有機丸アポロ 漫才/並べて!音楽家 |
遠山:来ちゃったぜ……念願のC大会に来ちゃったぜ……!! 出雲:やるからには全力でファイナル進出狙います、ファイナル行ったら遠山が女になります! 出雲:なりません、頑張ります! |
なったらなったでおもしろそうですけどね。C大会初出場!有機丸アポロ! |
遠山:どうも、有機丸アポロです。
出雲:こんにちは、なまかです。
遠山:嘘をつかない。お前はいつ香取悟空と友達になったんだ。
出雲:いや、そっちのなまかじゃない。「生半可」の略称だよ。
遠山:なんかヤだよ。これから頑張って漫才やるってのに相方が生半可じゃヤだよ。
出雲:まあ、そんなことより、お前に話があるから、聞き比べて。
遠山:何とだ。お前の発言に集中させてくれよ。
出雲:あのな、最近ゾンビ……いや、小学生の学力が下がってるらしいじゃん。
遠山:確かにそうらしいが、お前は何と小学生を間違えてんだ。ゾンビと小学生につながりねえよ。
出雲:まあ、両方「腐ってる」って意味で。
遠山:小学生腐ってねえよ。お前多分だが私情交えてねえ?
出雲:交えてねえよ。確かに先日小学生数人に全力で石ころ投げつけられたけれども。
遠山:ほらほらー。てか陰湿なことされてんな。
出雲:俺が小学生数人に「町にはびこる低脳が!バーカバーカ!」って言って泥団子投げつけたからかなぁ……。
遠山:じゃあ完全にお前が元凶じゃん。正当な報復だよ。つーかお前の方がガキくせぇよ。
出雲:まあ、とにもかくにも子供の学力が下がってるわけよ。
あの……何だっけ、あ、かとり教育のせいで!
遠山:ゆとり教育な。どうもお前香取慎吾に執着してんな。
出雲:今の小学生や中学生は俺達が学生時代習ってたことを習ってないってゆうし。
遠山:ああ、確かにな。台形の面積習わなかったり、円周率をおよそ3って習ったり。
出雲:いや、それもあるけどさ、そんなクソみたいなことよりもっと重大なことあるじゃん。
遠山:口がすぎるぞお前。そんな重大なゆとり教育の弊害あったっけ。
出雲:あるよ、今の小学生はなぁ、「音楽室にある肖像画の並べ方」を習ってねえんだよ!
遠山:………はあ!?
出雲:これは由々しき事態だぞ!?
俺達が学生時代将来の自分のため習った「音楽室にある肖像画の並べ方」を今の子供は習ってねえときたもんだ、
こいつぁのっぴきならねえや、てやんでえべらんめえ……。
遠山:いやいや、なんか江戸っ子っぽくなってるとこ悪いけど……何それ!?
出雲:な、習っただろ普通!大体でんぷんの実験のあとは音楽室にある肖像画の並べ方だろが!
遠山:理科なの!?いや、そんな実用性なさそうなカリキュラム習った覚えねえよ!!
出雲:実用性あるよ!ちゃんと正しい並べ方をしないと、肖像画の目が動くんだぞ!?
遠山:その七不思議ってそこから来てんの!?なんだその因果関係!
出雲:さらに理科室の人体模型も走り出すんだぞ!?
遠山:それは何の関係が!?何で音楽室の異変が理科室に影響すんだ!
出雲:さらにさらに、ゴツい体育教師がセクシーな校医とくっついちまうんだぞぉ!?
ぎゃああぁぁぁ!!!
遠山:うるせえ!それは絶対関係ねえだろ!!
出雲:わかった、お前が並べ方を忘れたというなら俺が懇切丁寧に教えてやるから泣いて敬え。
遠山:そこまでして知りたくねえよ。忘れたってか教わってねえし。
出雲:いくぞ、まず最初、左端に誰を置く!?さぁ、誰だ!おい、さぁ、はぁ、おい、さぁ、はぁ!!
遠山:うるせえよ!何だそのせかし方。んー、わかんねえけど……ベートーベンとか?
出雲:……お前、狂ってんのか!?
遠山:そこまで言うかお前。え、何?最初にベートーベン置くのはタブーなの?
出雲:お前、最初に3Bのうちの一人であるベートーベンなんか置いたら学校爆発するだろが!
遠山:マジで!?肖像画の並べ方ごときで学校爆発!?
出雲:そりゃそうだ、3Bは偉大だからな。
あ、3Bってのは、ベートーベン、バッハ、別所哲也だ。
遠山:最後ブラームスだよ。ハムの人がいつ音楽家になったんだ。
出雲:とにかくベートーベンはダメだ、出し惜しめ。3Bは勝負所で使うんだ。
遠山:カードゲームみたいだな。どこが勝負所なのかからきしわかんないけれども。
出雲:さあ、誰を置く!?おい、さぁ、おい、はぁ、おっ、はー。
遠山:今おっはーっつったろ!香取慎吾はもういいんだよ。えー、じゃあ……ショパン!?
出雲:……グッドチョーイス!よっしゃよっしゃ。
遠山:判断基準がわかんねえ!!あ、ショパンが正解なの!?
出雲:そうだ、ショパンは足も速く、度胸もあるため先陣を切るにはもってこいなんだ。
遠山:なんだその一番バッターみたいな判断基準!肖像画に速さとかなくない!?
出雲:さあ次だ。ここで判断を誤ると壁中に空いてる穴から毒ガスが噴出されるぞ。
遠山:あの穴そのためにあんの!?物騒だな。
出雲:難しいからヒント。そいつはショパンと並べると特殊コンボが使えるゾ☆
遠山:コンボとかそんなこと言われてもわかんねえよ!もう降参だ、教えて?
出雲:正解はベートーベンです。
遠山:え、ここ勝負所!?3B使うの早っ!
出雲:ショパンとベートーベンを並べることにより特殊コンボ「革命運命」作動。
フィールドにある敵の音楽家を一人撃破できる。
遠山:完全にカードゲームじゃねえか!!なんだ敵って!
出雲:さぁ次だ。次に置く音楽家は日本人がいい。
ヨーロッパの音楽家だとショパンとベートーベンに気圧されて肖像画が千切れてしまう。
遠山:その超常現象の原理を教えろ!日本人の音楽家……滝廉太郎とか?
出雲:ぐ、ぐみゅうぅぅぬん……。
遠山:なんだそのリアクション!え、ダメなの!?
出雲:いや、ダメじゃないんだけどさぁ……ベートーベンと滝廉太郎並べるとさぁ……絵面が悪いんだよ……。
遠山:知るか!この期に及んで絵面とか知らねえよ!!
出雲:なんか、ベートーベンに滝廉太郎が絡まれてるみたいじゃん。
「おい滝、一万円よこせや。」
「ヒィィ、そ、そんなこと言われても、今600円しか持ってないでゲス!」
遠山:肖像画で変なストーリー作るな!バチあたりだろが!
出雲:「つべこべ言わずよこせや!」
「待てベートーベン、滝廉太郎から手を離せ!」
「あ、あなたは、別所哲也さん!」
遠山:別所さん出すな!なんか変な空間になっただろ!
出雲:「食らえ別所流奥義、泥団子投げ!」
遠山:別所さんをお前レベルの知能にするな!
出雲:「わー、やられたでゲス!」
遠山:滝廉太郎に攻撃してんじゃん!てか何の話だ!!
出雲:ああ、並べ方だったな。どうしてもベートーベンの次に滝廉太郎を置きたいなら、間にレタスでも挟んどけ。
遠山:何でだ!ワケわかんねえよ、音楽家、レタス、音楽家って!
出雲:クッションとしてね。
遠山:クッションのチョイスよ!もっと違うものなかったのかよ。
出雲:それにベートーベン、レタス、滝廉太郎と並べればBLTになるし。
遠山:ハンバーガーか!!そんなユーモア必要ないんだよ!で、次は誰置くんだよ。
出雲:んー、ポケモンカードでも置こうか。
遠山:何でだよ!!何だこの期に及んでその適当な感じ!!
出雲:あ、その時置くカードはサンドパンが望ましいよ。
遠山:知らねえよ!理由を教えろその理由を!
出雲:やっぱBLTは「パン」で挟まないと。
遠山:やかましいわ!!そんなくだらねえシャレのために音楽家にポケモン混ぜ込むなや!!
出雲:一応しっかりした理由もあってな。
じめんタイプであるサンドパンとむしタイプである滝廉太郎がお互いの弱点を補うという……。
遠山:滝廉太郎にタイプとかねえよ!!もしあってもむしタイプではねえよ!!
出雲:そうでゲスか?
遠山:そうだよ!あと滝廉太郎に呪われたくなけりゃそれやめろ!
出雲:まあ、とりあえず続き行こうか。さぁ、おい、さぁ、ばら、のない、はなや!!
遠山:もうムリヤリ香取ねじ込んでんじゃん!!えっと……シューベルト!?
出雲:おぉいいじゃんいいじゃん、その調子。
遠山:……リスト。
出雲:そうそうそういいよいいよ、さあシューベルト、リストと来ました、ここで!?さぁ、ここでぇっ!?
遠山:うるせえ、えーと……バッハ。
出雲:ブラヴォーーーーーッ!!いや、お前やるな!実は学生時代得意科目だっただろ!!
遠山:こんなもん得意にしてねえよ!正しいのかわかんねえし!!
出雲:いや、お前スッとバッハって言ったろ?普通はここでラフマニノフって言うんよ。
遠山:そんな名前普通出て来ねえよ!どこのどいつだ!!
出雲:ドイツじゃないよ、ロシアの音楽家だよ。
遠山:やかましいっつーの!で、この並べ方が良かったワケ!?
出雲:ああ、この三人を並べると特殊コンボ「オデコ広いフラッシュ」が発動される!
遠山:なんだそのコンボ!?音楽とか関係ねえの!?
出雲:これが発動されると敵の音楽家が三人歴史から抹消されるんだ!
遠山:効果凄すぎるだろ!!たかが並べ方ごときで歴史が動くの!?
出雲:さらにお前の寿命が延びるぞ!?
遠山:メカニズム教えろメカニズム!!壮大すぎてサッパリわからん!!
出雲:これがラフマニノフだと肌荒れを引き起こす。
遠山:ショボッ!バッハがラフマニノフになっただけでこうも違うか。
出雲:しかもセクシーな校医が事務員さんとくっついてしまう。
遠山:だからそれは別に関係ねえだろ!校医の恋愛事情はよ。
出雲:この負の特殊コンボを「ラフマニノフと鈍色の鎖に満ちた狂気の海」って言ってな。
遠山:なんかかっけえ!オデコ広いフラッシュに比べりゃこっちの方がなんかかっけえよ!!
出雲:でもお前凄いよ、OHFを発動するなんて。
遠山:略称とかわからんけど。
出雲:OHFを発動出来たってことは東京六大学の「音楽室にある音楽家の肖像画の並べ方学部」に入れるレベルかもな。
遠山:そんなんあんの!?しかも東京六大学に!?
出雲:さあ、ラストスパートだ!さぁ、おい、ちょ、なん、かん!
遠山:何でここでチョナンカンだ!香取慎吾へのこだわりどこいった!
出雲:さあ!!来なはれ、早く来ておくんなまし!!
遠山:うぜえ!えーと、チャイコフスキー。
出雲:はいいいよいいよ、次ちょーだいよ!!
遠山:……ロッシーニ。出雲:はいロッシーニいただきましたぁ!いいよ素敵よ、さぁ、最後ちょーだい!そのまま最後!!
遠山:ええ……じゃあ……3Bの最後、ブラームス!
出雲:お前、狂ってんのか?
遠山:どういうことだコノヤロー!え、ここに来てダメなのかよ!!
出雲:ダメだよ……つーかブラームスって誰だよ……。
遠山:お前はブラームスの扱いが雑だよ!じゃあ答えなんだよ!
出雲:ラフマニノフだろうが!!
遠山:ここでラフマニノフかよ!!ラフマニノフで締めんの!?
出雲:ここでラフマニノフ置けば特殊コンボ「別所哲也」発動だろ!
遠山:別所はもういいよ!!彼もこんなに音楽家に介入する義理ねえよ!
出雲:このコンボにより、学校の平和が保たれるんだ、全てはラフマニノフのもとに!
遠山:ラフマニノフによって学校守られたくねえよ!!
出雲:さらに好条件が揃えば、歴史上からラフマニノフ以外の音楽家が抹消されるんだ!
遠山:どんだけだよ!!肖像画の並べ方ごときがどこまで史実をねじ曲げるんだ!
出雲:凄いよな、さすがゾンビ……いや、ラフマニノフだよな。
遠山:またゾンビと間違った!なんの関係があんの!?
出雲:まあ、どっちも「SMAP」ということで。
遠山:どっちもSMAPじゃねえよ!ジャニーズにゾンビとかいねえだろ!!
出雲:まあ、コレでお前にも一般的な音楽室にある音楽家の肖像画の並べ方の知識が身についたな。
遠山:こんな知識が一般的な社会なんてクソくらえだ!
出雲:まあ、この話はこれでいいとして、最近の小学生は「理科室にある実験器具の並べ方」も習ってないみたいで……。
遠山:いいかげんにしろ!
二人:どうもありがとうございました。
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市河:有機丸アポロ、ファイナル進出だと思った方は、紫色のボールをドロップしてください。どうぞ! 出雲:ボールお願いします!面白くなくても、お腹が空いてたらボールお願いします! 遠山:ボールでお腹は膨らまないよ?バケツ膨らまさせてもらおうや。
くるぶしソックス コント/メリー静物園 |
ろぺす:全身全霊っす!これで負けても悔い無しです! おまりー:おはぎたべたい |
おはぎよりはあんころもち派です。2大会ぶり2回目のC大会!くるぶしソックス! |
「メリー静物園無料招待券」がポストに入っていたのは、3日前の事だった。
動物園なら嫌というほど日本に点在しているが、静物園、というのは初めて聞く。
案内を見ると、ここからさほど遠くない山奥にあるらしい。特にする事が無かった俺は、日曜である今日、ハンドルと入場券を握り締めたのだった。
メリー静物園に到着した。
はりめぐらされた有刺鉄線の間に、「NO ZOO MARY」と書かれた看板とゲートが鎮座している。
パッと見刑務所にしか見えないが、ここまで来たからには引き返す訳にはいかない。俺は入場門をくぐった。
受付には自動改札機のようなものがちょこんと立ち尽くすんでいた。券を入れると、ゲートが開いた。
足を踏み入れる。人っ子一人居ない。それどころか、動物特有の匂いも、鳴き声も無い。生物の気配すら無い。
一抹の不安に襲われながら、歩を進めた。
この不安が一歩ごとに驚愕へと変わっていく事を、俺はこの時知らなかった。
まず、「pengin」と書かれた看板へと向かった。
ペンギンは小さい頃から好きだった。愛くるしい歩き方、とがった口先。鳥なのに飛べないところも、いい。
意気揚々と檻に近づいた。
銀色のペンが、転がっていた。
俺の眼前には黒光りした鉄格子が並んでおり、その奥には小学校の教室ほどはありそうなだだっぴろいコンクリートの空間が広がっていた。
そしてその奥に、銀色のペンが、転がっていた。
確かに、飛ばないけども。口先は尖ってるけども。口先っていうか、ペン先だけども。
酷い。動物はおろか生物ですらない。静物だ。あっ、静物園だった。
なんなのだろうか。もしかして今回はこんなんばっか続くのだろうか。
動揺を隠せぬまま、隣の「porked」と書かれた檻へ向かった。
正直、読めている。大体檻の向こうの惨劇は予測している。
鉄格子から、中を覗いた。
ポークビッツが、いい具合に焼けていた。
間違っちゃいない。確かに豚だった。
確かにこいつは、ポークビッツは、数日前まで、豚だった。
でも。でも。
果たして、この鉄格子に意味はあるのだろうか。ポークビッツが客に向かって飛び込んでくるのだろうか。
そんな危ないもの、丸大食品は製造していない。丸大食品はソーセージと子供の笑顔しか製造していない。
次に見えたのは、「ohagi」と書かれた檻だった。
おはぎが、あった。
コンクリの上に、直で乗っていた。
最善の努力をもって解釈しても、前衛的アートとしか捉えようがない。もはや動物ともかかっていない。
この静物園、展示して誰が金を払ってまで見に来るんだ。
その隣の看板には、「ogiyahagi」と書かれていた。
おはぎが、あった。
違う。おぎやはぎは、おはぎじゃない。おぎおはぎでもない。
片方が黒いモチのお笑いコンビなんて、少なくとも今世紀中にはデビューしない。そしてデビューするな。
その隣の看板には、「pi-ko」と書かれていた。
おはぎが、あった。
違う。これ違う。せめて「osugi」と書いて戴きたかった。
こんなのにファッションチェックされても「あんこをつけなさい」としか言われない。
仮に映画を評論しても「小豆度が足りなかった」としか言わないだろうが。ていうか根本的にまずおはぎは喋らないだろうが。
休憩スペースに着いた。
おはぎ自販機があった。
ウィンドウに所狭しとおはぎが並んでいた。
買わなかったら負けな気がした。100円を投入し、ボタンを押した。
「ヌベチャッ」という、音が取り出し口から聞こえた。
とどめだった。泣きっ面に蜂だった。
このおはぎへの執念は一体なんなんだ。こんなにおはぎの事について考えたのはお盆以来だ。
もうおはぎ園に改名しちまえよ。
何故かこみあげてくる悲しさと、湧き上がってきて当たり前の空しさを感じながら、引き続き「omary」と書かれた檻へと向かった。
ん?「omary」?「omary」?
咄嗟に首を左に曲げる。
駄目だ俺。ここは見ちゃいけない。右にある檻の中を覗いてしまってはいけない。
いや、もしかしたら、またおはぎがあるのではないだろうか。「おまりー」と「おはぎー」ってなんか似てるし。
気になる。「結局おはぎかーい!」とツッコミたくなる衝動に駆られる。
少しだけ、黒目を右に動かした。
それが、間違いだった。
檻の最前で、おまりーが、ふんどし一丁のおまりーが、仁王立ちしていた。仁王立ちして、おはぎを食べていた。
おはぎ全然関係無かった。ていうか凄い至近距離に居た。
そして檻がこれ、割り箸だ。大きさは違うものの、この檻、言ってしまえば小学生の手作り貯金箱レベルの工作だ。
これまでの静物は全て鉄の檻に入れられていたのに、こいつだけコナラだ。コナラ製の檻だ。
「omary」と書かれた看板の隣に、小さく説明らしきものが書いてあった。
「食べる時 割り箸あって 便利だね」
バカか。5・7・5でバカか。そんで結局、こいつ素手で食ってるからね。割り箸あるのに、右手が小豆色に染まってるからね。
この静物園、もはや意味が分からない。何をしたいのかも分からない。
――おまりー、お前何してるんだよ!帰るぞ!――
俺は全力で怒鳴ると、檻をカチ割り、おまりーの手を引っ張った。
"パシッ"
おまりーは凄い力で、俺の腕を振りほどいた。
訳も分からず、おまりーを見ていた。その後の事だった。
彼は右手を軽く上げた。
瞬間、全ての檻が開き、大人しく佇んでいた静物達が、俺に襲い掛かってきた。
銀色のペンは超高速で俺の頬をかすめた。
アツアツのポークビッツは、俺の服の袖を溶かした。
おはぎ一族は、ころころしていた。
なんなの、これ。
確実に、こいつらは、俺の命を狙っている。理由は分からない。でも狙っている。俺の本能はそう感じ取った。
踵を返し、全速力で走る。脇をヒュンヒュンと様々なものが飛んでくる。おはぎは飛んでこない。
息も絶え絶えになってきた頃に、ようやく入場門が見えてきた。
やった、もう少しだ。なんとか逃げ切れる。俺の全身から、緊張感が抜けた。
しかし、その直後に、恐るべき事態が起こった。
けたたましい音と共に、俺の前後左右へ鉄柵が降下してきたのだ。
なんなんだ、これは。どういうことなんだ。
訳も分からぬまま、鉄格子を握り締める俺に、後からゆっくりとやってきたおまりーは言い放った。
「おめでとう、これで君もファミリーの一員だ」
その時、おまりーの眼球には、檻の中のろぺすと「Jennifer」と書かれた看板が映っていた。
いや、それLopez違いやん。
静物園と俺の心に吹いた寒風は、100フィート前にある入場看板を揺らし、「NOZO OMARY」の字を描いた。
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市河:くるぶしソックス、ファイナル進出OKだという方はオレンジのボールを流してください。どうぞ! おまりー:もっちゃりもっちゃり! ろぺす:ボールを流して おまりー:もっちゃりもっちゃり! ろぺす:勢いに任せて おまりー:もっちゃりもっちゃり! ろぺす:せっかくだから おまりー:もっちゃりもっちゃり! ろぺす:・・・誰や!おはぎ流したのだれや! おまりー:(もっちゃりもっちゃり) ろぺす:食っとる!こいつおはぎ食っとる!
楓 米吉 コント/メール |
アンケートではカエデン好評いただきましたが、今回はそれ以上にメジャーで人気な「あのキャラ」の登場です。 |
あのキャラ、私も好きですよ。3期ぶり2回目の出場!楓 米吉! |
やったぁぁぁぁぁ!
ついに、ついにだよ!クラスのマドンナの広子ちゃんのメアドをゲットしちゃったよー!
間を仲介してくれた山崎、ありがとう!
嬉しいなぁ♪
どうしよう、さっそくメールしちゃおうかな?
何かの本でも「間をあけると女子の方も気持ちが醒める」って書いてあったもんな。
よし、すっごい月並みな内容でいいから送るか。
『件名:はじめまして☆
本文:どうも、楓米吉です!よかったら連絡ください。よろしくね☆』
なんか当たり障りなさすぎるなぁ・・・
もっとこうさ、メールを見た瞬間に好感を抱いてくれるような・・・
「クスッ♪」って笑ってくれるような内容、これだよな・・・
よし、ちょっと付け足すか!
『件名:はじめまして☆
本文:どうも、楓米吉です!よかったら連絡ください。よろしくね☆
※このメールは楓米吉のアドレス帳に登録されている方にのみ送信されております。
配信停止をご希望の場合は空メールを送信してください。』
俺エロサイトか!
こんなメール家族共用のパソコンのメールボックスにエロサイトから届いてたわ!
親に「こんなサイト知らねぇよ」って言ったけど、すごく利用した覚えがあるよ!柚木ティナ、ごちそうさまです!
こんなのじゃダメだ、空メールで俺の恋が終わるよ。
そもそも笑える冗談を入れるにしても方向性を間違えてたんだ。
こんなエロサイトネタが女子に通じるわけないんだから。
女子ってお笑い芸人のギャグとか好きだからな。
そこらへんを意識したメールを送ってみるか。
『件名:はじめまして☆
本文:笑い飯の哲夫って、なぜかツッコミの後にマイクが拾うか拾わないか際どい音量で「アホやなー」って言うよね。楓米吉です。よろしくね☆』
俺どこチョイスしてんだよ!
思いついたさっきの自分バカか!
逆にこれに対して「あるある!」って返信されてもヒくわ!
ダメだダメだ、これじゃクラスの女子の間で「ただの笑い飯好き」で認識されちまうよ・・・
俺が目指してるのはそっちの方向性じゃない、ミッキーマウスみたいな方向性だ・・・
・・・まてよ、ミッキーマウス!
ミッキーマウスみたいな方向性だよ!
女の子ってディズニー好きだからな。
よし、これでいこう。
『件名:はじめまして☆
本文:やぁ、ボク、楓マウス。アッハハハ!よろしくね☆エレクトリカルパレード☆(裏声で)』
俺このメールでどうなりたいんだよ!
とってつけたように「☆エレクトリカルパレード☆」とかディズニーランド用語出してからに!
っていうかエレクトリカルパレードのキラキラ加減の精一杯の表現が「☆エレクトリカルパレード☆」って!
だいたい「楓マウス」って、俺名前変わっちゃってるし!
あと
(裏声で)
じゃねーよ!
「ミッキーマウスみたいな方向性」って裏声ってことじゃねぇだろ!
っていうか「ミッキーマウスみたいな方向性」って何だよ!?
ダメだ、ダメだ。このままじゃホンット、ダメになる。
せっかく掴んだチャンスなんだから大事にしよう、大事に。
広子ちゃんとのラブチャンスだから。
そうだ、いかに俺が広子ちゃんのことを思っているかを5・7・5にして送るというのはどうだろうか。
「ここで俳句!?」みたいなインパクトもあるし。
広子ちゃんに俺の存在を強く印象づけることも目的の一つだからな。
よし、それでいこう。
『件名:はじめまして☆
本文:古池や
カワズ飛び込む
ボク、楓
よろしくね☆』
俳句なんか作ったことねぇよバーカ!
日頃たしなんで無いものに頼った自分がバカだった!
盗作した上に「これじゃ誰からのメールかわかんない」と思って最後の最後に「ボク、楓」って!
こんなもん毎晩、松尾芭蕉の出てくる悪夢にうなされるわ!
危ない危ない、あやうく毎日3回松尾芭蕉のメッカ・三重県松阪市に向かって一句詠まなければならなくなるところだった・・・
いや、そんなルールないな。
何を勝手なルールを作ってるんだ俺は!完全に冷静さを欠いているじゃないか!
落ち着け・・・そもそも俳句だなんてジジイくさいもの、女の子は嫌いなんだ・・・
女の子の好きそうなもの・・・
そうだ!すーーーーっかり忘れてた!
メールといえば絵文字だよ!
顔文字だよ!
アートだよ!
そうだよ、すっかり忘れていた。メールと言う利点を生かさなければ。
この利点を活かしつつ、自分の個性を印象付ける。
幸い、ついこの間オリジナルの顔文字を作ったところだ。
さっそくこれを盛り込んだかわいいメールを作るぜ。
待ってろ、広子ちゃん!
『件名:はじめまして☆
本文:∧__∧
| ω |
|・・ |
(●●。 )<よろしくなのね。楓米吉』
なんでここにきてマキバオーなんだよ俺!
ちょうど最近みどりのマキバオー文庫版でましたしね、って俺集英社の回し者か!広子ちゃんがマキバオーなんか買うかよ!
あ、あとプレイボーイでもたいようのマキバオー絶賛連載中ですしね、って広子ちゃんがプレイボーイなんか読むかよ!
後ろのAVコーナー見て赤面してるわ!柚木ティナ、ごちそうさまでーす!
もう変に考えるからこうなるんだ、感性の赴くままにメールを打つんだ。
『件名:俺だよ俺!
本文:楓だよ!』
俺もう必死か!
こうなったら今までの全部くっつけてみるか!逆に間をとって良い感じになるかもしれねーし!へへっ!
『件名:はじめまして!俺だよ俺!☆エレクトリカルパレード☆だよ!
本文:∧__∧
| ω |
|・・ |
(●●。 )<古池や カワズ飛び込む 僕ミッキー
※配信停止をご希望の場合は「アホやなー」と送信してください(裏声で)』
一応これはこれで保護をかけておこう。
後々の診察や何やでお医者さんが参考にできるだろう。
で、広子ちゃんにはシンプルなメールを送ろう。
それが一番だ。
『件名:はじめまして☆
本文:クラスでいっしょの楓米吉です!山崎からメアド聞きました。よろしくね☆』
もうこれでいいだろ。
送信、っと。
早く返信こないかなー。
(プルルルル、プルルルル)
あ!もう返信きた!さすがマイ・マドンナ広子ちゃん!
どれどれ・・・
『件名:ひっかかったな。
本文:俺だよ俺、山崎だよ!
ビックリした?完全にひっかかったっしょ?(笑)
尚、配信停止をご希望の場合は空メールを送信してください。』
何が腹立つってネタが被ったのが腹立つ。
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ワールドスコーピオン 漫才/家 |
A:いよいよきました。 B:勝てるかなあ。 |
意外にもC大会は初めて。ファイナル進出なるか!?ワールドスコーピオン! |
A:どうもワールドスコーピオンです。
B:よろしくお願いします。
A:セミファイナル頑張りましょう。
B:いきなりだけどさ、今度俺の家に遊びにこいよ。
A:ホントにいきなりだな。どうしたんだよ?
B:お前1回も来たことないじゃんか。俺一人暮らしだから寂しいしさ。
A:だってさーお前の家に行っても、特にやることねえだろ?
B:でも俺ん家に来たら驚くぞ。
A:驚く?何に??
B:俺の家、玄関に風呂あるんだよ。
A:ん?
B:だから俺の家の風呂はな、玄関にあるんだよ。
A:…お前の家どこに風呂あるんだよ!!そりゃ驚くわ。えっなんで?なんでなの?
B:何が?
A:1つしかねーだろ。なんで玄関に風呂があるんだよ。
B:まあちょっとした設計ミスなのかな。
A:ちょっとどころじゃねーだろ!!完全な設計ミスだ。
B:まあ風呂の向こう側はいたって普通の家で驚くとこないんだけどさ。
A:風呂があるだけでお腹いっぱいです。
B:まあお前がホントに俺の家に来る時には、風呂だけはきれいにしとくからよ。
A:風呂はどっちでもいいや。もし行くことになったら部屋をきれいに頼むよ。
B:えっ部屋入るの?
A:入るわ!なんで風呂入って帰らそうとするんだよ。
B:あっ部屋がメインで俺の家来る?
A:逆に男二人で、風呂メインの遊びってなんだよ。お前風呂だけのために俺を家に誘ってるのか?
B:そういうわけではないけど。確かに玄関だけはさみしいもんな。
A:そのとおりだよ。ちなみにさーお前の家に遊びに来た人っているの?
B:まだ、ばあちゃんだけかな。
A:ばあちゃんか。一人なんだ。でもばあちゃん、そりゃ驚いただろ。
B:そうなんだよ。いきなり風呂見た瞬間に、服着たまま、風呂に飛び込んで「ジイさぁぁぁん好き」とか叫んで暴れだしてさ。
A:俺はばあちゃんの行動に驚きだよ!…お前のばあちゃん大丈夫か?
B:で、2時間暴れ終わったあと、そのまま黙ってそのまま家に帰ったんだよ。
A:ばあちゃん一体家に何しにきたんだよ!!2時間も暴れたの?
B:ああ。最後の1時間は泣き叫んでたよ。
A:俺はその話を聞いていろんな意味でお前のばあちゃんに泣きそうだよ。
B:まあ俺の家に来る日は、全裸で来てくれた方がいいぞ。すぐに風呂入れるぞ。
A:めちゃくちゃ言うな!絶対お前の家にたどりつく前に捕まるわ。
B:いやいや、せっかく風呂が玄関にあるんだからさ全裸でこいよ。すぐに風呂入らないと風邪ひくよ?
A:全裸でお前の家に向かう途中に風邪引くわ!!そして逮捕されるだろ!
B:全裸だが、なんとか警察にバレずに逮捕されなくて、ホッとしながら入る俺の家の一番風呂をなめるな!!
A:しらねーよ!!まず俺は風呂に入りたいなんて言ってないからな!!
B:でも家入って、いきなり風呂なんか見たらとりあえず入りたくなるぞ?
A:ちなみに俺はまだ家に行くとも言ってないからな。てか、なんか疑問だらけなんだけど。
B:質問に答えよう。警察にバレなかったことは1回で、バレたのは14回です。
A:そんなこと聞こうとしてないわ!しかも「なめるな」とか言っときながら1回しか成功してなかったんだ。
B:じゃなにが聞きたいんだよ。もう疑問ねーだろ。14回の内訳は言わねーぞ。
A:内訳は聞く気ないよ。質問させろ。まず、何でそんな家に住んでるんだよ?
B:すごい疲れて家帰る時って家に帰ったら風呂にすぐ入りたいだろ?だからだよ。
A:ホントにすぐだな!なんだその理由。でもそれ別に玄関じゃなくてもいいんじゃないか?
B:…それを認めたら家賃26万円を無駄にしてると考えてしまう。だから認めんぞ。
A:高すぎるわ!ぼったくりだろ。え…なんで26万円もするんだよ?
B:26というのは、風呂とも読めるだろ!だからだ。風呂値段だよ。
A:納得できん!確実にぼったくりだ。風呂メインの家なんだな。
B:おもしろ物件だろ。世界にきっと1つだぜ。
A:だろうな。でも、全然メリットが見えねーよ。
B:すぐ風呂に入れるというメリットがあるだろ。
A:でもさ、絶対にいつも沸いてることないだろ??もうだいたい湯、冷めてるだろ。
B:風呂に温度なんて関係ないと俺は思うけどね。
A:めちゃくちゃ関係あるわ!お前、毎回家に帰って水風呂か?余計風邪引くわ!
B:バカヤロー、俺だってそんなことぐらい勉強してるよ。
A:勉強?
B:最近は風呂に何も入れないようにしてるんだよ。
A:お前、風呂の湯なしで入ってるのかよ!!それもはや風呂とは呼べねーよ。
B:じゃ、どうすれば風邪を引かずに風呂に入れるっていうんだよ。不可能だろ。
A:普通の家に住め!!そんなデメリットだらけのぼったくり物件やめとけ。
B:確かにな。金銭面もきついし。俺さー、ガスを止められてるんだよ。
A:もうお前その物件にいる価値ねーよ!もとから水を湯に温めれじゃないかよ。
B:ガス代かなり滞納してるんだなよ。
A:そんなの知らんけど。じゃ冬とか、水じゃ大変だな。
B:……あんさー、言うタイミングなかったんだけど、俺の家の風呂は水じゃなくて茶だから。
A:どんな風呂だ!もう俺は驚かないぞ。蛇口から茶が出ても驚かないぞ。
B:茶のシャワー、おいしいぞ。
A:飲むな!!悪いけど全然うらやましくねーから。お前の家問題だらけじゃん。
B:いや、今までの問題だとは思わないが、一番困ってることが1つある。
A:まだ一番出てなかったんだ。
B:玄関のドアが壊れているからたまにドアが開くことだよ。
A:それ致命傷だよ!!泥棒出入りできるし、何より入浴してたら姿が丸見えだ!
B:そうなんだよ。チャイム押されたらアウトなんだよ。
A:チャイム?どういうことだよ。
B:チャイムが鳴ったらドアが開くシステムになってるんだよ。だから風呂入ってる時は必ず見られる。
A:そのシステムなんなんだよ!!じゃ風呂入ってるときは、チャイムが鳴るか不安だな。
B:大丈夫。もう最近ではチャイムが鳴ったときのために、常に下半身は泡で隠している。
A:それ大丈夫ではないからな!泡で隠すのは、逆に怪しいぞ。
B:じゃ毎回、服を着て風呂に入れっていうのかよ。
A:そういうことではない!いきなり全身、びしょう濡れの奴が出てきてもびっくりする。
B:つまり、泡で隠す方法が一番ってことだな。
A:いや風呂を利用しないか、引っ越すってのが一番の手だ。いつか事件になるぞ。
B:それがな、一度、女の人が俺が体を洗ってる最中にチャイム押してきたさ。
A:うわー、最悪じゃん。
B:そうなんだよ。でドアが開いて、女の人俺の姿を見てまあ逃げたんだよ。
A:まあそりゃそうだわ。
B:で、とりあえず俺は体を洗うのをやめて、全裸で追いかけたよ。
A:それ余計ダメだろ!てか捕まるぞ。てか捕まってたか。
B:ああ。196回だけな。
A:さっきより増えてるじゃねーかよ!お前が言ってたさっきの14回ってなんだったんだ。
B:外で全裸でいて、無事警察に捕まらずに、なんとか家に帰ったときの一番風呂をなめるなよ!!
A:それはただの不審者だろ!1回しか成功してないのにそんな上から言うな。
B:ちなみにその時の成功がちょうどこの日だ!
A:どうでもいいわ!!ただ話は続けてくれ。
B:まあ女の人を追いかけててたらな。女の人もパニックなっちゃってよ。
A:だろうな。
B:でな、女の人も「ジイさぁぁぁん好き好き」って叫びながら逃げるわけだよ。
A:その愛の叫びお前のばあちゃんだろ!!なぜ逃げるんだよ。
B:でも結局、逃げ切られてよ。
A:ばあちゃんが足速いのか、お前が遅いのか。
B:で、追いかけてる俺がなぜか警察に声をかけられてさ。
A:当たり前だ!だってお前全裸になんだろ。
B:でも俺は、そこである急用を思い出して家に帰りたくなって逃げたんだよ。
A:えっ?警察から逃げるほど急用なことがあるのか?
B:風呂の茶を出し放しだったんだよ。水道代もったいねーだろ。
A:そこは我慢しろ!!状況を読め。しかも茶なのに水道代ってめんどくさい。
B:でさ、警察がなんとか逃げ切ったんだよ。で、俺はなんとか家に戻り、風呂の茶を止めたんだよ。
A:すげえなお前。それよりお前から逃げ切ったばあちゃんはもっとすごい。
B:でも警察が俺の家のマンションをうろうろしててよ。
A:あっお前バレバレじゃん。情報探られちゃった。
B:俺は、もしも家を訪問される時のために、もちろん家の鍵をしっかりして、居留守作戦を決行した。
A:…それで大丈夫なのか。
B:しかし5分後チャイムが鳴り、ドアが開き、シャワーを飲んでいる俺は見つかり作戦は失敗した。
A:お前バカだろ!!普通チャイム押すだろ!そしてそんなときにシャワーを飲むな!
B:走って喉が渇いてたんだよ。
A:我慢をしろ!そんなかっこ悪い捕まり方ないよ。
B:それから俺は、シャワーで落ちた下半身の泡を、また泡立て直してから警察署に連行された。
A:服を着ろ!!警察は着させろ!!!
A:まあそうなるだろうな。お前うそはついてないんだけどな。
B:そして警察署に行き、俺は警察に「あの家は何?」と聞かれた。
A:警察、質問を間違えてるだろ!まあそんな家を見たら聞きたくなるけどな、
B:他にも「家賃はだいたい風呂値段の26万円くらい?」などいろいろな質問を受けた。
A:当たってるじゃんかよ!26で風呂って世間にそんな浸透してるのかよ。
B:で結局、その日は下半身を泡で隠していたおかげで助かったんだけどな。
A:警察緩すぎるわ!!家より、事件に興味を持て。
B:こうして俺は、無事、警察から逃げ切り成功したという、とても充実した一日だった。
A:…これは一体なんの話だったんだ!!しかもお前成功とか言ってるけど、それ成功とは言えないだろ。
B:たださ、この事件をきっかけにもう1つの事件が起きたんだよ。
A:えっ…まだなんかあるのかよ。
B:ばあちゃんが行方不明なんだよ。
A:まだ逃げてるのかよ!!おじいちゃん探してるんじゃねーのか。
B:頼む、ばあちゃんを一緒に探してくれ。見つけたら俺の家の風呂入っていいから。
A:断る!俺はもうお前の家には行く気ねーんだよ。
B:頼む、それならばあちゃんを全裸一緒に探してくれ。見つけたら俺の家の風呂に一緒に入ろう。
A:なんのために全裸なんだよ!そして一人だから風呂が嫌というわけではないからな。
B:頼む、俺の家の合鍵をあげるから。俺のいないときにでも勝手に使ってくれ。
A:いらん!チャイム押せばドア簡単に開くだろ。そしてこの勢いで言うが俺はもうお前の家に行かないと決めたから!
B:わかったよ。その代わりといってはなんだが最後にもう1つ頼みがある。
A:なんだよ?
B:滞納しているガス代を払ってくれ。
A:もういいわ。
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ウルトラスーパーDX潮江軍団 コント/ザ・ツッコミ合戦 |
ギレン・ザビ:敢えて言おう!優勝できなかったら、ユニット名がもっと長くなると! シャア:見える!私には見える!更新の手間を増やすだけの無駄な改名になる光景が! |
ハイパーとかスペシャルとかマックスとか…はぁ…。2期連続2回目のC大会!ウルトラスーパーDX潮江軍団! |
時は戦国
ここに1人の武将がいる
その名は小笑 母毛成(おわらい ぼけなり)
彼は言う
この戦乱の世を生き抜くために最も必要なものとは、物事の本質を見抜く力である
故に、ボケの本質を瞬時に見抜き、的確なツッコミが出来る者を小笑家の世継に指名する、と・・・
一郎:(今日は年に一度のツッコミ合戦の日・・・我々兄弟3人にとっては雌雄を決する運命の日でもある。
ここで一年の成果を出せなければ、世継の座は危ういといっても良いだろう。失敗は絶対に許されない・・・)
二郎:(フフフ、兄上はかなり神経質になっているようだな。珍しく、三郎も思いつめた表情をしている。
それほど今日のツッコミ合戦は大事だということだ。俺はやるぞ・・・この日のためにどれだけ努力をしてきたか!)
三郎:(しかし、ブルボン・ルマンドは何であんなに耐久性が無いのだろうか?ちょっと指で摘んだだけで、ボロボロ崩れる。
仮にルマンドだけでお菓子の家を作ったら・・・考えただけでも恐ろしい。手抜き建築どころの騒ぎではないな。)
ふすまがバサーと開く
小笑 母毛成が登場
父上:いやーどうもどうも!みんな、集まったか!
まぁそんなに、かしこまらんでいいから!リラックスしなさーい!
一郎:(何!全身タイツで登場だと!例年にも増して分かりやすすぎるボケを繰り出してきたな!
し・・・しかも、よく見たらチョンマゲのヅラをかぶっているではないか!
既に地毛がチョンマゲなのに、さらにその上からチョンマゲのヅラ!
いわば、チョンマゲONチョンマゲ!究極の2度手間とはこのこと!
こ、これは・・・保留だ!ツッコミ保留だ!焦りすぎると怪我をするパターンだ!)
二郎:(兄上・・・動かずか。しかしこれは懸命な判断。どう処理すればいいか俺にも分からん。
今年もすんなりとはいかないようだな・・・)
父上:えーそれではみんな勢揃いしたところで、本日のテーマを発表します!
本日のテーマは!「つ」!
「つ」の人文字を作る母毛成
父上:続いて、ちっちゃい「っ」!
「っ」の人文字を作る母毛成
一郎:(こ、これは・・・人文字で今日のテーマを発表している・・・もじもじ君ではないか!そうか!そのための全身タイツか!
やはり父上、無意味に全身タイツは着ない!安易なボケはしない!)
二郎:(「つ」「っ」ときて・・・やはり「つっこみがっせん」か?
しかし、「こ」はどうする?1人で表現するのは難しくないか?)
父上:「こ」!
「こ」の人文字を作る母毛成
一郎:(なるほど!上の棒線は刀の鞘を使って表現してきたか!)
二郎:(「こ」は乗り切った・・・しかし「が」はどうする!「が」は!
縦棒はさっきのように鞘で表現できるとしても、孤立点が3つもあるぞ?
いくら体がグニャグニャに曲がる父上でも、1人では表現できないのではないか?)
父上:「み」!
「が」!・・・・が・・・・が・・・
一郎:(やはり・・・やはり無理か!濁点は脱いだ足袋で何とか表現できたが、あと棒線が1本足りない!どうする!?
待てよ・・・これは我々に手を貸せという前フリじゃないのか!ボケの手助けをするのもツッコミの役目!よし、ここは私が!)
父上!私が助太刀します!
父上:待てーい!子の助けなど借りるか!
一郎:(何!あくまでも一人で「が」の人文字を作るだと!無茶だ!父上は何を考えておる!)
二郎:(明らかに苦戦しているにも関わらず拒否、か・・・これはどういうことなのだ?)
父上:・・・が・・・が・・・が・・・
三郎:・・・ヅラ使えや!何のためのチョンマゲ2本や!
父上:グググ、グレイトグレイト!グレイトツッコミング!三郎、ボケナリ君人形ゲット!
一郎:(そうか!ここでチョンマゲか!重要な伏線を提示していたにもかかわらず、拾えなかったとは!)
二郎:(全てのボケに意味がある。展開に沿わないボケはしない。無意味にチョンマゲのヅラなどかぶらない。
クソッ!ロジカルに考えていれば、正解はすんなり出ていた!)
父上:「が」!
「っ」!
「せ」!
「ん」!
というわけで能世あんな、れいな、香里奈、お前たちが何故ここに呼ばれたかもう分かっただろう!
今年一年の総決算、ツッコミ合戦の日が来たということだ!オラ、ワクワクするぞ!
一郎:(能世あんな、れいな、香里奈・・・ここは「能世3姉妹か!」が一番無難だ。
しかし、あまりにも無難すぎる!これでは2人に差はつけれない・・・差別化を図れ・・・差別化を図るツッコミ・・・)
なんで能世あんなだけ、芸名に名字がついてんだよ!
父上:バババ、バッドバッド!バッドツッコミーング!そんなもん、能世あんなの勝手やないかーい!
一郎、ボッシュート!
二郎:(見誤ったな兄上!そんな瑣末なことはどうでもいいんだ!もっと重要なことがあるじゃないか!)
何で俺が3人の中で一番ブサイクな、れいななんだよ!
父上:バババ、バッドバッド!バッドツッコミーング!
3姉妹の中では劣るかも知れないが、一般人に混ぜたら中の上や!高望みするな!
二郎、ボッシュート!
一郎:(芸能人をブサイクと揶揄するのはあまりにも軽率だ!その程度のツッコミは誰にでもできるだろ!)
二郎:(これは俺の中ではあるあるなんだが・・・万人共通ではなかったか。
しかし、この場合はどうツッコむのが正解なのだ・・・)
三郎:・・・俺は妾の子だけど、香里奈は正妻の子だよ!
父上:ググググレイト!グレイト!グレイトツッコミング!
三郎、ボケナリ君人形ゲット!
一郎:(おっと!かなり身を切ったツッコミで来たな!世継の座を勝ち取るには、そのぐらい覚悟が無いとダメだということか!)
二郎:(コンプレックスが武器になる。それが笑いというもの。
「マイナス部分を推進力にする。笑いとはチョロQのようなものだ。」父が口酸っぱく言っているではないか!)
父上:それでは気を取り直して話を続けたいと思う。
最早言うまでも無いことだが、今日のお前たちのツッコミが世継の決定に大きく影響していることを忘れるな!
ゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、今日はお前たちのツッコミ力を存分に発揮してくれたまえ!
一郎:(ゾフィー、ウルトラマン、セブン・・・今度はウルトラ兄弟できたか。
ウルトラマンというネタフリ・・・これしか考えられない!)
ジュワジュワジュワ!ジュワジュワジュワッチ!ジュワワワワ!
二郎:何やねんそれ!そんなツッコミ、成立するか!
父上:バババ、バッドバッド!バッドツッコミーング!
ちょ、ちょ、コ、コラー!お前ら2人で処理すなー!そういうの、一番やめて!ほんまに!
そんなんするんやったら、お前らだけでコンビ組めばいいやん!
わしのボケ役、いらんやん!折角4人おるんやから、4人いる意味を持たそうや!
一郎、二郎、ボッシュート!
一郎:(二郎!俺にツッコんでどうする!これじゃ、共倒れじゃないか!)
二郎:(しまった!兄上があまりにもムチャクチャなツッコミに走ったから、思わずツッコんでしまった!
父上は自分以外の人間にツッコむと、尋常ではないほど嫉妬するからな・・・)
父上:ゾフィーもウルトラマンもセブンも、自分の役割というものを忘れないようにな!
三郎:・・・おい!ウルトラ兄弟は血の繋がった兄弟じゃないだろ!
父上:ググググレイトグレイト!グレイトツッコミング!三郎、ボケナリ君人形ゲット!
一郎:(知らん!誰も知らんぞそんなこと!日本国民の10%も知らないんじゃないのか!
しかし・・・しかしだ!世の中にあるのは万人に理解できるボケだけではない!ターゲットを絞った笑いもあるということだ!)
二郎:(ツッコミはボケの知識量を上回らねばならない。
そして自分の引き出しから、いかに的確に知識を引っ張り出してくるか。ツッコミは・・・深い!)
父上:さて、前置きはこのぐらいにして本題に入りたいと思う。
これまでのツッコミ合戦はお前たちのツッコミを評価しているだけであった。
しかし、「真のツッコミとは何か」それをお前たちに示さなければ、何を目標に腕を磨けばよいのか分からないというもの。
というわけで今日は私が「真のツッコミ」の手本を見せたいと思う。お前たちは思う存分ボケてくれたまえ。
どんどんツッコんでいくからな!しっかり勉強するんだぞ!
一郎:ありがたき幸せ!父上のお心遣い、誠に感謝いたします!
(珍しいこともあるものだ!「私、ボケるために生まれてきたのよ」と言ってはばからない父上がツッコミに回るとはな。)
二郎:(確かに我々3人は父上のお笑い理論を元にツッコミを独学で学んできた。
直接教えていただけるということは、またとない機会だ!)
父上:お前たち、3本の矢の話を知っておるな。今日のお題はそれで行きたいと思う。
さて、ここに一本の矢がある。一郎、これを折ってみなさい。
一郎:(ここは素直にボケるべきだな・・・)
かしこまりました!うーん!ボキボキボキ!あー!指の骨が全部折れたー!
父上:・・・・・・。
一郎:矢は全然折れてません!でも指の骨、全部折れたー!
父上:・・・・・・。
一郎:・・・指を10本使っても、一本の矢には勝てなかったー!
父上:・・・・・・お前、はよボケろや!
一郎:(ボケてるよ!誰の目にも明らかだよ!3回も同じボケを言ったんだぞ!)
二郎:(父上・・・マジで言ってるのか!)
父上、失礼ながら今のは「矢を折ろうとしたら、指が折れた」という意味のボケだと思うのですが・・・
父上:・・・・・ほんまや・・・・・
一郎:(「ほんまや」って言った!小声で「ほんまや」って言った!あんな分かり易いボケに気付いてなかったというのか!)
父上:・・・・・でも、今のはちょっとシュールすぎるわ・・・・・
一郎:(どこがだよ!思いっきりベタだよ!ベタ中のベタだよ!)
父上:じゃあ今度は二郎、お前がこの矢を折ってみなさい。
二郎:はい、かしこまりました。
矢の先をこうキュッキュッと折りましてね、頭の方もキュッキュッ折りますと、はい、犬の出来上がりー!
父上:・・・お前、それあれやないか・・・あれ・・・
一郎:(的確な言葉が全然出てきていないじゃないか!これじゃあ、テンポもへったくれもない!)
父上:・・・あれやないか・・・トップブリーダー!そや、トップブリーダーやないか!
一郎:(違う!全然違う!矢で犬を作るトップブリーダーなど存在しない!)
二郎:(2回連続のミス!手本を見せるどころか、ツッコミ力の無さを露呈しているではないか!!)
父上:よし!じゃあ、今度は三郎がこの矢を折ってみなさい!
三郎:無理です
父上:・・・いやいや、一本は簡単に折れるからやってみなさいって。
三郎:無理です
父上:そう言わずにちょっと挑戦してみなさい。
三郎:無理です
父上:そんなに難しく考えないで。
三郎:無理です
父上:だから
三郎:無理です
父上:・・・・・おぉ・・・そうか・・・
一郎:(受け入れちゃった!ボケを受け入れちゃったよ!)
二郎:(父上、正気か!それじゃあ「ツッコミ」ではなく、「包み込み」ではないか!
これは一体どういうことなのだ?3つのボケにことごとく対応できていないではないか!)
父上:いやぁ我ながら、完璧なツッコミだったと思う。お前らも、勉強になったのではないか?
三郎:どこがやねん!お前、さっきからグダグダやないか!
父上:ググググレイトグレイト!グレイトツッコミング!三郎、スーパーボケナリ君人形ゲット!
一郎:(なるほど!全てが計算だったということか!ツッコむと見せかけボケる、まさにトリックスターの成せる業!)
二郎:(おかしいと思っていたんだ!根っからのボケたがりの父上が、ツッコミをやるだなんて言い出すのは!
すべてはこの伏線だったというのか!)
父上:いやー今年も三郎の圧勝だったな。天晴れだ。
一郎、二郎!三郎にこれだけの力量差を見せ付けられたら、もう文句無いだろう。
三郎が、小笑家の世継に相応しいということで良いな?
一郎:はい、異存はありません!
二郎:私も、兄上と同じであります!
父上:というわけで三郎!お前が、小笑家の世継に決定だ!
三郎:無理です
父上:・・・そんなこと言わずに!お前こそが世継に相応しい男だ!
三郎:無理です
父上:お前ならできるって!
三郎:無理です
父上:お前の兄たちも納得してるんだぞ?
三郎:無理です
父上:ちょっとは聞く
三郎:無理です
父上:・・・・・おぉ・・・そうか・・・
二郎:(また包み込んじゃったよ!)
終わり
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市河:ウルトラスーパーDX潮江軍団、面白かったという方方は、ブルーのボールをドロップしてください。どうぞ! 立花里子:ノアだけはガチ! 乃亜:イエス!