第295回 青沢オンエアバトル

市河:以上で計量は終わりました。
    オンエアされる上位3組の発表です!

高山流水  (2位)
リベンジ成功!


コントラスト  (1位)
今期3勝目!


月影連盟  (2位)
無傷の5連勝!


碓氷:難関を突破した皆さんの熱演をご覧いただきましょう!

コントラスト    (3/7)
コント/修学旅行の夜
浜谷:よっしゃ!ラッキー!
川田:こんばんは、コントラストのお姉さん達だよ。
話題のおネエ系ですね。高得点で今期3勝決めた!コントラスト!

浜谷:いや〜、まさかあのケチな学校が、こんな良い旅館を貸し切ってくれるとはね。
   女将さんもいい人だったし。もう、この旅館を見ただけでも修学旅行に来たかいがあったな!
   まぁ、ホテルオークラほど豪華じゃないけどね!

川田:……まぁ……うん。

浜谷:まぁ、ちょっと晩飯はうまくなかったけどな……。
   酢豚にパイナップルが入っているのって苦手なんだよなぁ…。皆、残していたし。
   女将さんが残したパイナップルを集めてたのは可哀相だったなぁ……。
   
川田:……まぁ……そうだね。

浜谷:でもさ……俺たちの部屋はすごく豪華だよな!
   もう、辺り一面ボタンばっかり。ほら、このレバーを前に倒したらどうなるんだろう?


[ウィーン、ガシャン]


浜谷:おぉ!!すげえでかい音!部屋もなんか動いたし!!外の景色も変わったぞ!
   なぁ、川田!
   
川田:……あんまり部屋のものとかを触らない方が良いと思うぞ……。

浜谷:いいじゃんか!それに、このボタンを押したらどうなるんだろう……[ポチ]


[ウィーン、ガシャン]


浜谷:おぉ!!すげぇ!!今、部屋がすげぇ揺れた!!
   飛んだよな!この旅館、今飛んだよな!!

川田:……そうみたいだね。窓から見える景色が変わったもん……。
   
浜谷:なんだよ、お前はノリが悪いなぁ。
   せっかくの修学旅行なんだから楽しもうぜ!!この赤いボタンも押してみよう![ポチ]


[ウィーン、ガシャン……ウィーン、ガシャン……ヒュー……ドンドン!!]


浜谷:おぉすげえ!さっきまでこの窓から見えてた金閣寺が焼け野原だぜ!
   うわ!このボタンを押したらミサイルが出るんだ!

川田:なぁ……ちょっといいかな?
   俺たちが泊まっている、この旅館さぁ……巨大ロボットだよね……。
   そして……俺たち、そのロボットの操縦席にいるよな……。

浜谷:そんなわけないだろ〜。
   それにしても、テンション上がるな!これが修学旅行かぁ〜。

川田:いや、こんな修学旅行は他に類を見ないと思うぞ。

浜谷:だから、なんでそんなノリが悪いの?

川田:逆に、なんでお前は普通で居られるの?
   ……普通っていうか、もう操縦しているじゃん。

浜谷:……あ、わかった!怖いんだろう、見回りの先生が!
   確かにミサイルはでかい音がするから、あんまり出さない方がいいな。先生が来ちゃう。

川田:なんで、俺がこの状況下で京都府民よりも、先生の怒りの方を恐れるんだよ!!
   俺たちは巨大ロボットの中にいるの!!もっとパニクれよ!

浜谷:だから、変なことを言うなよ。ただの移動式戦闘型旅館だろ?

川田:そんなジャンルはない!!ていうか、そこまで来たらロボットだよ、ロボット!

浜谷:もう、そんなことどうでも良いからさ、寝ようぜ。

川田:えええ!?浜谷君、”普通”って時に暴力と化すんだよ。
   お前は世界遺産を一つ犠牲にしてもわからないのかよ!

浜谷:いいじゃん、寝ようよ。

川田:だから、そんな落ち着いてられるかよ!

浜谷:……………………。

川田:………なんか言えよ。

浜谷:……………………………………………寝た?

川田:よくもこの状況で修学旅行の夜の決まり文句を言ったな、お前は!!!
   本当にロボットなんだから、マジでヤバいって!
   特にお前は、今世界で一番ユネスコに嫌われてると思うよ!!

浜谷:え……じゃあ、これって本当にロボットなの……!?

川田:遅いよ〜。そのリアクション!
   本当なら先生がエヴァンゲリオンみたいなロボットを指差して
   「ここに泊まります」って言った時にそのリアクションしなきゃ!

浜谷:いや、でも、その時は
   「あ、先生って深爪なんだ……」って思ってたから……。

川田:注意点!!なんで指に目が行っちゃってんだよ!

浜谷;いや、確かにさぁ……女将さんが旅館を案内している時に、
   ビームサーベルについて言及した時は「あれあれ?」っと思ったけどさ…。

川田:遅いなぁ……。遅すぎるよ。
   その時、お前以外はこの旅館の写真を撮って
   「新世紀修学旅行」っていうタイトルでブログの記事を書いていた頃だよ。

浜谷:異様にモダンな旅館だと思ったけどさ……。

川田:モダンを通り越して新世紀だよ。

浜谷:異様に従業員の人のスーツがピチピチだなって思ったけどさ……。

川田:もう、女将さんなんてムチムチだったじゃん。
   先生も苦笑いしていたよ。

浜谷:まぁ、女子風呂をのぞきに行くのに異様に罪悪感を感じる旅館だなって思ってたけど…。

川田:………いや、ごめん、それは関係ないわ。

浜谷:まぁ……でも、いいじゃん。どっちにしても良い旅館に違いがないんだから。気楽に気楽に。
   寝ようぜ。

川田:おぉ。浜谷君、”気軽に”って言葉も時に暴力と化すんだね。

浜谷:……………………………………………寝た?

川田:だから、この状況で寝る訳ないじゃんか!!

浜谷:………なぁ、なぁ、お前の……好きな女子って誰?

川田:すげぇ甘酸っぱい会話しようとしているじゃん……。

浜谷:で、誰が好きなんだよ?

川田:…………えぇ……言いたくないよ………。

浜谷:えぇ、なんだよそれ!
   せめて出席番号だけでも教えてよ〜。何番?何番?何号機?

川田:ロボットみたいになってるじゃねぇかよ。
   ……分かったよ言うよ、………B組の長谷川だよ。

浜谷:えええ!?マジで!?ビックリした!
   お前、B-長谷川初号機の事が好きなのかよ!

川田:だから、ロボットみたいな言い方すんなよ。

浜谷:うわ、すげぇテンション上がって来た![ポチ]


[ウィーン、ガシャン……ウィーン、ガシャン……ヒュー……ドンドン!!]


川田:テンション上がったからってミサイル出すなよ!今、銀閣寺に当たりそうだったぞ!
   お前、マジでユネスコにマークされるぞ!

浜谷:そんな怒るなよ。
   当たっても、銀ちゃんは世界遺産じゃないから、反省文程度で許されるだろ?

川田:浜谷君、”無知”って時に人を傷つけるんだぜ。
   もう、俺帰る!こんな危ない旅館に泊まってられない!
   
浜谷:おい、落ち着けよ。
   生徒が修学旅行中に旅館が怖くて家に帰るなんて、前代未聞だぞ。

川田:ミサイルが出る旅館の方が前代未聞じゃろうが!!!

浜谷:だから、落ち着けって。
   女将さんもいい人だったじゃん。

川田:それにさ……多分だけどさ………。
   ……あの女将さんもロボットだぜ。

浜谷:ハハハ。そんなワケないだろう?あんないい女将さんがロボットな訳がない。
   だって、俺たちの面倒をよく見てくれるじゃないか。卓球とか一緒にやってくれてさ。
   まぁ、動く時に「ウィーン、ガシャン」って音がするのが玉に瑕だけどな。

川田:もう……わかってるじゃん……。玉に瑕どころじゃねぇだろう。
   それに、ことあるごとにあの女将さん、エネルギー残量がどうたらとか言ってたじゃん。

浜谷:いや、そんなのただの充電式女将さんだろ?

川田:だから、そんなジャンルはない!!そこまで来たら、認めろよ!!
   俺たちはロボットだらけの旅館に泊まって………


[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!]


川田:な、なんだよこの音!!
   ……あ、なんか巨大なものがこっちに近づいて来るぞ!

浜谷:あ、あれは……五重塔!!


   
放送:[ピッ]こちらホテルオークラ初号機。旅館5-13号機、応答せよ。
   今、そっちの方に第4五重塔『ゴジュエル』が向かった。至急戦闘態勢に入れ![フォン]


川田:……え?ゴジュエル?何この放送?何この急展開?
   俺等が戦わなきゃいけない感じなのかな?なぁ、浜谷。どういう事なんだろう?
   

[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!]


浜谷:あ!ゴジュエルが金閣寺を焼け野原にしたぞ!!
   壊したね!金閣寺を壊したね!!僕も壊した事がないのに!!


[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!…………ゴゴ?]


川田:お前が壊したんだよ!!
   ゴジュエルもなんか金閣寺を壊すテンションだったのに、ないから困っているじゃん!
   もう、適当にミサイルを撃つしかねぇよ!
   ミサイルは……この緑色のボタンか?[ポチ]


放送:女将零号機発射します。


[ウィーンガシャン……シュー!……バタンッ]


川田:あ!女将さんが出てきた!!
   よし、女将さんが戦ってくれるんだな!!女将さん、ゴジュエルを倒して!!
   ……あ、何かを投げながら戦っているぞ!……なんだアレ?

浜谷:…………俺等が残した、パイナップル……。


[…………ゴゴ?]


川田:……お、女将さん!!そんなもので対抗を!?
   ゴジュエルもキョトンとしているじゃねぇか!

浜谷:……あ、あれ?女将さんが動かなくなったぞ!?

川田:ど、どういうことだ!?


放送:[ピッ]こちら従業員3号機。旅館5-13号機操縦席、応答せよ。
   女将零号機のエネルギーが卓球のしすぎで低下している。
   ……………どうにか、がんばってね![フォン]
   

川田:な、なんと無責任な……!!


[ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!]


川田:や、ヤバい!ゴジュエルが女将さんの方に向かっている!
   このままじゃあ、女将さんが……女将さんが………。

浜谷:俺等は何やってるんだ……。女将さん、いや、女将零号機が戦っているというのに……。
   逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ………。
   で、でも、こんな僕に何が……何が出来るって言うんだ!!
   おぉ、慈悲深き、主よ!我に、この天地を揺るがす力を与えたまえ!!!

川田:………一人芝居中ごめん。そんな悩んでいる時間ないと思うよ。

浜谷:よし、ミサイルを出すんだ!
   うぉぉぉおおぉぉおぉぉぉぉぉおおぉおぉぉおぉぉぉ!!!![ポチ]


[ウィーン、ガシャン……ウィーン、ガシャン……ヒュー……ドーーーン!!!]






























放送:[ピッ]こちら教員一同。旅館5-13号機操縦席、応答せよ。
   もう就寝時間だ。至急寝ろ![フォン]
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月影連盟    (5/5)
コント/追想の美学 -人に歴史有り-
勝者コメントビーム!
勝者紹介バズーカ!合計1475KBで堂々のランキング1位!月影連盟!

草尾:…で、どうしたんだ夏野?急に呼び出したりして。

夏野:ノートパソコンがな。起動しないんだ。
   俺の大切な思い出が詰まりに詰まったノートパソコンがな。起動しないんだ。もっさりと。

草尾:もっさりと起動するノートパソコンがあるなら持ってきてほしいところだが。
   なんで何の取り得もない俺を呼び寄せたのか聞いていいか?もっといい奴いただろ。

夏野:お前は俺の大切な友人だからに決まってるだろうが。
   修理屋の大石、技術科の三宅先生、一級建築士の長曽我部先輩、短距離ランナーのなっちゃん、
   マッチ売りのダニエル、自転車泥棒のピョコビッチ、大型犬のコッポラ親分に断られた時、
   もうお前しかいないと確信したんだよ。   

草尾:俺の優先順位かなり低いな!せめて短距離ランナーの前には呼んでほしかったよ。
   もう後半ヤケクソだろ。ピョコビッチとかコッポラ親分とか何者だよ。

夏野:そんなわけで俺はこれからパソコンの修理に取り掛かるから、
   お前はそっちで一人組体操でもやっててくれ。

草尾:何のために俺呼んだんだよ!何かしら使ってくれよ!

夏野:(プルルルル、ガチャ)あ、もしもし、なっちゃん?やっぱり来てくれん?

草尾:短距離ランナー呼び寄せるな!

夏野:え、無理?なんでよ、俺ら親友やろ?え、今100m走中?

草尾:どんなタイミングで電話かけてんだよ!そして出るほうも出るほうだな!

夏野:(ピッ)断られた…。俺って嫌われてるのかな…。

草尾:どこの世界に競技中パソコン修理にやって来るバカがいるんだよ!

夏野:仕方ない、こうなったらコッポラ親分に頼むしか…

草尾:俺の存在意義!もういいから、で、パソコンが起動しないんだって?

夏野:そうなんだよ。俺の高校の思い出がパンパンに詰まってるのに。
   まるでジーパンのポケットに財布とハンカチを詰めたかのようにパンパンに詰まってるんだ。

草尾:うん、お前の思い出のパンパン具合はどうでもいいんだけど。
   っていうか、高3で転校してきて常に1人で居た上誰とも喋らず、
   毎日尋常じゃない唇の噛み方してたお前にどんな思い出があるんだ?
   そこちょっと興味あるな。

夏野:勿論あるよ。まぁ確かに、俺は一概にも明るい奴だったとは言えないかもしれない。
   親父の都合で転校したはいいものの学校に馴染めず、
   1人で尋常じゃない唇の噛み方をする毎日。
   他の生徒たちの「何だアイツ」的な冷たい視線を浴び続けて体が凍り、
   そのうち理科の実験で使われるんじゃないかと思ったこともあった。

草尾:ネガティブの度合いが半端じゃないな!

夏野:でも素晴らしい人々に支えられたお陰で、こうして此処まで来れたんだ。
   もし支えてる人が1人どっか行って隙間が空いてバランスが崩れ、
   俺の体の一部が異様な形になってエイリアンシリーズのオファーが来たらどうしようとか考えたけども。

草尾:だから考えすぎだろ!いや、考えすぎにしてもおかしいけど!
   まぁいいよ。で、そんなお前に俺が真っ先に声を掛けたんだよな。

夏野:そう、最初に話しかけてくれたのがお前だった。
   正直お前が俺の体目当てじゃないかとか、給食費目当てじゃないかとか、
   面識も無い俺を連帯保証人にしてトンズラこく気なんじゃないかとか次々に浮かんできたけど、
   俺は単純に嬉しかったなぁ。

草尾:嬉しくなさそうだな!あの曇った瞳の裏にはそんな感情があったのか!

夏野:いやでも、本当に嬉しかったよ。
   転校してから程ではないけど、転校前もそれなりに病んでたからな。

草尾:そうなのか…前の学校で何があったんだ?

夏野:予想外と思うけど、友達は1人もいなくて、毎日机で唇を噛み噛みする日々だったんだ。

草尾:予想通りだよ!今と変わってないじゃん!

夏野:いや、今は尋常じゃない噛み方、昔はそれなりにメジャーな噛み方だったんだ。

草尾:知らねぇよ唇の噛み方へのこだわりレベルは!

夏野:丁度その頃だったかな、親父が昔の友達の連帯保証人になっちゃってさ、
   案の定友達は夜逃げ。我が一家は借金取りに追われる生活を送るハメになったんだ。

草尾:あぁ、だから連帯保証人って単語に敏感だったのか…

夏野:ある日のこと、俺が電柱の影に隠れてると向こうの方を借金取りが歩いててさ、
   「カバンの中も、机の中も、探したけれど見つからないのに〜」って歌ってやんの。
   「この次の歌詞なんやっけ?」とか言いながら。

草尾:随分陽気な借金取りだな。

夏野:そこをすかさず俺が「まだまだ探す気ですか〜!!」って叫んだら見つかっちゃってさ…

草尾:当たり前だろ!!何2つの意味で協力してんだよ!

夏野:そしたら向こうも「それより僕と踊りませんか〜!!」って叫びながら追いかけてきて…

草尾:なんだよそのコント!!無駄にノリのいい借金取りだな!

夏野:結局捕まっちゃってさ…。借金取りの「夢の中へは入れなかったな!」で俺の完敗。

草尾:なんだその楽しそうなやり取りは!もはやお互い変態にしか見えねぇよ!
   …で、捕まった後はどうなっちゃったわけ?

夏野:金は持ってないって言ったら、上着持って行かれちゃって上半身裸。

草尾:やっぱり変態じゃねぇか!事務所連れてくとかそんなんじゃないのかよ!

夏野:行く当ても無く、結局家に帰ったんだ。
   そしたらアパートのドア前に別の借金取りが居て。

草尾:うわっ、最悪だな…。

夏野:見つからないようにこっそり近付いてたら、借金取りの歌声が聞こえてきてさ。
   「向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこに居るはずもないのに〜……次なんやっけ」

草尾:……………

夏野:そこで俺が「んねがぁぃがぁぁもしもかなうぅならぁぁ〜〜〜」って熱唱したら見つかってさ。

草尾:案の定かよ!!お前成長できない人だな!!

夏野:怖くなって、庭に置いてたチャリに乗って逃げるしかなかったよ。曲の続き歌いながら。
   それ以来、その曲がトラウマになっちゃってさ……。

草尾:山崎まさよし熱唱しながらチャリで爆走する上半身裸の男。なんだこれ

夏野:誰にも縛られたくないと逃げ込んだこの真っ昼間に、
   自由にもなれないしただただ寒いだけだった17の秋。

草尾:かっこ悪い方向にアレンジすんな!

夏野:遂に力果ててさ、路地裏で凍えてたよ。
   するとふっと、俺に温もりの手を差し伸べてくれた人がいた。
   それが俺の親友、マッチ売りのダニエルなんだ。

草尾:…ダニエル!…なんか聞き覚えあると思ったら電話順にエントリーされてたあいつか!
   今の時代マッチで大成してんのかどうかは知らんけど。

夏野:いや本当に暖かかったよ…炎の中に暖かい物が見えてきてさ…
   ラーメンに味噌汁、おでんにすき焼き…

草尾:実際そういうの見えるんだな…

夏野:真夏の柔道部の部室に相撲部屋…

草尾:むさ苦しいタイプの熱さじゃねぇか!

夏野:もうそこまでくると逆に寒気がしてきてさ。
   寒すぎて体が凍って理科の実験に使われるんじゃないかと思っちゃって

草尾:究極の被害妄想はその頃から健在かよ!


(♪いつでもーさーがしているよー どっかにーきーみーの)ピッ

夏野:もしもし?あ、なっちゃん!

草尾:トラウマ曲を着信にすんなよ!!

夏野:いやー、さっきはゴメンね100m走中にかけちゃって。え、1位だったの?凄いなぁ…。
   で、用件なんだけどさ、やっぱりパソコンが直らなくて来てもらおうと…
   ……えっ、今400mリレーのバトンパス中?

草尾:だからタイミングよ!!ちょいちょい競技中に横道逸れたがるな!

夏野:分かった、それじゃぁ…(ピッ)バトンパス中だって。

草尾:右手にバトン、左手に携帯でリレーの女。なんだこれ

夏野:まぁなっちゃんは諦めよ!それで話の続きなんだけど、
   そんな感じでダニエルと仲良くなっちゃって、話し込んでたんだよ。

草尾:ほうほう。

夏野:そしたら男が突然やって来て、自転車乗って逃げちゃったんだよ!
   そう、それが自転車泥棒のピョコビッチとの出会い。

草尾:ピョコビッチ出てきた!まさかと思ったけど実在の人物だったか…

夏野:ピョコビッチはセルビアからの留学生でね、
   大学校内では立ち入り禁止の看板より前にいる事が彼の持ち味なんだ。

草尾:迷惑極まりない持ち味だな!!大丈夫かそいつ!

夏野:でもそれが用務員のおじさんに見つかっちゃって、
   慌てて逃げる途中でふと鍵付きの自転車を盗んだことから、彼の才能が目覚めたの。

草尾:どんな才能の目覚め方だよ!

夏野:ほら、人間って必ず一つは才能があるって言うじゃない。
   ピョコビッチの場合、それが自転車を盗むことだったんだろうな。

草尾:そんな才能分け与えるのはどこの神だよ!!ただ鍵が付いてたから乗ってっただけだろ!
   ……でも何でそんな泥棒と仲良くなってんだ?乗って逃げちゃったんだろ?

夏野:うん、それが幸運なことに、一部始終を見てた人が追いかけて捕まえてくれたんだよ。
   まぁそれが、隣の陸上競技場で100m走の最中だったなっちゃんなんだけど。

草尾:どんな斬新な出会い方だよ!!なっちゃん数秒の競技に集中できない子か!!

夏野:まぁ何にせよ、自転車が無事で助かったよ。肝心のピョコビッチは逃げちゃったけど。

草尾:逃げちゃったの!?話の流れ的におかしくならねぇ?

夏野:ならねぇならねぇ、何故ならコッポラ親分が噛み付いて引っ張ってきてくれたから。

草尾:コッポラ親分!!唐突な登場にちょっと興奮しちゃったじゃねぇか!!

夏野:もうね、凄かったよ、つま先からおでこ辺りまで噛み付いてたからね。

草尾:全身いっちゃってんじゃねぇか!噛み付いたの次元じゃねぇな!

夏野:それで俺が頭を撫でると凄い喜んでさ……
   勢いよく尻尾振りすぎて、爆風で周辺の民家が吹き飛んじゃったよ。

草尾:規模が桁違いすぎるだろ!!どうすんだよその状況!
   …でもさすが、親分の異名は伊達じゃなかったな……

夏野:あれは流石の俺も驚いたけどね。なっちゃんの友達の修理屋、大石と、
   たまたま家が吹き飛ぶ光景を眺めてた一級建築士の長曽我部先輩がちゃちゃっと直してくれたよ。

草尾:ちゃちゃっと直せるレベルじゃないだろ!おもちゃの片付けかよ!

夏野:そんな感じで自体も丸く収まったから、コッポラ親分からピョコビッチを引きずり出してさ、
   逃がしてあげたんだ。自転車も無事だったし。

草尾:「引きずり出した」の表現が妙にリアルだけど…
   しかしお前って優しいやつだな。それでどうなったんだ?

夏野:そしたらピョコビッチもすごいはしゃいじゃってさ、
   早速工事現場の立ち入り禁止看板の前に居やがんの。

草尾:ダメな持ち味のデフレスパイラルかよ!!

夏野:すると当然、工事中の長曽我部先輩が怒っちゃってさ、ピョコビッチ追いかけてるし、
   ピョコビッチも才能を生かして近くに止めてた自転車をパクって逃げようとするけど、
   それをなっちゃんが爆走で捕まえてコッポラ親分がガブリ。

草尾:永久に終わりそうにねぇな!その状況、お前が食い止めろよ!

夏野:俺はその頃丁度、新しい唇の噛み方を閃きそうだったからじっと考え込んでたよ。

草尾:ダメだ、トラブルの張本人がアホだった!

夏野:そのやり取りが20回くらい続いた後で、流石にピョコビッチも懲りてさ、
   なんかわけもわからずアドレス交換しちゃったよ。

草尾:どんな友情の芽生え方だよ!全く、世界って広いんだな…

夏野:でもなんだかんだで、いい思い出なんだよなぁ。
   前の担任、三宅先生が借金を工面してくれたお陰で楽な生活に戻れたし、
   借金取りに持っていかれてた上着もクリーニングされた状態で戻ってきたし、
   マッチの炎の中から相撲部屋の光景も消え去ってたし、
   唇の噛み方の新境地にも達したし、言うことなしだよ。

草尾:俺としては4分の3がビックリするくらいどうでもいいことだと思うんだが、
   まぁお前が幸せならそれでいいと思うよ。

夏野:そんなわけでね、新しい学校に馴染めなかった俺にとっては、
   その頃の思い出が本当に大切なんだ。
   そのデータが入ったパソコンが起動しないと、
   俺が俺じゃないような気がして、つまり俺は誰なんだって話になって、
   人に聞いて回ってるうちに記憶喪失と勘違いされて、
   政府が開発中の極秘プログラムの実験台になったらどうしようってことなんだけど。

草尾:あぁもううるさいなぁ!そのネガティブシンキングをどうにかしろよ!
   …それでさぁ、そのことで今ふと気付いたんだけど……
   ……コンセント、入ってなくね?

夏野:…え?

草尾:……ほら、机で隠れて見えなかったけど、コンセント入ってないじゃん!
   単にバッテリー残量が無くなっただけだよ!

夏野:…あぁ、そうだ!もしコンセント入れっぱなしのまま家を出て火事になって、
   それに続くように立て続けに地震と雷が俺の家を直撃して、
   負けじと見知らぬ親父が寄ってきて説教されてる間に、
   日曜洋画劇場のパイレーツオブカリビアンの録画を忘れてたらどうしようと思って抜いてたんだ!

草尾:めんどくせぇ!!果てしなくめんどくせぇ!!
   それにお前、火事が起こったら録画もクソも無いだろ!
   いや、そこじゃない、そこじゃないんだけども!

夏野:(ガチャッ、ウィーン)充電始まった…良かった、これで思い出も復活するよ…
   ちゃんとバックアップを取っておこうって教訓だな…
   ……よしよし、最重要の「唇の噛み方記録.txt」もあるな…

草尾:それが最重要なのかよ!!仲間たちとのやり取りとかじゃないの!?

夏野:俺にとっては、唇を噛むこと自体がアイデンティティみたいなもんだからな。
   むしろ、これこそが俺に与えられた才能なんじゃないかと思うよ。

草尾:お前の周辺には余計な才能与える神しかいないのかよ!自転車といい陸上といい!

夏野:何はともあれ良かった!お前が来てくれたお陰だよ!

草尾:…ある意味、コッポラ親分が来てたら来てたで、
   コンセントくわえて「バウ!」って言うことによって数秒で解決してた可能性もあるんだけどな。
   そこが悲しい。延々と予想外の思い出話を聞いてしまったよ。

夏野:まぁ、人に歴史あり、ってやつだな…。外見で判断するのは良くないぞってことだ。

草尾:そういうことだな……よっしゃ、パソコンも戻ったし、俺は帰るわ。じゃぁなー

夏野:おぅ、お疲れ!また何かあったら来てくれよ!

草尾:今度こそはせめてピョコビッチよりは前に呼んでくれよな!

   (ドンドンドンドンドン!!)……ん?誰か来たみたいだぞ?


なっちゃん:(ガチャッ)夏野っ!!走り幅跳びの助走中だけど来た!!パソコンがどうしたって!?

草尾:パソコン修理にやってくるバカいた!!
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高山流水    (5/9)
語り/リアル イズ リアル
ありがとうございました。
ちょっとほっぺたつねってきます……
実に4年半振りのオーバー400。今期2勝目!高山流水!

あれはいつのことだったか。

外では雨が降っていたのは覚えている。僕は、ちょうど本を読み終わったところであった。

山田悠介の「リアル鬼ごっこ」。

全国の佐藤さんが、リアル鬼ごっこで殺されていく話だ。

うむ、斬新な世界観はなかなかおもしろかった……と同時に、

僕が佐藤姓じゃなくてよかった、などと思ったのだった。

僕はそして、まあ、そんなこと起きるわけないんだけれど……と呟いて、テレビを付けた。

すると、ニュースキャスターが信じられないニュースを報じていた。









「「「名前が“佐藤”以外の人は、一ヶ月後に殺されます」」」











衝撃。



鈍器で殴られたような衝撃とは、このことである。

ちなみに、このときの鈍器とは、ぬか漬けが漬けられるレベルの壷で、

強靭な男(タンクトップを来ている)が、ぬかで手を滑らせながらも、

ぬかが入ったままに投げ飛ばしてきたという、代物である。

つまり、そのくらいの衝撃だったのである。

もしこのとき、客観的に僕を見ることが出来た人物がいたなら、きっと、

目が点になっている僕を見て、

「ホントに目が点になってる……って、一次元にしか目がないってことかーい!」

という、高度すぎてよく分からないボケをかましたに違いない。

そして、そんな彼に僕は、

格別なハイキックでツッコミを施していたであろう。

…いや、ハイといってもそんなにハイなわけではなく、

もしスカート履いている女の子がこのハイキックをやったなら、

スカートがふわり舞うぐらいの勢いであって、

何もスカートの中身が見えるくらいの勢いはない。

そんな勢いが出せるほど、アウトドアな人間ではない。



いや、そういう話ではない。なんと言った?

つまり、僕は一ヶ月後に殺される?

…なんと理不尽なことか!

ちなみに、ここでいう理不尽は、ドレッシングの用意されていないサラダバーとほぼ等しい。

間違っても、ベビーコーンのないサラダバーではない、

しかし、個人的には焼肉屋のサラダバーにはベビーコーンが欠かせないわけであって、

その微妙なラインにいるもどかしさを考えると、同じ理不尽の域まで達しているかもしれないが……





いや、そういう話ではない。どうにかして、殺されないようにしなければ!

…そのとき、僕は思いついた。

佐藤さんと結婚すればいいのだ。

そうすれば、僕の苗字は佐藤、

下の名前は太郎で、

あだ名は「薄皮まんじゅう」、

ミドルネームはスミスを希望、

そんな新しい人格が待っているのだ。

思い立ったが吉日、さっそく結婚相談所に電話した。

しかし、返答は素っ気なかった。



「佐藤さんね……今、問い合わせが殺到しててね」



…なるほど、皆、考えることは同じということか。

しかし、他にも問い合わせてみたが、すべて同じである。





「登録されていた佐藤さんはもう、みんな結婚しちゃったよ」



「キャンセル待ちになるかなあ……2年後ぐらいになるけど」



「佐藤さん652件ご指名入りまーす!」



「次回入荷は未定です」



「お売りください!『佐藤さん』(新婚3ヶ月以内は10%↑)」





余談ではあるが、この流れはいつしか、犯罪にまで発展していったのである。

例えば、詐欺。

電話で「佐藤」と名乗り、結婚を持ちかけた後に金を騙し取る。

いわゆる「佐藤佐藤詐欺」である。

この、やけに「さ」が多いこの言葉を、ニュースキャスターは意外と噛んだ。

軽部アナは、5回噛んだ。

佐藤佐藤詐欺で捕まった犯人の弁解は、みな同じだった。

「俺は佐藤ではなく、斎藤と言った…間違いなく、斎藤と言ったんだ」

……つまり、“さぃとう”という発音が問題であり、

“い”の音が、有罪か、無罪かの分かれ目となった。

この事態から政府は、斎藤と佐藤の区別を法律で定めた。

それが「“い”法」であり、なにやら危険なネーミングが話題となった。

(ちなみに、発表から1日で政府は、官僚全員が「佐藤」になっていた)

「“い”法」によると、“い”の音は1単語の1/40の長さ、単語の音量平均の6割以上の音量で認められるとしたが、

その判定をするのは人間に委ねられ、“い”判定士までもが1ヶ月の間に誕生し
た。

5人の“い”判定士が集まり、様々な事象について結論を出す、行列ができる番組も誕生した。

ヤンバルクぃナが飛んだりした。







話を戻そう。

僕はそこで、思い出したのだ。

僕の知り合いに、佐藤という女が居た!

わらにもすがる思いで電話をかけ、

どうか結婚してくれないか、と頼んだ。

しかし、彼女の返事はこうだった。



「それは出来ないわ。」



「……どうしてだ。君は、同じ釜の飯を、そして…同じさやのピーナッツを食べた仲じゃないか……」

「ええ、食べたわね…私はナッツを、そしてあなたは赤い薄皮を………」



そう、僕は薄皮が好きだった。何故かあだ名が「薄皮まんじゅう」。



「……でも、今91人の男からプロポーズされてるの。簡単には結婚できないわ。」



やはりか。

この女もそうだった。人生最大のモテ期に突入している。

台風もハリケーンも、ザラじゃない、最大瞬間風速。

数値で言うと、30km/s。

ヤシの実が砲丸投げ状態。

そして、ハリケーン佐藤(先ほど命名)はこう言った。



「そうね……じゃあ、今から言うことに従ってくれたら、結婚してア・ゲ・ル。」



改名決定。

ヤツは、鼻高々佐藤だ。

おそらく、いずれ鼻が伸びに伸びて、

ジャックが天まで昇っていくであろう。

自主的な昇天……



ところで、「鼻高々佐藤」を「たかだか佐藤」と略すと、意味が変わってくる。

裁判沙汰に発展しないよう、十分な注意が必要である。



たかだか佐藤との電話を切り、また思い出した。

知り合いの佐藤は、もう1人いるじゃないか。

すぐに、電話をかけた。



「それは出来ないわ。」



同じ返答であった。

どうしてだ、何がいけないというのか……



「いや、だって…俺、男だし。」



失敬していた。こいつ、男だった。

しかも、タンクトップを着てぬか漬けの壷を投げるほどに、男男しているやつだった……

僕が電話を切ろうとしたそのとき、彼は言い放った。



「そうね、今から言うことに従ってくれたら、結婚してア・ゲ・ル。」



こいつも鼻高々佐藤だった。

しかも、間違った方向性の鼻高々佐藤だ。

僕は、吐き気を催しながら電話を切った。

この吐き気は、例えばトイレでスッキリした後、

レバーを倒したら、便器だけがすっ飛んでいって、

そして、ブツだけが残された、

そんな状況で催される吐き気と同じ、といっても過言ではない。

数値で言うと、30km/s。

僕はその、吐き気から湧き上がってくるモノで人形を作りたいと思った。

人形を作って、それを佐藤と名づけて、

甘い恋をして、二人で涙を流して、

そして結婚したかった。(1ヶ月以内に)

しかし、そこまでの吐き気ではなかったし、

わりとやわらかい系統のモノが出てきそうだったので、内心ほっとしたのだが。









気がつくと、3日が過ぎていた。

ニュースは告げる、

全国の佐藤さんが、全員既婚者になった、と。

僕は取り残された人間で、

殺される運命で、

あだ名は「薄皮まんじゅう」で、

そして、とても、破れやすい。

そよ風で破れる、はちきれんばかりのセンティメンタル……





しかし、僕と同じ境遇の者たちは多く存在した。

「じゃあ二人組作ってー」で残された人間を、

各学校から1人ずつ選抜して、

一箇所に集めた、そんなある意味精鋭集団があったとしたら、

コンセプト的にはそれに近い。





彼らは、「佐藤」に対し、恨みを持っていた。

僕はいつしか、彼らと結託し、政府を襲った。

そして手に入れた主権。我々は真っ先に、こう命じた。
















「「「全国の“佐藤”を捕まえ、処刑する……」」」
433/545KB

【残念ながらオンエアを逃した皆さん】

サンザンヒーローズ 369KB
A:なんてこった
B:なんてこった
安物鬼 333KB
ここで勝てないというのは完全に実力不足でした。
もう一度自分のネタを本質的に見直したいと思います。
ウラギリボンド 177KB
へへへ」まぁ次も...頑張ります

【ジャッジペーパー】(敬称略)上から、
8823 みむら 藍殿TT ehup 銀沙灘

1組目 サンザンヒーローズ
・緊張と緩和のバランスが非常に良かったと思います。
 独特の世界観にどっぷり浸れました。
 腕時計とか落下ボタンの細かいボケは上手いなあって感心しました。
 ただ、もう少し展開に盛り上がりがあればなあって思いこの点数です。(8点)

・ところどころ刑務官が理不尽だったり、ノリが軽いというのは好きでした。
 突っ込みのワードもよかったですが、全体的にボケが弱かったです。(4点)

・ででーんあたりのくだり がとても面白いと思いました。 シリアスな場面をうまく笑いに持っていってます。
 しかし、良いボケがたくさんある中では綿菓子や段ボールの祭壇、腕時計を見るなどのボケは弱く浮き気味かなと。
 落ちへのもって行き方とかは良いので、もう少し細部のボケもこだわってみると良いと思いました。(6点)

・キャラクターや展開がオチに向かってまとまっていて、
 長さ的にも、お手本のようなコントでした。
 ポツンと綿菓子が置いてある光景なんて、想像したら笑えます。
 なのに、その面白さが充分に伝わりきれていないのが勿体ない気もしました。
 句読点の位置や、1セリフの長さのリズム、状況説明なんかを意識すれば、バランスも良くなり、グッと読みやすくなると思います。
 それから、ト書きのところが妙に浮いているように見えました。
 セリフの中で自然に説明したり、(ポチ)のような( )書きの擬音を駆使すれば、
 ト書きにせずとも、違和感なく伝えられると思います。
 その辺りの表現の仕方が、途切れなく、わかりやすくなれば安定すると思います。
 あと、誤字と言うか、作中は3分しか経ってないような……。(6点)

・本来シリアスである題材をバカらしくする、という点で非常にオーソドックスなコントでした。
 刑務官の態度が終始一貫しており、見ていて安心感があります。
 全体的な感想も同じように「まとまっていた」と評せますが、
 ボケや展開に裏切りが欲しかった、という気もします。
 特に設定は目のつけどころは面白いものの、そこからの捻りが見られないので、
 何か特異な条件を付け加えるとネタに意外性が出てきます。(7点)
2組目 ウラキリボンド
・展開が急すぎてついていけませんでした。
 漫才からコントに入るまでの件が分かりづらく、読み手としても入りづらかったです。
 唐突に終了してしまったので、後半のシチュエーションの件をもう2、3個増やしたほうがいいと思います。
 「バキッ」のボケは面白かったです。(2点)

・ボケになっていないものが多かったです。
 あとはもう少し展開を増やして長くみたいです。(1点)

・気になったところは、たぶんどこかでも言われてたと思うんですけど、
 こちらの予想をツッコミが越えちゃうところですね。
 登場人物が多くて、分厚くて、数字がザラーって情報で電話帳まではなかなか結びつかないと思います。
 本題のほうはボケがあまりハマらなかったんですが、擬音の2回目は個人的には良かったと思いました。(5点)

・擬音などの天丼を利用した後半のテンポ良さは盛り上がりますね。
 その反面、全体的に会話が早く、内容も短いため、余計に呆気ない印象も受けました。
 会話が早いのと、テンポが速いのは別です。伝わりきらずに空回りしてます。
 ツッコミがボケに対して訂正すると言うより、
 ツッコミがボケの意味を説明する。その程度に留まっている気がします。
 1つ1つの言い回しで、どの言葉が的確で最適なのかを心掛けてみてください。
 それから、テンポの良さを活かすなら、間の取り方を必要とするボケより、
 わかりやすいボケで、ツッコミが説明する必要のないやり取りにした方がいいです。
 内容も、図書館である必要性があまりなく、薄く感じました。
 もっと図書館ならではのことを入れた方がいいと思います。
 あと、何箇所か]が」になってます。こんなミスをしないくらい見直しをしてください。(1点)

・電話帳は上手いなぁ。これはよかったです。
 が、それ以外の内容が皆無です。コントに入るまでグダグダと引き伸ばし、
 いざ入ったら「モウメガミエナイ」と「ギクッ」の2つのボケしかなく、そして短い。
 そもそも図書館の職員が勝手に本を奨めてくるというシチュエーションもご都合主義です。
 Bが「こういうわけでオススメの本教えてください」とAに尋ねるならもっと展開できたでしょう。(1点)
3組目 高山流水
・例えのボキャブラリーの広さと上手くテンドンする技術に感心しました。
 2回目、3回目以降のボケの破壊力の高さが凄かったです。
 ただ、なぜこの話の中で「佐藤さん以外を処刑する」のかが分からずちょっとうやむやしました。
 本家のリアル鬼ごっこだと王様の退屈しのぎでしたっけ?とりあえず何でもいいから理由をつけたほうがいいと思います。(6点)

・内容はよくわからなかったですが、雰囲気で楽しめました。(5点)

・佐藤以外がって、おもしろい設定だと思いました。
 間違った方向性の鼻高々佐藤は自分のツボに命中です。
 ただ、あまりにも脱線がしつこいなと感じるところもあったので、まわりくど過ぎないようにしてみてください。(7点)

・「リアル鬼ごっこ」読んだことないですけど、
 それより文章しっかりしてるんじゃないかな……。
 それくらい読みやすかったです。
 1行1行、長すぎず、短すぎず、読ませるためのリズムを意識したであろう文章。
 その独特の世界観の中にも、きちんと想像できる例えを選んでいて、
 置いてけぼりにされることなく、共感できる内容。
 脱線しても、話の主軸がしっかりしてるので不自然になっていない。
 もう、面白さが充分に発揮されていますね。
 こういうネタがスラスラ書けるのが羨ましいです。(10点)

・久々ですね……本当に久々に、こんなにも読み進めていて楽しいネタに出会えました。
 話の展開が気になるのも当然ですが、時々脱線する妄想も妙に共感できたりできなかったりで
 (そして書き手もどこで読者が共感してくれるかを自分で理解した上で進めている)
 いいアクセントになっていました。大変有意義な時間を過ごさせていただきました。(10点)
4組目 安物鬼
・初っ端からあほな設定丸出しで面白かったです。
 特にみんなが来なかった理由と警察への電話の件はツボでした。
 ただ、後半が若干だれたかなあ。
 探偵がヘタレというか世間知らずな感じなほうが良かったかもしれないです。
 あと、関係ないですがブラックジャックは裁判の傍聴したことがあります。(5点)

・容疑者欠席の理由ボケがおもしろかったです。
 ただ後半にもう少し大きな笑いが欲しかった。(6点)

・2人のキャラはしっかりとしてるんですが、爆発力のあるボケがなかったかなぁと……
 本来は緊迫感のある場面ということでスラスラとは読めたんですが、「弱い探偵と犯人」の枠に収まっちゃっていたと思います。
 少しでも型を破るようなところが欲しいです。(4点)

・出オチのような設定を、最後までやりきった技術は評価します。
 二人のキャラクターにもブレがなくて好印象でした。
 特に「乱暴やめてよー。」みたいな間の抜けた感じが良かったです。
 ただ、物足りなく感じるのは、推理パートがないからでしょうか。
 証拠を出して終わりではなくて、そこから解説を続けたり、
 二人っきりの空しさを活かした展開で、話がもっと広がりそうな気もしました。
 発想はいいけど、尻窄まりになって、
 せっかくの設定とキャラクターを活かしきれてない感じです。
 盛り上げるべきところを意識した展開を考えてみるとか、
 細かいところより、話全体の構成を練った方がいいかと思います。(6点)

・設定のインパクトは強いしキャラクターはしっかりしてます。
 裁判所を恐がるところや欠席理由、自主自首といったくだりが
 事件解決といった題材からはありえないようなほのぼのとした空気を添えています。
 しかし設定を超える展開・ボケが中盤以降なかったというありがちな事態は避けられなかったようです。
 惜しいと思ったのが警察に電話のくだりです。
 ここが初めて話が先に進んだ箇所なのでもっと深く切り込んでもよかったんじゃないかなと。(6点)
5組目 コントラスト
・これは面白かったです。
 旅館がロボットっていう発想、エヴァンゲリオンのパロディー、女将零号機など
 笑い所が多々あって飽きませんでした。
 結局この戦いがどうなったのか気になるところですが、大オチも上手いと思います。
 ただ、エヴァって確かロボットじゃなくて人造人間だったような・・・。(10点)

・設定がよく、その設定に沿ったボケもおもしろかったです。
 ただ気になったのは、「気楽に」が「気軽」になってました。(7点)

・おもしろいです。 
 なんか エヴァ:ガンダム=8:2くらいで、碇シンジとアムロの名台詞を1つずつもってくるあたりは素晴らしいです。
 また、五重の塔と使徒を絡めてくるあたりがハマりました。
 若干、○号機とかは無理矢理な感じがしたので満点とまではしませんでしたが、
 かなり良いロボットネタでした。(9点)

・良くも悪くも、妙に冷静な二人の掛け合いですね。
 フレーズもきちんと選んでるのが窺えます。
 擬音の使い方も自然で効果的だったと思います。
 だけど、設定は特殊なのに、その実感があまり湧きませんでした。
 特に、ロボットの暴れる危機感が薄く感じました。どこか遠くの出来事のような。
 それが良さでもあるのかもしれませんが、臨場感がないと言うべきでしょうか。
 読んでいる時の視点がはっきりしないままでした。
 例えば、操縦席からでしか見れない景色の様子や、街の惨事の情景があれば、
 ここがどこなのかハッキリするし、
 中と外とのギャップも色濃く出るのではないでしょうか。(5点)

・このコントも設定が奇抜で、この後盛り下がらないかと不安になりましたが、
 女将・五重塔ロボットの登場で決して尻すぼみになることはありませんでした。
 大事件起こしてるのにノリが軽いというのがまたいいですね。
 欠点は浜谷のキャラが掴みにくいところでしょうか。
 ロボットに乗ってるという自覚はないのに口からはロボットネタが飛び出す、というのはいかがなものか。(8点)
6組目 月影連盟
・電話をかけたキャラクターが意外な形で登場していって楽しかったです。
 それぞれのキャラが強烈な動きを見せていたのが面白かったです。
 ただ、序盤の回想の件が間延びして読み手としても大変でした。
 必要最低限にして、文章をカットしてもいいんじゃないでしょうか。
 それでも後半に向けて上り調子だったのは理想的な形だったかなと思います。(7点)

・登場人物がフリででてきたときにもうおもしろかったのに、
 それが後半で出てきたのですごくよかったです。
 でもオチはちょっと違う気がしました。(8点)

・伏線がしっかり回収されていて人物のキャラもしっかり根付いていたと思います。
 ただ、メインが変な人達の変なやり取りというのはよくありがちと思ったのでボケはあまりハマりませんでした。
 構成はしっかりしていて良いです。(6点)

・人物や言葉を使い捨てにせず、伏線として疎かにしない作り。
 無関係だった人物たちや事柄が、
 だんだんと明らかになっていく構成力は流石だと思います。
 見えない部分への気配りが出来るからこそ、全体が安定してます。
 特に問題はないんですが、難を言うなら、
 若干セリフ回しが長く、くどく感じてしまうところでしょうか。
 話を展開させる夏野のセリフはそのままで、
 草尾のセリフを的確な一言二言ぐらいに絞った方が、
 最後まで間延びせず読めて、テンポも良い掛け合いになる気がします。
 もちろん、そのままでも充分読みやすかったですけどね。(9点)

・登場人物が多いながらもそれぞれしっかりレギュラー・一発屋など役割を与え、
 上手に使いこなしているという印象を受けました。
 その登場人物もほとんどが「無駄な才能を持っている人」という共通点があったわけですが、
 逆にそこにこだわったばかりにボケがバカらしい才能に偏ってしまったんじゃないでしょうか。
 1人くらい役に立つ才能を持ってる、けどどこか変な人をレギュラーにしてもよかったかと。
 修理屋と一級建築士が役立つ才能には該当するものの陰が薄くて…。
 展開や構成、間間に挟む小ボケのレベルが高いだけにメインボケでの低調ぶりが目をひいてしまいます。(8点)

【第295回結果表】 平均KB 365KB
ユニット名KBOA率BR
コントラスト4453/7
高山流水4335/9
月影連盟4335/5
サンザンヒーローズ36914/26
安物鬼33326/31
ウラギリボンド1770/1
コントラストが初の1位で今期3勝達成。
高山流水、月影連盟は共に433KBで5勝目を挙げた。
サンザンヒーローズ、安物鬼はオンエアしてKB底上げはならず。