第296回 青沢オンエアバトル

市河:以上で計量は終わりました。
    オンエアされる上位3組の発表です!

センチメンタルゼリービーンパニック  (1位)
今期2勝目!


安物鬼  (2位)
きっちりリベンジ!


法子さんと律子さん  (3位)
久々のオンエアおめでとう!


碓氷:難関を突破した皆さんの熱演をご覧いただきましょう!

センチメンタルゼリービーンパニック    (2/5)
漫才/アンデルセンに告ぐ
国立「久しぶりの本気のネタでした!」

高岡「お前がやりたい放題やっただけだろ…」

国立「どうぞ!」
ネタへの期待度を裏切らないこのハイスコア!3連敗脱出!センチメンタルゼリービーンパニック!

高岡「どうもセンチメンタルゼリービーンパニックですけども」

国立「子供の頃から童話が好きでねー…
   特に好きなのがマッチ売りの少女ね」

高岡「健気ですよねー。マッチ売りの少女。
   いいじゃない、僕も好きだったなー…」

国立「でも僕だったらもっと悲しくて
   読み応えがある感じにできますよ」

高岡「あれ以上悲しくすんの?!あれでちょうど良いと思うけどなあ」

国立「マッチの代わりにケンタウルスを売る、
   ケンタウルス売りの少女ね」

高岡「意味わかんねえな!なんだその童話!
   ケンタウルスってあれだろ?上半身が人間で下半身が馬の…」

国立「そうそう…ギリシャ神話の怪物のね。
   売るのをケンタウルスにしたら
   すごく悲しい物語になるんだよ…」

高岡「その発想自体がちょっと悲しいと思いますけどね…」

国立「年の瀬も押し迫った大晦日の夜、小さな少女が一人、
   寒空の下でケンタウルスを売っていました」

高岡「いらねえよ!
   道行く人の中にケンタウルス買う奴なんかいねえよ!」

国立「ケンタウルスが売れなければ父親に叱られるので、
   すべて売り切るまでは家には帰れないのです」

高岡「父親は完全にどうかしちゃってるよね…」

国立「寒空の下、少女は言いました。
   『ケンタウルスいりませんかー?!
    あ、ケンタウルスいりませんかー!』」

高岡「いらねえって!買ってどうすんの?!」

国立「それはお前…一緒にギリシャ神話ごっことかして…」

高岡「何その遊び?!3日くらいで飽きる気がするわ…」

国立「しかし、人々は年の瀬の慌ただしさから、
   少女には目もくれずに通り過ぎていくばかりでした…」

高岡「ケンタウルス引き連れてるのに?!」

国立「寒空の下、少女はかすれる声を振り絞り、
   ケンタウルスを売っていました…。
   少女の後ろには、売れ残ったケンタウルスが50人…」

高岡「多いな!その状況で通り過ぎる町の人どうなんだ?!」

国立「少女の後ろに横に10人ずつ、5列に渡って並んでいました」

高岡「圧巻だよ!なんかその並びだと少女が強そうに見えるわー」

国立「少女は、寒さでかじかみ、震えていました…」

高岡「50人に囲まれたらちょっとあったかそうに見えるけどな…」

国立「ケンタウルス達も『寒い』『将来が見えない』
   『椅子とか出されてもどう座ったらええねん』などと
   口々に不満を漏らしていました」

高岡「最後の関係ないだろ!確かにどう座るのか疑問だけど!」

国立「寒さやケンタウルスが売れないこと、
   更にはこっちの気も知らずにグチグチ文句を言うサマを見て
   過剰なストレスが溜まった少女は、
   ケンタウルスのケツを思いっきりシバきあげました」

高岡「蹴りたい気持ちはわかるけどそれダメだろ!」

国立「うっかり後に回ってしまった少女は
   後ろ足で蹴り飛ばされてしまいました」

高岡「下半身馬だからね!馬の後ろに立ったら本能的にそうなるわ!」

国立「するとどうでしょう!ケンタウルスに蹴り飛ばされるたびに、
   暖かいストーブや七面鳥などのごちそう、
   飾られたクリスマスツリー、小学校の時の思い出など、
   幻影が一つ一つと現れ」

高岡「それもう末期だよ!死ぬ寸前だよ!走馬灯だよそれ!」

国立「地面に叩きつけられると同時に幻影は消えました。
   同時に目の前が真っ暗になりました」

高岡「死ぬね。間違いなく死ぬね」

国立「その時一筋の流れ星が流れ、少女は可愛がってくれた祖母が
   『流れ星は誰かの命が消えようとしている象徴なのだ』
   と言った事を思いだした」

高岡「あー、なんかそういうエピソードあったなあ…」

国立「すると、次のケンタウルスに蹴り飛ばされた時、
   ミノタウルスの幻影が現れました」

高岡「何でだよ!あのケンタウルスの逆版みたいなやつ!
   何でこのタイミングで出てきたんだよ!」

国立「だってケンタウルス出したらミノタウルスも出さないと…
   今日襲い掛かられる夢見そうじゃん…同じ一門だろ?」

高岡「タウルス一門とかねえよ!何その派閥!
   流れ的にはここおばあちゃんが現れなきゃダメだろ!」

国立「あ、じゃあ祖母タウルスの幻影が現れました」

高岡「適当なこと言うなよ!何でタウルスつけたんだよ!
   何だその祖母タウルスって」

国立「顔がババアで、体が人間」

高岡「じゃあそれただのババアだよ!
   ババアは人間じゃないみたいな言い方すんなよ!」

国立「地面に叩きつけられると祖母タウルスの幻影が
   消えてしまうことを恐れた少女は、
   何とか空中にとどまることに成功しました」

高岡「どういう原理なの?!何その状態!」

国立「あー、やっぱ無理があるよね…物理学的に」

高岡「ケンタウルス売りって最初の設定の時点で常軌を逸しているけどな」

国立「あ、じゃあさ、
   地面に叩きつけられると祖母タウルスの幻影が
   消えてしまうことを恐れた少女は、
   ケンタウルス達を挑発することで
   蹴られ続け、空中に留まる事に成功しました」

高岡「どうしてそこまでするの?!
   祖母タウルスとの間にそうまでして繋ぎ止めたい何があるんだよ!」

国立「新しい年の朝、町の人々が見つけたのは、
   ケンタウルスの燃えカスを抱えて幸せそうに微笑む、
   牛の顔をした化け物でした」

高岡「カオス!ミノタウルスなっちゃった!何で微笑んでるの?!
   何でケンタウルスが燃えカスになってるの?!
   何この状態!?夜の間に何があったんだよ!」

国立「そこはアレだよ…ケンタウルスが…燃えタウルス…な?」

高岡「…いやもう意味わかんねえよ!な?じゃねえんだよ!
   お前もう完全にタウルスって言いたいだけだよな?!」

国立「Fin…」

高岡「終わらせられるか!何があってこうなったんだよ!」

国立「まあ…憑依したんだろうな。祖母タウルス」

高岡「それさっきのただのババアだろ?!
   ババア憑依したらババアになるだろ!
   ミノタウルスになった意味が知りたいんだよ!」

国立「やっぱ出しておかないとタウルス一門がうるさい気がして…」

高岡「だからねえんだってその派閥!
   随分と恐れてるようだけどよ!」

国立「ケンタウルス売りって時点でやっぱ話しに無理があったよな…
   じゃあ次は…ケンタウルス頭巾ちゃんってのがあるんだけど…」

高岡「いい加減にしろ」
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安物鬼    (27/32)
コント/キン内マン
予想鬼:8・3・5・6・8で361KB!!
予想禿:7・2・5・6・5で317KB!!
リアルなラインいったやろ
鬼さんニアピン。最多27回目のオンエア!安物鬼!

キン内マン:自室の平和を守るため!部屋の内側を守るため!キン内マン、今日も参上!!

お母さん:タカシ!いつまでも引きこもってないで部屋から出てきなさい!

内:う、うるせぇ!ババアは黙っていろよ!

母:何その言い草!今部屋に入るからね!

内:バ、バカヤロー!!入ったらぶっ叩くからな!

母:ガチャ、タカシ今日のお昼ご飯はオムライスよ。

内:やった大好物!今回は許す!

母:それでタカシのことだけど。今年であなた幾つだっけ?

内:キン内マンに年齢という概念は無駄だ!!

母:もう35よね。30代後半に突入するところよ。
  いいかげん働いてくれないとお母さんたち困るんだけど。

内:失敬な!!働いているではないか!今日も吾輩の部屋を警備中だ!侵入者発見ッ!でもオムライスだから許す!

母:エサにつられるザル警備じゃないのよ。
  タカシ、ずっと部屋の中にいちゃ体にも毒よ。まずは外に出て散歩してらっしゃい。

内:説明しよう、キン内マンは紫外線に弱いのだ!

母:うるせ!カーテン開けろこのやろう!

内:グワアァッ!恐るべしババタリアンのオープンルームカーテンフラッシュ!!

母:だれがババアだコラ。

内:ハッハッハァ、しかしこの程度では吾輩はやられぬ。
  なぜならたまに自分でカーテン開けて外を眺めてるからだ!

母:あと一歩じゃないの!散歩してらっしゃい!職業案内所を通る散歩コースを教えてあげる。

内:ババタリアンよ、今の時代転職というのは危険なものだ。吾輩は今の職業のままでいい。

母:稼ぎがねえんだよ!一日中電気使いやがって!ブレーカー落とすわよ!

内:やめてやめてやめて!パソコン壊れちゃう!平和が壊れちゃう!

母:タカシの平和を維持するのにお母さんたちは疲れ切ってるの!
  いいかげん自分の状態を反省なさい!!

内:・・・今までの自分を反省する・・・・・・。



【タカシ5歳】
タカシ:ママー!公園に遊びに行こうよ!

母:ええ、いいわよ。お散歩楽しいわね。

【タカシ10歳】
タ:お母さん!テストで100点取ったよ!

母:まあすごいじゃない!タカシは優秀ね!

【タカシ15歳】
内:いやマジで今日腹痛いから。学校休むって担任に言って。

母:タカシ、多感な時期だし仕方ないのかしら・・・

【タカシ20歳】
内:フハハハハ!キン内マン、参上!!

母:タカシ!いいかげん就職しなさい!



母:わかった、15歳くらいからもっと厳しく育てりゃよかったんだ。

内:後悔しても後戻りはできんぞババゴリラ。

母:誰がババゴリラだ!
  父さんもあなたのこと心配してるのよ。

内:くそぅパパタリアン、窓際の分際で生意気な。

母:めっちゃ口悪い!!父さんは出世コースから外れたんだから仕方ないじゃない。
  だからあなたには立派な大人になってほしいの。

内:立派なヒーローになったではないか。平和は吾輩の手にかかっている。

母:平和の範囲が狭いんじゃボケ!
  何かほかに就いてみたい職業とかないの!?

内:料理人とかにはなりたいな。もっとも作るのは、ジ ャ ン ク フ ー ド だけどな!!!

母:自慢げに叫ぶんじゃねえわ!料理人は向いてないわよ!てか30後半からは厳しいわよ。
  あなたコンピュータが得意なんだからそういう仕事に就いたらどうなの?

内:なるほど!確かにパソコンは得意だ!
  動画のダウンロードとか流水の如くパパーッとやっちゃうもん。

母:なんか危ないわね!今年から禁止されたとかニュースでやってたけど!

内:キン内マンは足跡を残さずにダウンロードするのだ!
  ダウンロードされたことも相手にはわかるまい。

母:善悪は別として凄いじゃないの!じゃあ早速履歴書とエントリーシート書きなさい。

内:グハァ!キン内マンの唯一の弱点、履歴書とエントリーシートを取り出すとは・・・

母:唯一じゃねえし!2種類だよ!

内:履歴書の「略歴」欄が大の苦手なのだ!15歳からペンが進まぬ。

母:だろうな!そのころからヒッキーだったし!
  もういいわ、嘘でも立派なこと書きなさい。

内:うーん、大学大学・・・「東京コンピュータ通信創生大学」と。

母:なんかそれっぽいこと書けてる!いや実際あるかも。

内:その大学に在籍17年。

母:それはさすがに無理があるでしょ!!退学させられるわ!

内:だって20代から今まで何やってたんだ、ってなるでしょ?

母:あーーー!!もう適当な会社に就職したことにしなさい!

内:22歳、「レストラン ハミエル」に就職、と。

母:なんで飲食店!?そこはコンピュータ関連の会社とかにしなさいよ!
  そんで何その店名!

内:んじゃあ・・・「エレガンス情報産業」就職、と。

母:そんな感じね。あとは適当なところで会社が潰れたことにすればいいから。
  じゃあ就職案内所に行ってらっしゃい!

内:グッ!強烈な磁場が・・・部屋から出れない!

母:まだ拒むか。まあ今日のところはいいわ。明日こそ行ってきなさいよ!

内:明日までに磁場が弱まれば・・・
  てかババタリアンもう部屋から出てけよ!キン内マンが本気を出す前に。

母:自分のことをキン内マンって呼ぶのやめなさい。じゃあね。ガチャ。

内:くそう、キン内マン最大の試練が訪れた・・・



次の日になりました、なんか湿った日です。



母:ガチャ、こらタカシ!今日は就活に行くんでしょ!起きなさい!

内:うるせー!!勝手に部屋入ったらぶっ叩くって言っただろ!!

母:タカシ、今日の朝食はオムライスよ。

内:やった大好物!今回は許す・・・いや許さん!2日同じもの出しおって!

母:ケチャップで「ガンバレ!」って応援メッセージ書いたのよ。米だって16穀米なのよ。

内:グフッ!こういう優しさがキン内マンの最大の弱点なのだ!

母:昨日の履歴書とかエントリーシートとか立場ねえな!唯一の弱点って言われたのに!
  ふふ、でも嬉しいわ。今日はがんばってきてね。

内:か、家庭の平和を守るため、キン内マン発進ーーー!!



徒歩40分。



内:クソウ、ババタリアンめ。歩いてすぐよ、なんて言うから徒歩で来たもののもう汗びっしょりじゃないか!
  いったいどこにあるというのだ、あ!!
  ここか、とうとう職案に着いてしまった・・・形容まるで魔王の城!!
  しかしここで諦めてはいけない!
  か、家庭の平和を守るため、キン内マン突入ーーー!!

受付:こちらの番号札を持ってお待ちください。

内:何ィィィィッ!!吾輩を待たせるだと!こいつはとんでもない悪玉菌だ!

受:菌じゃねえよ。不況続きで大変込んでおります。1時間ほどお待ちになって。

内:クソッ!仕方ない。
  しかしキン内マンは家族以外の人間を直接見るのも久しいからなんだか恥ずかしい。
  さっさと番号呼ばれないかなー・・・ムッ!吾輩の番号札は666番!なんて不吉な!
  感じる!悪の気配を感じるぞ!どこだ!?

受:お客さま、周りの方のご迷惑となりますのでお静かに・・・

内:そうか!わかったぞ!
  さては受付嬢、お前が悪の元凶、悪玉菌だな!

受:だから菌じゃねえよ。どっちかって言うとお前だろ。

内:吾輩に666番など不吉で先の見えない番号札を渡すことでキン内マンを妨害しようとしたのだな!

受:お客さま、周りの方のご迷惑になります、もう帰れ。

内:やった!帰れる!



徒歩45分。上り坂が多いです。



内:キン内マン、無事帰還!!

母:おかえりタカシ、汗臭っ!!で結果はどうだったの?

内:すごくいい報告がある!

母:まあ!やったじゃない!それで?

内:これまでのキン内マン業務に追加して職案の悪玉菌撲滅ミッションが追加された!

母:・・・明日私と一緒にもう一度行きましょうか。

内:・・・・・・うん。不甲斐ない息子でごめんよ。
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法子さんと律子さん    (2/2)
漫才/通謀虚偽表示での権利主張
法子:嘘は唇から始まる。

律子:そして、男は笑顔で溺れる。
意味ありげな言葉の真相は是非ネタで!法子さんと律子さん!

法子:法子です。

律子:律子です。

法子:ねえねえ、ちょっとある人の相談を聞いてほしいんだけど、いい?

律子:はいはい、いいわよ。どちらさん?

法子:あのね、私の知り合いなんだけど、
   ええっと、名前はあれだから……Aさんって人と、Bさんって人がいます。

律子:あら、今度はちゃんとAさんとBさんね。
   ふふ、もしかしてアンジェラ・アキと坂東英二かしら?

法子:え、何を言ってるの?
   確かにイニシャルでAさんとBさんになるけど、何その接点のないチョイスは?

律子:……そっちがそう来ますか。
   ほら、接点なら二人とも徳島県出身っていうのがあるんじゃなかった?

法子:徳島県出身?
   あれ?坂東さんの生まれたのは満州じゃなかったっけ?
   だから、一概に二人とも徳島県出身って言うのはどうかなあー?

律子:まったく、もう。前回、自分が言ってたことを……。

法子:どんまい、どんまい。

律子:はいはい。
   で、AさんとBさんがどうしたの?

法子:うん。AさんとBさんなんだけどね、実は同じ会社で働くサラリーマンでして。
   しかも、この会社、
   何と創立50年以上で、オーストラリアにも支社を持つ企業なんですよ。

律子:オーストラリア?

法子:ええ。海外出張とかもございますよ。

律子:へえ。なかなかグローバルな有名企業なんじゃない。で、その二人、独身?お金持ち?

法子:気になるとこですよね。
   まずは、Aさんなんだけど、20代の若手サラリーマンで、何と2LDK平屋一戸建てにお住まい。

律子:あら、素敵。

法子:しかも、結婚して、小学生の息子さんまでいるの。

律子:何だ、既婚者か。
   てか、何その幸せ家族っぷり。その歳で結婚して子持ち家持ちだなんて、言うことなしの人生じゃない。

法子:でしょ。
   しかも、何とビックリ、犬も飼ってるの。

律子:わあ。
   日曜日は、庭で犬と戯れながら、息子とキャッチボール。それをやさしく見守る奥さん。
   何て微笑ましさなの。私には毒だわ。

法子:うん。そういう休日を過ごしてるかは知らないんだけど、
   このAさん、今どき珍しいぐらい、しっかりした青年なんですよ。凄くアツイ人で。

律子:へえ、情熱的なのね。
   あ、もしかして、浮気もしっかりした青年、なんてオチじゃないでしょうね?

法子:――ち、違うんだよお!会社の同僚に誘われて、お店に飲みに行ってただけで……。

律子:うん。修羅場は再現していただかなくて結構よ。

法子:え?ここからが面白いのに?

律子:のに。
   で、もう一人のBさんはどんな方かしら?

法子:ええっと、Bさんは、実はAさんの上司でして、
   まあ、あの、何と言いますか、これがまた、お金持ちなんですよ。お金持ち。えへへ。

律子:……おっちゃんね、そっちは?

法子:うん。お察しの通り、絵に描いたようなおっちゃんです。
   それでですね、何と、このBさんは自宅とは別に、広い土地をお持ちなわけですよ。

律子:あら、このご時勢に何てことでしょう。

法子:でしょ。でもね、困ったことがありまして……。

律子:税金?

法子:お、さすがは守銭奴。
   やっぱり土地の税金なんてバカにならないわけで、いちいち払ってちゃあ大変なわけですよ。

律子:だからって払わないわけにもいかないでしょう。

法子:へへ。ところがBさんは、税金を払っておりません。頑固者ですね。

律子:滞納者って言うのよ。

法子:でね、そこでBさんは考えるわけですよ。
   「このままでは土地を差押えられてしまう。どうにかならないものか」

律子:どうにもならないわよ。さっさと払いなさい。

法子:すると、Bさん、閃いた。「あ、そうだ、脱税しちゃおう」と。

律子:ノリが軽い。

法子:だが、罪は重い。

律子:わかってるなら止めなよ。

法子:――やだ、止まんない、気持ち良すぎて止まんないよぉ……。

律子:おバカ。

法子:で、そこでBさんが、Aさんに『汁』を吸わせる話を持ちかけるわけですよ。

律子:甘い汁をね。言葉の使い方には気を付けなさいよ。

法子:気を付けてますよ。え、どうしたんですか、急に?何か変なご想像でもされたんですか?

律子:させたんでしょ。いいわよ、もう。続けて。

法子:うん。でね、BさんがAさんに遠回しに訊くわけですよ。「君、蕎麦は好きかね?」って。

律子:そば?

法子:うん、お蕎麦。焼きソバの方のおソバじゃなくて、あのネズミ色の麺の方ね。

律子:うん。説明してくれなくてもわかります。てか、もうちょっと言い方なかったの?

法子:なかったの。
   でね、何と、このAさん、同僚の家で、お蕎麦を打ったことあるらしいのよ。

律子:ずいぶん蕎麦好きみたいね。

法子:まあ、家で、わんこ飼ってますからね。

律子:わんこそば関係ないよね。

法子:そうね。
   でね、答えを訊いて、気を良くしたBさんがコッソリ言うわけですよ。
   「どうだね、私の脱税を手伝ってくれないか?手打ち蕎麦の美味い店があるんだ。食べてみたいだろ?」

律子:割に合わない。

法子:え?五割蕎麦より二八蕎麦がよかったです?

律子:蕎麦粉の割合じゃない。
   脱税するのに見返りが蕎麦ってヒドすぎるわよ。

法子:えー。お蕎麦、美味しいじゃん。

律子:美味しいけど、やってることがオイシくないのよ。そんなことAさんするわけないでしょ。

法子:二つ返事で了解するAさん。

律子:何てことを。若さとバカさが比例してるじゃない。

法子:だって、ノーパン蕎麦蕎麦のお店ですもん。

律子:しゃぶしゃぶみたいに言われても。わかるのは如何わしいお店ってことだけね。

法子:立てて食うんですよ。

律子:蕎麦の音をね。

法子:ええ、そうですよ。他に何が?

律子:いいえ。何も。

法子:で、まあ、上機嫌のBさんが言うわけですよ。
   「いやあ、君は実に物分かりがいいな。後で『汁』も吸わせてやろう。わっはっは」

律子:だから甘い汁でしょ。

法子:蕎麦湯だよ。

律子:紛らわしい……。

法子:あ、ちなみに、
   そのお店の、お蕎麦のつなぎに使ってる小麦粉が、何と……。

律子:何?

法子:オーストラリア産なんですよ。

律子:うん。オーストラリアに支社があるからって、今更そんな気遣い要りません。てか、気付きません。

法子:あら、そうですか。
   じゃあ、それではここでお待ちかね、Bさんの計画の全貌を大発表です。

律子:脱税方法を教えてくれるなんて勇気あるのね。

法子:まあね。
   さあ、その計画なんですが、何と、Bさんが土地をAさんに売ります。

律子:うん。大袈裟に言うから何かと思えば。売るだけだったら問題ないんじゃないの?

法子:ええ、それはそうなんですが、問題なのは、0円で売るからです。――Bさんの脱税、プライスレス。

律子:100%プライスオフよ。
   何、タダってことは、普通の譲渡じゃない。

法子:――譲渡、上等♪

律子:――喧嘩、上等♪

法子:はーい。
   実はですね、これ、仮想譲渡なんです。普通の譲渡ではありません。
   ある程度、時が経ったら、今度は、Aさんが土地をBさんに売ります。

律子:ああ、なるほど。
   つまり、差押えを免れている間だけ、一時的に土地の持ち主を代える作戦ってわけね。

法子:そうです。さすが、昔やってたんじゃないかってぐらいの理解力ですね。

律子:やってないから。

法子:今は。

律子:今も。昔も。
   で、AさんとBさんはどうしたの?

法子:そうそう。
   で、Bさん、計画を実行するために、まず嘘の契約書を作ります。

律子:わあ、大胆。

法子:でしょ。でも、契約自体は普通に行われます。
   ですが、二人とも売るつもりも買うつもりもないので、ご安心ください。

律子:うん。一向に心が休まらないわ。

法子:まあまあ、ご心配の声はご尤もです。
   でも、これは土地の差押えを免れるためには重要不可欠なんです。

律子:正論みたく言ってるけど脱税でしょ。

法子:ええ、そうですよ。何か問題でも?

律子:問題ないとでも?

法子:まあ、確かにすぐバレちゃうって心配はありますよね。

律子:そこじゃないんだけど……。

法子:でも、大丈夫!
   ここでBさんは、よりバレなくするために、あることをします。さて、何でしょう?

律子:さあ、何でしょう。
   ええっと、じゃあ、ニセモノの印鑑を使うとか?

法子:いやいや。何を考えてるんですか。ニセモノの印鑑って、そんなの使ったら犯罪でしょ。

律子:まず脱税が犯罪でしょ。

法子:ニセモノの印鑑を使うだなんて、みんなは許しても、たぶんお天道様は許しちゃくれませんよ。

律子:みんなも許しちゃダメでしょうよ。
   それに、あなたが思ってるほどお天道様の心も広くないわよ。

法子:――狭いなら、広げてしまえ、ホトトギス。

律子:お天道様よ。
   ホトトギスの何を広げるって言うのよ。

法子:それは、秘密――ナ、イ、ゾゥ♪

律子:隠しきれてない上に、やることがエグイ。

法子:さあ、お待ちかね。答えは何と、所有権移転登記です。わお、驚きですね。

律子:うん、別に驚かない。
   登記ってあれでしょ。「この土地は私のものです」って言うための登録みたいな。

法子:まあ、そんな感じのものです。
   で、登記をBさんがAさんに渡すとどうでしょう。
   あら、不思議。事実上、誰が見ても、土地がAさんのものということになりました。

律子:不思議な要素が1つもない。登記名義がAさんになっただけじゃない。

法子:まあ、言ってしまえば、そういうことです。
   だから、これでBさんは土地を差し押さえられる心配はありません。
   後はもう、ほとぼりが冷めるのを待って、Aさんから土地を返してもらうだけでOK!

律子:何がOKよ……。

法子:あら、気付きました?
   そうなんですよ。実はですね、ここでちょっとしたアクシデントがあったんです。

律子:滞納の時点でアクシデントだと思うんだけど。

法子:何と肝心のAさんが、ほとぼりが冷めるのを待てなかった。ほとぼれなかったんです。

律子:ほとぼりなさいよ。

法子:ほとぼるどころか、ほとばしる邪心。
   Aさん、土地が自分名義になったことをいいことに、
   会社の同僚に、その土地を安く売る相談を持ちかけてしまったんです。

律子:あらら、裏切り?Bさんに返さず、同僚に売っちゃったんだ。
   Aさんは登記があることを利用したってわけよね。

法子:そうなんですよ。そして、Aさんが同僚のFくんに言うわけですよ。

律子:……Fくん?

法子:「やあ、Fくぅん。共謀してたBの土地の登記名義が、
    ようやく僕のものになったんだよお。君、家建てるのに、この土地、買わないかい?ぶるあぁぁぁ!」

律子:うん。Aさん、アナゴさんね。「ぶるあぁぁぁ!」なんて言わないけど。

法子:あれ?よくわかりましたね。これは驚きですよ。

律子:唐突にFくんが出てくるんだもの。
   てか、こっちとしては、
   また「サザエさん」を引き合いに出してきたのも驚きだけど、Aさん、いくつだっけ?

法子:20代の若手サラリーマン。27歳だったかな。

律子:私としては、その事実が一番の驚きよ。
   確かに、今どき珍しいぐらいのしっかりした青年よ。てか、貫禄すらあるし。

法子:――アナゴ、27歳、会社員。
   まあ、パッと見は、40代の中間管理職でも不自然じゃないですよね。

律子:それに、「凄くアツイ人」って、厚い人ね、唇が。

法子:――ぶるあぁぁぁ!

律子:はいはい、下唇がよく震えてらっしゃること。
   てか、奥さんがいるのは知ってたけど、息子さんもいらっしゃったの?

法子:そうですよ。小学校低学年の息子さんがいるの。
   それに、磯野家に遊びに来て、お蕎麦打ったことあるんですよ。フグ田くんと大の仲良しですね。

律子:どうでもいい、そんなエピソード。
   てか、Aさんがアナゴさんで、Fくんがフグ田くんなら、Bさんは誰よ?
   Bが付く人なんていた?坂東さんじゃないでしょうね?

法子:え、何でそこがわからないの?
   同じ会社のBさんって言ったら部長さんしかいないでしょ。BUCHOUのB。

律子:まさかの役職名。それなら、別に隠す必要性なかったんじゃない?

法子:ありゃるあぁぁぁ?

律子:ありゃるあぁぁぁ、じゃない。巻き舌で不思議がらないの。
   てか、ちょっと待って。
   あの会社、オーストラリアに支社があったの?

法子:そりゃ、商事会社ですもの。No.3348で支社の存在が確認されてますし、
   No.2818では創立50周年を迎えてますよ。
   それに、No.3058では、アナゴさんがヨーロッパへ2週間ほど海外出張してございますよ。

律子:情報がマイナーすぎるわ。
   何を扱ってるかすらわからない会社だって言うのに……。

法子:まあまあ、そんなことよりですね、
   アナゴさんは部長さんを裏切って、フグ田くんに土地を売っちゃったわけですよ。

律子:買っちゃったんだ。

法子:で、それを見て黙っちゃいないのが、部長さんなわけですよ。
   「おい、フグ田くん。実は、その土地は私のものなんだ、返したまえ」

律子:そりゃあ言うでしょうけど、
   返せと言ったところで、その時にはもう登記もマスオさんに渡ってるんじゃないの?

法子:ええ、そうなんです。すでに登記を移しちゃってる仕事の早いフグ田くん。
   で、ここへ来て、部長さんは、はたと気付くんです。
   その土地が自分のものだという証拠が何も残っていない、と。

律子:騙そうとしていた人が、部下に騙されちゃったわけだ。

法子:そう!
   お蕎麦の「手打ち」が「手討ち」になっちゃった♪

律子:何言ってんのよ……。

法子:まあ、言っても、このくらい、この会社では日常茶飯事なんですけどね。

律子:治安が悪いでは片付けられない規模ね。どんな会社よ……。

法子:どんなって、こういう幾多の困難を乗り越えてきた会社なだけはありますよ。さすがの「海千山千商事」です。

律子:うん。意外にしっくりくる。

法子:でしょ。で、まあ、本日の相談なんですけど、
   部長さんはこの状況で、土地をフグ田くんから取り戻すことが出来るでしょうか、
   という相談で来ましたんで、よろしくお願いします。


(続く)

司会:はい、ありがとうございました。
   えー、脱税しようとした部長さんが、部下のアナゴさんに土地を売る嘘の
契約をしはったということですが、
   しかし、土地を手にしたアナゴさんは部長さんを裏切って、同僚のフグ田
くんにその土地を売ってしまったそうで、
   この場合、部長さんはフグ田くんから土地を取り戻すことが出来るかどう
かという相談であります。
   はい、よくわかりましたー。
   では、この相談は碓氷相談員から伺いましょう。

碓氷:まあ、これは取り戻すことが出来ますよ。
   だって、よく考えてみてください。部長さんとアナゴさんの契約はもとも
と嘘だったんですよ。
   嘘の契約なんだから、土地を渡したのも嘘。つまり、土地はずっと部長さ
んのものですよ。
   脱税しようとしたのは悪いかもしれませんが、それとこれとは話が別じゃ
ないですか。
   ま、確かに人によっては、騙されたことを、じ……じ……自暴自棄って言
われるかもしれませんけどね。

市河:自業自得って言おうとしたのか?だとしたら、知ったかぶりしようとした
お前がまさにそうだよ。

碓氷:た、試したんだよ、市河が知ってるかどうか。ああ、優しいなあ、俺って
。

市河:自画自賛かよ。黒板の字を間違えた時の先生みたいなこと言ってんじゃね
えよ。

碓氷:俺は先生ですよ!

市河:じゃねえよ!自分自身でもわかってるだろ。

司会:はあ、なるほど。
   それでは市河相談員はどうお考えですか?

市河:はいはい。ええっと、土地ですけど、んなもん、取り戻すことなんて出来
ませんよ。
   だって、部長さんには脱税しようとした落ち度があるわけでしょ。
   それに登記を移しちゃったのが問題ですよ。登記がなかったら対抗できま
せんからね。
   騙されたからって土地を取り戻そうだなんて、いくら何でも都合良すぎで
しょう。

碓氷:市河も都合良いもんな。

市河:はあ?どこがだよ?

碓氷:ほら、これが始まる前に裏で俺に言ったじゃねえか。「自業自得」じゃな
くて「自暴自棄」って言えって。

市河:人聞きの悪いこと言うなよ!そんなこと言ってねえよ!お前が勝手に間違
えただけだろ!

司会:はあ、なるほど。
   自作自演、お疲れ様でした。

市河:ちょっ、ちょっと!

司会:碓氷相談員は出来る。市河相談員は出来ない。
   ということでありますけど、ゲストの管理人さんはどちらの意見に賛同さ
れますか?

管理:そうですね。市河相談員に賛同して、出来ない、と思います。
   だって、部長さんは虚偽表示で人様に誤解を与える振る舞いをしたわけで
しょ。
   充分な落ち度があるじゃないですか。
   それで騙そうとしていた人が騙されたわけですから、これはもう救いよう
がないでしょ。
   こういうのを四字熟語でよく言うじゃないですか、じ……じ……自暴自棄
って。

市河:あんた、態とだろ!自業自得だよ!

碓氷:はい、市河の自作自演でしたー。

市河:むしろお前らによる他作他演だよ、この状況は!

司会:さあ、それでは、お三方のご意見、確認をさせていただきましょう。
   土地を取り戻せるかどうかであります。
   碓氷相談員出来る。市河相談員出来ない。えー、ゲストの管理人さんは出
来ないということでありますけど、
   顧問の二瀬顕さん、法律の方はどないなってますか?

ニセ:はい、これは、土地を取り戻すことが、「出来る」という風に考えます。

司会:ほう。取り戻せる、ということですな。

ニセ:ええ。
   まず、売買の契約が成立するためには、売主の「売りたい」、買主の「買
いたい」、
   という両者の意思表示が必要になります。

司会:今回の場合ですと、部長さんとアナゴさん間の売買と、アナゴさんとフグ
田くん間の売買がありますが?

ニセ:考えるべきは、先に行われた「部長さんとアナゴさん間の売買」の方です
。
   部長さんとアナゴさんは、共謀して嘘の意思表示をしています。

司会:部長さんの脱税のために示し合わせてましたな。

ニセ:ええ。このことを「通謀虚偽表示」と言います。
   つまり、この場合、当事者の部長さんとアナゴさんには売買の意思がない
ということです。
   と言うことは、意思と表示が異なっていますので、当事者間の売買は無効
となります。

司会:嘘の契約だったので無効。つまり、最初から何もなかったと言うことです
な。

ニセ:そういうことです。

管理:あ、質問質問!
   じゃあさ、アナゴさんとフグ田くん間の売買はどうなっちゃうんですか?
これも無効ってことですか?

ニセ:はい。実は今回のケースでポイントとなるのは、そこなんです。
   第三者の存在。
   つまり、今回のケースですとフグ田くんですね。
   第三者のフグ田くんが、善意か悪意かによって、状況が変わります。

碓氷:マスオはいい奴だよ。善人、善人!

市河:善人か悪人かじゃなくて、善意か悪意だよ。

ニセ:その通りです。善い人、悪い人という意味ではありません。
   知らなかった場合を「善意」、知っていた場合を「悪意」と言います。

司会:つまり、今回の場合だと、
   部長さんとアナゴさんの売買が嘘だということを、知らなかったか、知っ
ていたか、と言うことですな。

ニセ:そういうことです。
   そして、お話を聞く限りでは、フグ田さんは知っていたと思われます。つ
まり「悪意」となります。

碓氷:マスオは悪い奴だな。悪人、悪人!

市河:だから、善人か悪人かじゃなくて、善意か悪意だよ。

ニセ:善意の第三者なら保護する必要がありますが、悪意の第三者ですので、そ
の必要はありません。
   部長さんは登記の有無に係わらず、フグ田くんに「土地を返せ」と主張す
ることが出来ます。
   よって、土地を取り戻せる、という風に考えます。
   尤もこれは、部長さんが、フグ田くんが悪意であることを証明出来ること
が前提となりますがね。

司会:お聴きの通り、この場合は、土地を取り戻せるということであります。
   法子さん、おわかりになりましたら、参考にしてください。
   「法子さんと律子さん」でした。
   本日のゲストも管理人さんでした。
   それでは来週のこの時間をお楽しみにー。さいならー。

全員:♪ふふふ〜ん、ふーふっふ〜、トゥルルルル〜ルル〜♪――って、二度と
やらないつもりだったのに!!



※ 製作者は弁護士ではないので、必ずしも上記の見解が100%正しいとは言
い切れません。
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【残念ながらオンエアを逃した皆さん】

後藤○○ 305KB
(○○)悪いと言われた所を直してまた来ます。

(後藤)まいちゃんに癒されたい。
テクノ 241KB
健:もっと面白くなりたいね〜。
太:そうですね〜。
トリックル 169KB
霧雨:悔しい・・・

黒岩:また来ます。

【ジャッジペーパー】(敬称略)上から、
8823 愛の力 スリーオール FAN 銀沙灘

1組目 後藤○○
・後半に進むにつれて勢いがついてよかったと思います。
 逆にいえば前半が間延びしてたってことですが。
 ツッコミが長すぎる、ハイテンションすぎるかなあ。
 もっと切れ味鋭い一言でツッコミを入れればテンポのいいネタになったと思いました。(3点)

・前半のボケはベタ止まり。
 一方で、「スゲェいい選択肢ある!」のような光るボケ、後半の畳み掛けなど、笑いという意味での好感が持てます。(6点)

・「おかしなところあったらツッコんで」
 だと「ボケようとしてます」って表明しているようで違和感を感じます。
 後藤さんは練習したいのであってボケたいわけではない事になっているので、
 「おかしなところあったら指摘して」などの方が自然ではないでしょうか。
 ネタ全体としては、ベタなボケが多かったです。読者が初めて体験するような箇所に入ってくるボケがほしいです。
 楽屋にあるなどといったボケはある意味そういったボケなのですが、言ってしまえばあまりはまりませんでした。(3点)

・勢いがあっていいですねー。おもしろいです。舞台でやったら映えるタイプのネタだと思います。
 その分、文字にするとボケの粗い部分が目立つのが難点でしょうか。(8点)

・オーソドックスな作りでありながら楽屋、モザイク、キャバクラとそれなりに個性的なボケもある、
 そういう観点では平均点を上回る出来の漫才でした。
 しかし終盤は明らかな勢い任せで
  (○○)ねぇ見てよ!
  (後藤)ちょっと待ってよ今子供がエロ本買うところなんだから!
 これ以降の20余行はハイテンションでテキトーなボケをかましてるようにしか見えませんでした。
 終盤をおろそかにするとネタ全体がダメに見えてしまうのでよく練り直すことをお奨めします。
 残りは細かい話になるんですが、ところどころにふと首をかしげてしまうようなセリフがあったのが気になります。
  (○○)苗字を名前に付けるな!名前後藤佐藤になっちゃうから!
  (後藤)結婚してない子供なんだよ!
  (○○)複雑だな!そんな複雑な設定いらないから!
 この「結婚してない子供」がシングルマザーの子供を指すのか未婚の息子(娘)を指すのかに関係なく
 「複雑だな!」と判断できる家庭環境が思いつきません。
  (後藤)カリフラワー買って来て。
  (○○)うん!なんで今カリフラワーが必要なのか分かんないけど買って来る!
 恐らく晩御飯のためです。今必要でないとしてもわざわざ口にするほどのことではありません。
  (後藤)じゃあ分かったよ4番の家でゴロゴロしてるよ!
  (○○)4番あったのかよ!
 いつ「●番」とナンバリングしていたのでしょう。
 できれば最初から1番2番3番と言ってくれた方がスッとボケを受け入れられます。(4点)
2組目 センチメンタルゼリービーンパニック
・このぶっ飛んだ設定、ボケの質、量、ツッコミの強弱、展開の良さ・・・どれをとってもほぼ完ぺきだと思います。
 話が進むにつれて明らかになるあり得ない画が浮かんで楽しかったです。
 強いて言うなら終盤の空中に浮くところから若干失速したのでそこを減点文としました。
 とはいえ十分面白いネタで飽きさせない内容でした。(9点)

・出だしの設定の時点でネタとして成功してます。「いらねえよ!」が最たるもの。
 ただ、初めのインパクトのわりに、ミノタウロス辺りから若干萎んでいきました。あくまで若干です。(8点)

・非常にムダのない完成度だと思いました。
 設定もその活かし方も面白いうえ、ムダがないので一気に読めました。
 ただムダが無さ過ぎてかえって物足りなさを感じてしまったので、
 そぎ落としたムダの部分に鬼に金棒的な要素が加われば、と思いました。(8点)

・入りからずっとおもしろかったです。
 完成度が高い、という言い方が正しいのかわかりませんが、
 読んでいて、このネタにはこれ以上手をかけたくない、と思いました。(10点)

・最初の頃は設定負けしないかなと不安気味でしたが、終わってみれば予想以上でした。
 こういった出オチ設定で初撃のインパクトを超えるボケを途中でどんどん繰り出せるネタは素晴らしいです。
 特に祖母タウルスは圧巻。なんでここまでしっくりくるんでしょう。
 欠点を挙げるなら「地面に叩きつけられると祖母タウルスの幻影が消えてしまう」という設定が
 少々飲み込みにくい上にそれほど面白さがなかったので、ここは推敲の余地ありかと思われます。(9点)
3組目 トリックル
・「マジギレ」とか「冗談よして」とか答えを発表した後の一言ボケがツボでした。
 ただ、「漫才」としてみるのはちょっと違和感があったかなあ。
 二人とも関西弁と標準語が混ざっているのは読みづらいし、大学の時の件の「スペルを覚えとけ」っていうツッコミは漫才としておかしいです。
 一応二人でしゃべっている体でネタを見たので成立していないボケが幾つかあったと思います。(5点)

・ボケがことごとくおもしろくないので、コメントしようがないです。
 おもしろくない、というより、次元が低いといった方が適切かもしれない。(0点)

・マジギレせずにマジギレって言うのは変に感じました。
 ギレしか合ってないため、時間切れの言い換えだとはなかなか気づかないと思うので、
 ちゃんとマジギレさせた方が良いと思います。
 あと急に関西弁になるのもおかしいです。統一してほしかったです。
 また、全体的にボケはベタだったと思います。冗談半分はもろかぶりでした。
 オチに関しては・・・霧雨さんの言うとおりだと思いました。(2点)

・一年計画で審査した通りなんですが、ボケが、ボケ方という意味でも安易さという意味でも非常にマズイです。
 文字のネタに依存しすぎているのが……漫才形式はあくまで言葉でボケた方がいいと思います。僕は。(0点)

・長文の特性を生かした活字漫才で、歴史の最初2問はいかにもそれらしいボケでした。
 が、ボケもツッコミもどこかぎこちなく、いくら形式が珍しくとも面白さ自体が伝わってきませんでした。
 特に英語に関してはボケというよりただの屁理屈や負けず嫌いの言いわけにしか見えません。
 いわゆる「1+1=田んぼの田」のような間違ってはないけどおかしい問題がこのネタの基本となるボケでないでしょうか?
 あと減点にはしてませんが、コテコテというか覚えたてっぽい関西弁が鼻につきました。(2点)
4組目 安物鬼
・ボケもどの場面でも安定した内容だったので見ていて面白かったです。
 帰りの徒歩の時間が若干長くなるっていう芸の細かさもさすがだなあって思いました。
 ただ、ひきこもりってネガティブな設定だから登場キャラがやたら明るいのが違和感がありました。
 最後ももう少し救いのある終わり方にしてほしかったなあ。(7点)

・キン内マンがバカなのはよく伝わってきて、最初は面白かったですが、
 途中からダメ人間さが目立って笑えなくなりました。(4点)

・コントの流れが読めるというか、働かない息子と母親という設定の中でよくある流れ
 (年齢の概念、息子がヒーローと名乗る)が多かったのですが、
 それを打ち消すぐらいバカバカしいボケが続いて面白かったです。
 ただ父親はわずかしか登場せず、窓際は本当に口が悪いという印象しか受けなかったので
 いっそ削った方がいいかもしれません。(7点)

・母が「ガチャ」って口で言ってるのが地味にきました。狙ったかわからんけど。

 キン内マンのキャラが立っていてよかったです。
 ボケツッコミというよりお話寄りなのでボケがあまり響かなかったかなぁとも思います。(7点)

・リアリティとバカらしさが上手く調和していい感じでした。
 キン内マンも然ることながら母親のキャラもなかなかです。一般人なら当然って感じのツッコミではありましたが。
 ただ、職案のくだりはもっと短くて、最悪オールカットでもいいくらい内容がなかったです。
 オチをつけるなら翌朝の時点で落とそうと思えば落とせますし。(8点)
5組目 法子さんと律子さん
・しっかり作りこまれたネタだなあって感心しました。
 前回のネタも見させていただいたんですけど、「やられた!」って思わせる後半からの展開が相変わらずすごいです。
 ただ、前半がちょっと固くなりすぎですかね。
 テンションの差がないうえに口調も似ているから会話が読み取りづらかったです。
 あと、漫才で続くってオチはちょっと・・・。(4点)

・前回が前回なだけにイニシャルの明かし方が気になったのですが、アツイ人などうまかったと思います。
 が、やはり意外性という面ではインパクト不足かなと思いました。
 また法律の事例の話をしつつボケを入れていく手法、手数は素晴らしかったのですが、
 ボケのパワーはふるわない印象を受けました。
 トークがオンエアされなければこのネタ完成しないというのも裏をついていて面白い試みだと思います。
 ちなみにフグ田くんが善意・無過失なら部長さんは取り返せない気がします。(5点)

・笑い云々より、作者さんがここまで調べを尽くしてこのネタを作った、という事実がおもしろいです。
 笑い云々の話をすると、前半に笑いが薄いのは否めないです。ただ制約の中でのボケの質は高いと。
 わりとアナゴさん頼みといのはなんとも。(8点)

・よー出来てますねこれ。サザエさんと法律にお詳しいこと。
 おもしろさで言うと、前回より増していると思います。
 アナゴさんのカミングアウトがあっさりしすぎかな、とも思いますが。(9点)

・完成度は高いですよ。情報収集や全体の流れもわかりやすくまとまってます。
 ただ、ボケの数がなんとかならなかったかなぁと。
 ボケは全体的に質の高いものが割合的に多いんですが、文量の割に数が足りません。
 また、案件の話とは別としたネタとしての展開も平坦なのがそれに拍車をかけて笑いの量を減らしています。
 制限がきつい設定ではありますがそれでも現状ではお笑いのネタとして未完成です。(6点)
6組目 テクノ
・普通に面白かったです。
 最初のテストの件ははしょるか後半にもう1回出すかのほうがいいと思いますが。
 それでもほとんどのボケで笑いました。
 ただ、言い間違えのボケが濃いかなあ。
 校長とか焼き芋みたいな流れに乗ったボケがもう1つくらいあれば文句ないです。(8点)

・笑い云々より、作者さんがここまで調べを尽くしてこのネタを作った、という事実がおもしろいです。
 笑い云々の話をすると、前半に笑いが薄いのは否めないです。ただ制約の中でのボケの質は高いと。
 わりとアナゴさん頼みといのはなんとも。(3点)

・テンポを上げてボケを詰め込んでいる印象を受けました。
 ボケの当たりと外れが1:9ぐらいだったので、悪いボケを引きずる前に次のボケが来るという点では良かったのかもしれませんが、
 卵を投げる、はっけよいなどの割と面白かったボケもすぐ流れて
 その次のボケがはずれというパターンが何度かあったのでトータルでなかなか印象に残りませんでした。
 また、外れというよりは安易すぎるボケが多かったです。校長の使い方も雑ですし、
 100キロメートルは安易なうえベタだと思います。
(1点)

・芋だったり校長先生だったり、テンドンしてる割に笑いにつながってない気がします。
 これだ!というボケがなく。ボケがベタの域を抜けてないですかね。(2点)

・部活動生紹介や来年度新入生かけっこといったボケは視点の良さと懐かしさがあり、本漫才のベストボケでした。
 それに次いでラジオ体操、フレーフレー国民あたりもなかなかでしたが、逆に言えばそれくらいしか印象にありません。
 安直な発想のボケが大半で、ツッコミも無難でむしろ時々的外れな指摘をすることも。
 捻った設定を1つ加えてオリジナリティを出してはいかがでしょう。(3点)

【第296回結果表】 平均KB 329KB
ユニット名KBOA率BR
センチメンタルゼリービーンパニック4892/5
安物鬼38927/32
法子さんと律子さん3812/2
後藤○○3051/5
テクノ2410/3
トリックル1690/3
センチメンタルゼリービーンパニックが高得点でC大会まであと1勝に迫った。
安物鬼はリベンジ、法子さんと律子さんは2連勝。
後藤○○はC大会戦線から離脱してしまった。