一次マフィア戦争が勃発したのは僅か三日後のことだった。
    後に、戦争の発起人として世界で名を上げるジョニーがインタビューされた際、
    『ロダンのポンペイ鉢、やっぱ買ったほうが得だったかなぁって考えてたでやんす』と発言して場を笑わせたが、真偽のほどは掴めていない(完)」

マー:終わっちゃったよ!! しかもジョニーが一番の大物みたいな感じで!!

レイ:「出演、ルチアーノファミリー:ラッキー・ルチアーノ、ジョニー・フォンテーン」

マー:エンドロール始まった!?

レイ:「レイモンドファミリー:フランシス・レイモンド、スリザー・マーキュリー、ワカルポネ・ジャック」

マー:ジャックのファーストネームってワカルポネだったの!?

レイ:「監督、脚本、製作総指揮:スリザー・マーキュリー」

マー:おいおいコラコラ!! 全部俺の責任にしてんじゃねぇよ!!

レイ:どうだった?

マー:どうもクソもねぇよ!! 本当にゴッドファーザーが好きなのか問いたくなるレベルだったよ!!

レイ:今回の脚本で、一点だけ改善すべきかどうかで悩んでるんだ。

マー:一つどころじゃねぇけどな、主に全部だけどな!!

レイ:レイモンドファミリーじゃなくて、ワカルポネファミリーのがかっこいいかなって

マー:そこじゃねぇよ!!
   オチもなんだかよく分からん感じでジョニーが全部持ってったし!!

レイ:あのなマーキュリー、かのドイツの高名な監督ミヒャエル・ハネケは、
   映画のオチを説明する必要なんてない、視聴者が考えて、感じればいいんだとの名言を残しているんだ。

マー:だからお前、ミヒャエル・ハネケじゃねぇだろ!?
   食堂で座る席がなくてパン持ったままうろうろしてたら「何あいつ、挙動不審の玉ねぎ?」って女子に云われたフランシス・レイモンドだろ!?

レイ:まぁとにかく、この台本で劇をすれば、俺たちも彼らのように……

マー:輝けねぇよ!! 云っておくけどなレイモンド、俺はこんなゴッドファーザーを愚弄するような劇には出演しないからな!! 絶対だ!!

レイ:おいマーキュリー、ならどうするというんだ!? 文化祭まであと一週間しかないんだぞ、お前なんかいい考えがあるのかよ!?




 * * *



男子:あの、ことあるごとに「うぇーい!!」って叫ぶ変な二人いるじゃん?

女子:水分を根こそぎ失った玉ねぎのこと? うん、あいつらがどうしたの?

男子:なんかあいつら、今から劇するらしいよ。
   噂によると、ゴッドファーザーのオマージュをやるとかやらないとか。

女子:えー、あいつらがゴッドファーザーとか無理じゃない?
   なんか常におどおどしてるし、虚言癖もあるし、マフィアって柄じゃないよ。

男子:だよな……あ、始まるっぽいぞ。



(続いての演目は、1年生のフランシス・レイモンド、スリザー・マーキュリーによります、漫才「玉ねぎの異常な愛情」)


レイ:はいどーもー!! いやー僕らね、学校内ではやたらと玉ねぎ玉ねぎって苛められるんですけど

マー:全然くやしくないんですよ! なぜなら、僕ら玉ねぎ大好きだからね!

レイ:そう、僕ら玉ねぎ大好きなんですよ! 僕らに玉ねぎって云っても何のダメージも負わないから、云うだけ無駄ですよ!
   さぁマーキュリー、僕らの玉ねぎへの愛がどれくらいのものかを皆さんに伝えてあげて!

マー:ゴッドファーザーと同じくらい、玉ねぎも愛してます!!

レイ:おい、それやったら皆さんに全然伝わらへんやないかー!!

2人:うぇーい!!!!






女子:……何あれ? 気持ち悪いゴミ虫、死ね

3組目 月影連盟






センチメンタルゼリービーンパニック    セミファイナルAブロック2位
コント/境地
国立「終わりよければすべてよしなので」

高岡「頑張ります」
通常回でもまさにそんな感じだったこの2人。 最初で最後のファイナル!センチメンタルゼリービーンパニック!

高岡「あのー……」

住職「はい?」

高岡「こんなに山奥を歩くもんなんですか?荒行ってのは…」

住職「こうして滝まで歩く…というのも修行のひとつですので」

高岡「はぁ……でももう5時間半も歩いてますよ…?」

住職「はっはっはっ…こんなことでは、滝の荒行には耐えられませんよ。はっはっはっ…」

高岡「やっぱり大変なんだなぁ…修行って…毎回こんなに歩くんですか?」

住職「いや、こんなには」

高岡「…では今日の滝は、あんまり行かないということですか?」

住職「いえ、毎回同じ滝ですが」

高岡「…ん?」

住職「いつもは30分弱で着きます」

高岡「……ん?!」

住職「…はい?」

高岡「遭難…まさか遭難したんですか?」

住職「……いやいや…そんなことは…」

高岡「目を見てくださいよ!目を!ねぇ!
   遭難したの今まで修行とか言ってごまかしつづけてたんすか?!5時間も!!」

住職「…えぇ…まぁ…そうなんです…あ、今ダジャレみたいになっちゃいましたね(笑)」

高岡「いやふざけんなよぉ!お前ふざけんなよぉお!ふざけんなよ2つの意味で!」

住職「いや、私の立場も僧なんで…3つ(笑)」

高岡「うるせぇな!あーもう色々ふざけんなよ!迷ったって気づいたのいつだよ!」

住職「歩き始めて30分を経過したあたりで…『おや?』と」

高岡「なんでその『おや?』でなんとかしなかったんだよ!」

住職「この世の一切は諸行無常であります。永遠不変なものなどございません」

高岡「…はぁ」

住職「ですから、『ははぁん…滝の位置も変わったに違いないな』…と」

高岡「バカか!なんだその無理矢理な解釈!」

住職「まぁまぁ、そんなカッカしなさんな…」

高岡「こんなことなら滝の荒行なんかこなきゃ良かった…」

住職「私だって今自責の念と戦っておりまするぞ!…
   …こんなに歩くなら、いつも通りエアマックス履いてくればよかった」

高岡「いっつもそんなもん履いてるのかよ!そんな歩きやすいもん履いてて何が荒行だよ!」

住職「まぁ今日はちょっと近くの滝行くだけだし…草履でいいかなって」

高岡「近くのコンビニにサンダル履いて行くみたいな感じで履き物決めんなよ!…ん?」

(ここで突然の雨)

高岡「あー!雨降ってきちゃったよ!」

住職「しょうがない…あそこの洞窟で雨宿りをしましょう!」

(洞窟)

高岡「あー…もうなんなんだよ…本当に遭難しちゃったよ…」

住職「あー…新しい袈裟おろしたばっかなのに濡れちゃった…
   あーもうスウェットで来ればよかった」

高岡「だから近所のコンビニ行く格好で荒行に挑むなって!」

住職「なんだよー…カリカリしてんなぁこの人…笑った方が人生幸せですよ」

高岡「こんな状況で笑えるかよ…」

住職「あ、では、住職のちょっと面白い話を」

高岡「余裕あるなぁ…」

住職「それでは…(木魚と鐘と数珠を取り出す)」

高岡「何でそんなもんを…」

住職「(ポクポクポクポクポクポクポクポクポクポク…)」

高岡「何?!なんなのこれ!」

住職「(木魚を叩きながら)この間、」

高岡「なんか始まった!」

住職「弟子と一緒に滝に打たれる荒行をしておりましたところ、
   私の雑念がもうすぐ消えそうだなーなんて思って、
   悟りが開きそうだなーなんて思いまして、
   ふと『横の弟子はどうだろう』なんて思いまして、隣の弟子に目を向けましたら…
   (ポク、ポク、ポク、ポク)」

高岡「…」

住職「弟子、すでに解脱しとったんですよ(笑)(…チーン)」

高岡「何が面白いのこれ!解脱の意味もわからないし!何これ!」

住職「(ジャリ、ジャリ、ジャリ)続きまして…」

高岡「数珠をこすりつける音をブリッジに使うな!」

住職「(ポクポクポクポク)この間、ある弟子が一番下の入りたての弟子を
   しかりつけておったんですが、『お前って本当に三法印にかけてるな!』と。
   それを聞いた私は言ってやったんです。
   (ポク、ポク、ポク、ポク)
   いやいや、それを言うなら四法印だろ!…ってね(笑)(…チーン)」

高岡「…全然わからないです!何それ!」

住職「(ジャリ、ジャリ、ジャリ)では続きまして…」

高岡「あ、もういいですもう!意味わかんないですから!
   逆にその木魚や数珠が不安をあおるわ!」

住職「こんなに面白いのに…(ジャリ、ジャリ、ジャリ、ジャリ)」

高岡「どう面白いのかさっぱりですわ!」

住職「これ茨城の妙法寺ってとこで説法した時はすごくウケたんだけどね…
   (ジャリ、ジャリ、ジャリ、ジャリ)」

高岡「マギー司郎的な感じで言うな!あと手を止めろ!ジャリジャリうるせぇんだよ!」

住職「そうですよね…あんまりジャリジャリ言うとハマグリとか食ってて
   砂っぽかった時のこと思い出しますもんね…」

高岡「そんな理由じゃねぇよ!ただ単にうるせぇんだよ!」

住職「まぁカリカリしてますね…体調でもすぐれないんですかね?」

高岡「お前が元凶だよ!この状況でピリピリしないやつの方が珍しいわ!」

住職「現代人は本当にストレスが溜まっていますな」

高岡「あんたそういうとこは一流の住職なんだな…ある種尊敬するよ…」

住職「私だってストレスが溜まることはありますよ。出家したとは言え、人間ですから」

高岡「まぁ確かにそうだろうけどさ…」

住職「ストレスは逃がさなければなりませんよ。まずは心を落ち着けなさい」

高岡「難しいなぁ…こんな状況で、加害者目の前にしてイライラすんなっつーのは…」

住職「ではどうでしょう。楽しいことを思い浮かべてみては」

高岡「楽しいこと…」

住職「まぁちなみに私ですと、精進料理を弟子が食べている目の前で
   300gのフィレ肉を食べるですとか」

高岡「どこが楽しいんだよそれ!ゲスだよ!ゲスの極みだよ!」

住職「あとは尋常じゃないくらい強い滝に弟子を打たせるですとか(笑)ははっ(笑)」

高岡「とんでもねぇなあんた!」

住職「あとは寺にある由緒ある鎌倉時代からの菩薩像を
   こっそりヤフオクに出品するですとか!(爆笑)」

高岡「罰当たりにもほどがあるよ!度が過ぎる!度が過ぎるよ!」

住職「全国の仏像マニアから入札の山だった時はモニターを見ながら思わず解脱しましたね」

高岡「それ解脱の使い方あってんのか?!」

住職「ちなみに仏像がないことに気づいた仲間の住職たちには、
   『菩薩様は釈迦如来のお導きで天にお昇りになりました』と伝えたところ、
   皆涙を流して喜んでおりました(大爆笑)」

高岡「笑いすぎてヒハヒハ言い出した!もうお前らの宗派きっとバカしかいねぇんだな!」

住職「あと楽しい瞬間と言ったら生肉で出来た袈裟を羽織って、
   座禅をしている弟子たちの前を通りすぎる時ね」

高岡「何そのプレイ!目も当てられないよ!」

住職「肉の臭いで弟子たちの鼻がヒクつくから叩き放題ですので…」

高岡「そりゃ肉の臭いなんかしたら生臭くてたまらんわ!」

住職「…これがホントの生臭坊主……ってね」

高岡「……くだらねぇよ!」

住職「ははっ(笑)!(ジャリ、ジャリ、ジャリ、ジャリ)」

高岡「数珠やめろオラァ!もう外せ!今すぐ外せ!」

住職「あなただってカリカリして!」

高岡「お前がジャリジャリするから俺がカリカリしてるんだよ!なんならピリピリしてるわ!」

住職「……」

高岡「……」

住職「…あっ!(数珠を差し出す)」

高岡「ジョークじゃねぇんだよ俺のは!確かにカリカリとかピリピリとか並んだけど!」

住職「またまたぁ!面白いジョークでしたよぅ!もう神!神です!」

高岡「そこはせめて仏と言えよ!」

住職「もうさっきから文句ばっかりですな。
   (ニヤニヤしながら)でもあなたのようにぶつぶつ文句を言う方は仏門に…」

高岡「次に数珠鳴らしたら殺す」

住職「もう…さっきから本当にピリピリしておりますなあ…
   あなたのような方こそ悟りを開くべきなのです。
   こちらをどうぞ。『誰でも開ける悟り』セット」

高岡「何その怪しさ満点の製品」

住職「これさえあればいつでもどこでも悟りが開けますよ。初心者用に、
   縦に開く悟り、これが横に開く悟り、シャッターのように開く悟りの3点セット」

高岡「物理的な開き方とかあんのかよ!」

住職「これで毎日練習すれば、いつか悟りが開けるようになりまするぞ」

高岡「もう胡散臭すぎて悟りが簡単に開けるように思えてきたな…」

住職「なっ…悟りはそう簡単に開けるものではありませぬぞ!」

高岡「まぁそうなんだろうけども…」

住職「以前私が300kgもの大きな悟りを苦労して開いたのに、
   弟子はそれを『風が入ってきて寒い』という理由で音をたてて閉めましてね」

高岡「ツッコむところが多すぎるエピソードだなそれ!
   もう何なんだよお前んとこの宗派!インチキ宗教だろ!」

住職「仏門をバカにするのもいい加減になさい!
   そんなことを言うと、今日大勢の如来と曼荼羅が追いかけてくる夢を見ますよ!」

高岡「何だその夢!何か怖い!怖いけどどうせでたらめだろ!
   くそっ…どうしてこんな寺選んじゃったんだ…
   荒行でダメな自分を変えようと思ったけど、
   こんな住職の寺選んじゃって…遭難もして……
   もしかしたらこのまま死ぬなんてことも…」

住職「高岡さん……」

高岡「俺はもう…もうダメなのか…うぅ…うぅぅっ……」

住職「高岡さん。有名な言葉で、こんな言葉があります。
   よろしければ聞いてください!」

高岡「……」

住職「……『ドンマイ』」

高岡「殺すぞてめぇ!!説法だろうがここは!
   ありがたい言葉の一つくらい言えよ!何4文字で片付けてんだよ!」

住職「今のは冗談ですよ!ははっ(笑)(ジャリ、ジャリ、ジャリ)」

高岡「数珠捨てろっつってんだろうが!」

住職「ちなみに言うと、遭難したというのも冗談ですけどね。ははっ(笑)」

高岡「……はぁ?!」

住職「同じところをぐるぐると回っていただけなのですよ。
   このような生臭坊主と極限状態を共にする荒行…
   お楽しみいただけましたかな?はっはっは…」

高岡「なっ…なんだよ…住職も人が悪いなぁ!
   俺てっきり本当に遭難したんだと思って…な、なんだよ…もう…よかった…」

住職「はっはっは…では滝の荒行に行きましょうか……」

 ・
 ・
 ・

住職「…って歩きだしたのがもう3日も前の出来事なんて、
   遭難したのも笑えるくらいの話ですね(笑)」

高岡「(解脱)」

4組目 センチメンタルゼリービーンパニック






天体観測    セミファイナルAブロック4位
コント/とある王女の一日
 翔:狙うは優勝ただ一つ!
ミヤ:私たちの青春だった青バトに恩返しをするためにも優勝します!
二人:えいえいおー!
一時は不調もビッグチャレンジで見事復活、ファイナルに舞い戻ってきた。5期ぶり3度目のファイナル!天体観測!

ミヤ:鏡よ、鏡。この世で1番かしこいのは誰?
 
 鏡:はい、それはミヤ王女あなたです

ミヤ:鏡よ、鏡。この世で朝からワイドショーでガンガン文句を言っているのは誰?

 鏡:はい、それはやくみつるです

ミヤ:鏡よ、鏡。この世で1番美しいのは誰?

 鏡:はい、それは新垣結衣ちゃんでございます

ミヤ:ミヤちゃんぱ〜んち!

 鏡:ぐへあっ。失礼しました……それはミヤ王女。あなた様です

ミヤ:お〜ほっほっほ。当たり前じゃない

 翔:とんだバイオレンスな王女様やな

ミヤ:あら、私の手下の翔じゃないの。どうしたの? 夜這い?

 翔:そんな事しませんよ! 今日はご相談がございまして

ミヤ:おやつのエクレアならやらんぞ

 翔:いらんわ

   違いますよ。実は、次の戦のことなんですが

ミヤ:戦? それはエクレアを顔にぶつけ合うパーティーのことか?

 翔:そんなアグレッシブな戦は見たことがありません

   隣の王国が近々、この国に攻めてくるとの噂があるのです

ミヤ:そうか、そうか。心配するな。その件はすでに手は打ってあるのだ

 翔:そうなんですか!? さすが王女様だ

ミヤ:まず、私が水着で相手陣地に行くだろ

 翔:「まず」の時点で撃たれとるわ

ミヤ:え? まず間違いなく相手は私の水着姿に目を奪われるだろ!?

 翔:どっから来る自信なんだろ

ミヤ:そして、セクシーなポーズでも一つや二つ見せつければ完全に戦は終わる!

 翔:同い年だったらボコボコにしてたわ

ミヤ:ん? 何か意見があるなら申してみぃ

 翔:お言葉でございますが、なにぶん相手もいきり立っておりまして……

   王女様の水着姿で戦が終えるとは到底思えないのですが……

ミヤ:だから、私の水着姿で相手のアレもいきり立たせようかと

 翔:しばくぞ。フランスパンで思い切りしばくぞ

ミヤ:今のは冗談だ。うっそぴょーんだ

 翔:あらやだ、ウザい

ミヤ:それで、相手の兵の数はどれくらいなのだ?

 翔:およそ、10万人の兵とのことです

ミヤ:一人3つエクレアを渡すとしても……30万個のエクレアを焼かないといけないのか!

 翔:エクレアどっから出てきたんだ

ミヤ:いや、せっかく来てくれたならお土産を渡さなければと思い……

 翔:凄い友好的やな。戦だって言ってるのに

   こちらも相当な数を動員しなければなりませんね

ミヤ:そうだな。街中の菓子職人とオーブンを用意しなければ

 翔:エクレア忘れろや。そうじゃなくて兵隊のことです!

ミヤ:兵隊か……実は私は戦についてはあまり詳しくはないのだ

 翔:え? そうなんですか?

ミヤ:あぁ。戦に関しては全て亡くなった父が指示を出していたからな

   だから出来れば、意見などを出していただけると助かるのだが

 翔:それでは王女様、一つよろしいでしょうか?

ミヤ:なんじゃ、何でも申してみぃ

 翔:我が国に進入するためには橋を通らなければなりません

   その橋に地雷を埋めておくというのはどうでしょうか?

ミヤ:うわ〜……ひくわ〜……ドン引きだわ

 翔:ちょっ、ちょっと! 何でですか!?

ミヤ:私も一応女の子だからさぁ。そういう地雷でぶっ飛ばすとかグロいのって苦手なんだよね

 翔:そ、それなら王女様ならどのような作戦を……?

ミヤ:寝ている隙にエクレアを尿道に突っ込むとか

 翔:そっちのほうがグロいわ

ミヤ:シュークリームを傷口に塗りこむとか

 翔:微妙に乙女チックやな

ミヤ:パフェの容器で相手をどつくとかね

 翔:なんでさっきから洋菓子ばっかしなんですか!

   いや、最後のは厳密に言うと違うけど!

ミヤ:じゃあ二人の意見を合わせて、橋に洋菓子でも埋めておくか

 翔:戦が終結する可能性が0パーセントなんですけど

ミヤ:ふふふ。実はな、父から遺言状を預かっているのだ

 翔:唐突にどうしたんですか

ミヤ:父は死の寸前で、戦に関しての知恵を遺言状に残したと仰っていたのだ

 翔:おぉ、そうなんですか! それならばこの戦、勝ったも同然ですね!

   それで、遺言状にはどのような内容が書いてあったのですか!?

ミヤ:な・い・しょ(はーと)

 翔:お前の部屋に地雷ばら撒くぞ

ミヤ:本来ならば、手下のものに重要機密は教えられん

   しかし、今回ばかりはそうも言っておられん。翔、お前の力が必要なのだ

 翔:ははっ! 命を懸けて戦わせていただきます

   それで、私は何をすればよろしいのでしょうか?

ミヤ:この遺言状読んでくれない? 私、漢字読めないんだよね

 翔:洗濯機の中で回すぞ

ミヤ:早く読んでよぉ

 翔:キャラ崩壊しとる

   ちょっと待ってください。何々え〜と……ふむふむ……なるほど

ミヤ:誰かー。エクレアの口直しにゴーヤチャンプルー持ってきてー

 翔:自由気ままかよ。わかりましたよ、王女様

   この戦、ただちに止めましょう

ミヤ:どういうことじゃ? 申してみぃ

 翔:さっきからその「みぃ」が腹立ってしゃーない

   実は、遺言状によると亡くなった王様は平和を心より望んでいるようでした

   隣の国と戦をするのではなく、同盟を結んで巨大な国を作るようにと

ミヤ:核爆弾用意して

 翔:話聞いてたか

ミヤ:だってー、それじゃ面白くないしー

 翔:誰だよ、こいつ王女にした奴

ミヤ:で、一つになるってのは要はやらしい意味?

 翔:その口ふさぐぞ

ミヤ:冗談よ。分かったわ、隣の国王に会いましょう

 翔:それがいいですね。私が責任を持ってボディーガードします

ミヤ:お土産は何がいいかしら

 翔:洋菓子以外にしろよ

ミヤ:芋ようかんにしましょうか

 翔:何で急に和菓子になった

ミヤ:さぁ、それでは出発しましょう。着替えるから部屋の外で待ってなさい

 翔:着替え? 別に今のドレスのままで行けばいいじゃないですか?

ミヤ:いや、水着に着替えないと

 翔:エクレア投げつけるぞ!
碓氷:天体観測がチャンピオンに相応しいと思った方は、
   緑のボールを流してください。どうぞ!



ミヤ:別に栗まんじゅうとかを流しても良いですよ
 翔:アンコがぎっしり詰まってる奴をお願いします

5組目 天体観測






有機丸アポロ    セミファイナルBブロック1位
漫才/flower☆child
遠山:今俺達が出せる中で一番アポロらしい漫才です。

出雲:これが俺達の真骨頂です!!マクレガぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!

遠山:マクレガーが出たということは今日の出雲は絶好調ですよ。
マグレで出たわけじゃないことを祈りますわ。2期連続2度目のファイナル!有機丸アポロ!

遠山:どうも、有機丸アポロです。

出雲:こんにちは、百歩譲って有機丸アポロです。

遠山:妥協案みたいに言うなよ。俺達はスタートから有機丸アポロだよ。

出雲:逆に百歩譲られたらコブクロです。

遠山:どうなったらそうなるんだよ。俺達がコブクロに並べる要素無いわ。
      そんなことより、お前に聞いてほしい話があるんだ。

出雲:おぉなんだいクロ、クロの話ならコブは何でも聞くぜ?

遠山:コブクロそんな呼び合い方しないからな。訴訟沙汰になったら俺は原告側に回るからな。
   あのな、学生時代って学校の七不思議みたいなのあっただろ?

出雲:ああ、あったな。音楽室のベートーベンの目が動くとか。

遠山:そうそう、夜のプールで溺れ死んだはずの生徒が泳ぐとか。

出雲:あと、音楽室のベートーベンの首が動くとか。

遠山:早くもベートーベンかぶってんぞ。学校広いんだからそんなにベートーベンに不思議集中しねえよ。

出雲:職員用トイレのベートーベンの目が動くとか。

遠山:職員用トイレにベートーベンねえだろ!職員はどんな気持ちで用を足してんだよ!

出雲:職員用トイレのバッハの目が動くとか。

遠山:どんだけ職員用トイレに肖像画があるんだよ!!

出雲:職員用トイレの歴代校長の写真が夜中に笑うとか。

遠山:校長室に飾れよ!歴代校長も自分の写真がトイレに晒されるなんて思わなかっただろうに!

出雲:その中の現校長の写真に夜な夜な教頭がスッポンを押し付けるとか。

遠山:知らねえよ!教頭が現校長に鬱憤が溜まってるとか知らねえよ!

出雲:ウップンをスッポンでハッサン。

遠山:早口言葉みたいにすんなや!そんな七不思議ねえよ、過半数が職員用トイレじゃねえか!

出雲:この七不思議を全て知った者は、数日後、教頭に襲われるという……!!

遠山:それ多分七不思議全部知ったからじゃなくて、最後のを知ったことの影響じゃねえの!?

出雲:どうだ、おっかないだろう。

遠山:教頭がな!?七不思議とかじゃなく、教頭の執念がな!?

出雲:トイレにはそれはそれはおっかない教頭さんがいるんやで。

遠山:植村花菜っぽく言うなや!!お前この短い間でミュージシャンとの裁判2つだぞ!?
   そういうのじゃなくてさ、七不思議といえば、例えばトイレの花子さんみたいな。

出雲:ああ、トイレの花子教頭な。

遠山:教頭混ぜんな!それじゃ単なる用を足す女性教師だろうが!

出雲:あ、じゃあ花子校長?

遠山:肩書きの問題じゃねえよ!そもそも花子は教師じゃねえよ!

出雲:あ、お前今の発言は日本全国の花子先生を侮辱したぞ。

遠山:そんなつもりはないんだけど!

出雲:そんな侮辱をしたら、今夜日本全国の花子先生がお前の家にやってくるからな。

遠山:こえぇよ!!むしろお前のその発言が花子先生への侮辱じゃねえの!?

出雲:そしてお前の家のトイレにある先祖の写真にスッポンを押し付けていくぞ。

遠山:トイレにねえよ!そんな罰当たりな真似するほど俺は信心浅くねえよ!

出雲:二度とまともにトイレに先祖の写真を飾れると思うなよ……!!

遠山:まず一度たりともトイレに先祖の写真は飾らねえよ!!
   てか、トイレの花子さんの話だからね!?知らないの!?トイレの花子さん!!

出雲:知ってるよ。いや、少し知りすぎている。

遠山:組織の機密じゃねえんだから!
   あれだよ?学校のトイレのある個室に向かって「花子さん、遊びましょ」と声をかけたら返事があるという。

出雲:そしてその返事に応えてしまうとマスクをした花子さんが出てきて、そのマスクの下には耳まで裂けた口が……!!

遠山:違う怪談混ざってる!口裂け女が混ざってる!

出雲:そしてその花子さんをよく見ると、なんと人面!

遠山:当たり前だろうがよ!なんで人面犬を混ぜたんだ!

出雲:そしてその花子さんの腰を見ると、なんと無数に巻きつけられたコオロギが!

遠山:……それ元ネタ何!?知らないんだけどそんな都市伝説!?

出雲:あれ、知らない?「腰コオロギのノボルくん」。

遠山:知らない知らない!そんな違うベクトルで気持ち悪い怪談知らない!!

出雲:別名、「予備校のストレスで奇行に走りがちなことで近所で有名なノボルくん」。

遠山:ただの変な浪人じゃねえか!んなもん両親に止めさせろよ!

出雲:両親はトイレの校長の写真や先祖の写真にスッポンを押し付けるためにいつも不在。

遠山:教頭と花子先生!!そんな家庭だから子供がそんな奇行に走るんだよ!

出雲:そのうちノボルくんも予備校のトイレにある講師の写真にスッポンを押し付けるんだろうね。

遠山:どんなサラブレッドだよ!ていうか花子の話だろうが!!
   お前俺が花子の話するたびに変態一家の話題で邪魔しやがってよぉ!!

出雲:ああ、ゴメンな?話の腰を折って。
   あ、腰と言えばノボルくんが腰にコオロギを付けるようになったわけは……。

遠山:ほら言ってるそばからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁ!!
   ノボルは知らねえんだよ!そんな変なことするから大学に落ちるんだ!

出雲:そっか、ゴメンな?話が横道にそれちゃって。

遠山:横道どころかもはや上空だな。お前1人だけ話題が天へと向かっちゃったな。

出雲:でもさぁ、トイレの花子さんってさ、可哀想だよな。

遠山:ああ、確かにな。噂では、花子さんは変質者に殺されたとか、いじめで死んだとか色んな説が……。

出雲:いや、そういうのじゃなくてさ、トイレだぜ?

遠山:………………はにゃ?

出雲:いやだからさ、花子さんも年頃の女の子じゃん。
   それなのに日本中に汚いトイレの象徴みたいに言いふらされてさ、可哀想じゃん。

遠山:え、お前何を心配してんの!?何故に花子さんの女心を気遣ってんの!?

出雲:そもそも「花子」という名前の時点で周りから浮いちゃうもん。友達にからかわれちゃう。

遠山:花子に友達いねぇよ!だっておばけだもん!孤独に現世を彷徨う霊魂だもん!

出雲:絶対将来トラウマになっちゃうよ。

遠山:花子に将来もクソもねえよ!だっておばけだもん!永きこと現世に留まり続けるおばけだもん!

出雲:だからさ、もうトイレの花子さんっていうのは止めて、もっとオシャレな場所に移してあげようよ。

遠山:それって花子さんのアイデンティティの崩壊じゃね!?オシャレな場所ってどこだよ!

出雲:んー、例えばテニスコートとか。

遠山:イメージ湧かねえよ!どんなんだよテニスコートの花子さんって!

出雲:もう花子さんとは言わないの。「お花夫人」っていう。

遠山:お蝶夫人みたいに言うな!何をエース狙ってんだ!

出雲:んで、テニスコートに向かって「花子さん、遊びましょ」って言うと、
   「遊んでる暇なんてないの、もうすぐ大会なんだから!」

遠山:もはやただのテニス部員じゃねえか!花子さんは大会出れねえだろ!

出雲:いいじゃん、テニスの花子様。テニハナだよテニハナ。

遠山:それっぽく言えばいいってもんじゃねえよ!
   大体勝手におばけを部員にすんなよ、顧問卒倒すんだろ!

出雲:ま、これが本当の幽霊部員だな。にぱっ。

遠山:うわムカつく――――――――――――――――――――――っ!!!
   携帯楽屋に置いてきて良かった!手元にあったら殺し屋にコンタクト取ってた!

出雲:でも良くない?これで花子さんのことを怖がる人はいなくなるよ?

遠山:そしたらもう花子さんはおしまいだよ!お払い箱だよ!
   そんなんじゃダメだよ、怪談特有のおどろおどろしさが無いもん!

出雲:あのさぁ……そんなおどろおどろしさを追求して、色んな人の恐怖の対象になることが、花子さんに必要?

遠山:必要だよ!!だって学校の怪談だもん!学校に伝わる怪しき談だもんよ!

出雲:そうやって学校に限定するのもよくないよね。もっと広い世界に解き放たなくては。

遠山:学校出ちゃうの!?学校もトイレも無ければいよいよ花子さんが名ばかりになっちゃうぞ!?

出雲:いいんだよ、もうトイレは教頭一家のものなんだよ。

遠山:譲渡しなくてもいいじゃん!
   圧倒的知名度と歴史を誇る花子さんが変態家族に気を使わなくてもいいじゃん!!

出雲:だから「オープンカフェの花子さん」とか。

遠山:よくわかんない!オシャレなだけでよくわかんない!

出雲:「はーなこさん」って呼ぶと「はいお客様、注文は何でしょう?」

遠山:店員じゃねぇか!ただのカフェ店員の花子さんじゃねぇか!

出雲:そしてコーヒーを頼むとスッポンに注がれたコーヒーが運ばれてくる。

遠山:嫌な店だな!トイレにいた頃の名残!?

出雲:コーヒーに使われているお湯は便所の水を使っている。

遠山:ばっちぃ!!不衛生どころじゃ収まりがつかんぞ!?

出雲:だけどそれはそれは美味しいコーヒーなんやで?

遠山:だから植村花菜っぽく言うな!味の問題じゃねえよ、状態の問題なんだよ!!

出雲:えー、オープンカフェじゃまだ華々しさが足りないか……。

遠山:華々しいからダメなんだよ、陰気じゃないとダメなんだよ!

出雲:よっしゃ、もうアイドルにすっか!

遠山:……やだ、もうこの子、発言が異次元過ぎてやだ……。

出雲:おいおい、小中と通信簿に書かれてたようなことを言うなよ。

遠山:お前義務教育一貫してこんなんだったの!?絶対先生ノイローゼになったろうに!

出雲:思い出すなぁ……俺に通信簿を渡し、そのままスッポンを持ってどこかへ行った花子先生……。

遠山:お前が全ての始まりか!!お前が1人の教師の人生と性癖を狂わせたところから全てが始まったのか!!

出雲:風の噂では先生は家庭を持って幸せにやってるとか。

遠山:その家庭は既にボロボロだよ!スッポンとコオロギに乗っ取られた地獄ファミリーだよ!!
   そんなんはどうでもいいんじゃぁぁぁぁぁい!!お前の歴史を紐解く暇は無いんじゃぁぁぁぁぁい!!!
   ねぇ、どういう発想!?花子さんをアイドルにするってどういう発想!?

出雲:AKB流行ってんじゃん、それに倣ってオーバーケーってのを。

遠山:流行んねえよ!パクリの上に怖いんじゃもういいとこ無しだよ!

出雲:花子さんの他に色んなおばけをメンバーにしてね。

遠山:もはや百鬼夜行じゃねえか!!完全にゲゲゲな世界観じゃねえか!!

出雲:他のメンバーはね、口裂け女、メリーさん、隙間女、テケテケ……。

遠山:うっわぁ、ここまで会いに行きたくないアイドルも無いな。

出雲:ジェットババア、走る人体模型、人面犬、ちっちゃいおっさん……。

遠山:もはやアイドルでもねえぞ!?ただの妖怪大集合だぞ!?

出雲:そんなお化け達が舞台狭しと歌って呪うの。

遠山:踊れよ!!単なる呪いの歌合唱団じゃねえか!

出雲:「憑きたかったー♪ 殺りたかったー♪ 祓われちゃったー♪ ギャァァァァァァッ!!!」

遠山:おっかねーよー!!AKB親衛隊の皆さんも裸足で逃げ出すよー!!

出雲:「き……きぃぃぃぃぃみぃぃぃぃぃにぃぃぃぃぃっ………!!」

遠山:怖いよ怖いよーっ!ただのトラウマだよ、アイドルでも何でもねえよ!

出雲:いけるよ、きっと取り憑かれたかのようにハマる人が出てくるよ。

遠山:多分その人はガチで取り憑かれてるんだと思う!

出雲:きっとノボルはめちゃくちゃハマってまた受験に落ちるよ。

遠山:知らねーよ!!変態浪人の今後は知らねーよ!

出雲:そして息子が受験に落ちたのはお前のせいだと教頭が花子さんを倒しに行くんだ。

遠山:何その新旧トイレの住人対決!?微塵もワクワクしない!

出雲:教頭がスッポンをこう繰り出すだろ?それをよけた花子さんがこう……。

遠山:シミュレーションして楽しんでんじゃねえよ!不愉快通り越して不可解!!

出雲:いやぁ、まさにドリームマッチだね。

遠山:悪夢だこんなもん!起きたら寝汗でパジャマぐしょぐしょになるレベルの悪夢だ!

出雲:でもそれはそれは白熱した戦いじゃったそうな……。

遠山:なんでここにきて植村花菜じゃねえんだよ!!なんで日本昔話風味なんだよ!!
   おい、お前こんなんダメに決まってんだろ!花子さんにはトイレがお似合いなんだよ!!

出雲:まあまあ、そんなに怒んないでよ、「舞台の遠山さん」。

遠山:花子さんみたいに言うな!もういいよ。

出雲:いやいや、ここで終わらずもっと「あーそびーましょ」!

遠山:いいかげんにしろ!!

2人:どうもありがとうございました。
(楽屋へ戻る道中で…)



出雲:全力でやったんでね。全力が青バトへの恩返しなんで。

遠山:これで結果がついてきてくれれば報われるんだけどなぁ……。

6組目 有機丸アポロ






碓氷:前半6組がネタを披露し終えました。

市河:後半の5組へ参りましょう!




後半5組へ!